あらすじ
産業金融の雄、日本興業銀行が辿った波乱万丈のドラマを描く。戦後の日本経済界を彩る幾多の人材を輩出し、日銀特融をはじめ、さまざまな危機の局面にあって、回避にむけての打開策を全力でとってきたトップ銀行。その実像を、豊かな構想力と綿密な取材の下に、実名で活写する。
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歴史は繰り返すのか韻を踏むのか
戦後の日本経済を一時期まで支えた日本興行銀行。一方に家計を支える郵便貯金制度があり、もう一つ日本経済、日本企業に対しての金融システムをつくったこと。
それは都銀(メガバンク)中心の現在も続くメインバンク制度。そして長期で融資をする興銀。日本企業はメインバンク、興銀、この2段階の長期資金で成長した側面が大きい。
米国と違ってベンチャーキャピタルなど直接金融の慣行がないゆえに、大いに頼みになったことは間違いない。
しかしそれがのちの不良債権問題へとつながることにもなる。
この制度も現在は段々と米国式に変化させようとしているようだ。
例えば、護送船団方式と言われたメインバンク、政策保有株。このうち政策保有株の放出を金融庁は促している。
この政策保有株(株式持ち合い)は買収防衛策の面が大きかった。
戦後の経済史、そして現在直面している問題をも浮き彫りにしてくれる。歴史は繰り返すのか韻を踏むのか、現在どういう問題と直面し解決させるのかということと対峙させてくれる。
Posted by ブクログ
父親から勧められて読んだ。小説のタイトルの通り戦前から戦後にかけての日本興業銀行の話。第一部は世界恐慌あたりから日本興業銀行の再建準備をしているところまで。
救済金融が必要とされる状況で、興業銀行も資金繰りが厳しいのに、担保主義金融から事業主義金融への転換を行った結城豊太郎総裁が大人物であると思った。銀行のトップの人物がこのように社会を良くしようと本気で考えてそのために行動していたということを知って感動した。
また、人事が大変だなと感じた。総裁が変わるとか理事が交代する時に、内部の人の了解だけでなく、大蔵省やらOBやらが出てきて話し合いが行われててて、そこで折り合いをつけるのにとても苦労している様子が描かれていた。
Posted by ブクログ
「産業金融の雄」として日本の経済発展を支えた興銀は魅力的に描かれていた。実際に働いてみると本当に素晴らしい銀行であった。興銀で得たものは一生の財産であり、この会社で働くことができた自分は幸せだったと思っている。