【感想・ネタバレ】反骨魂 後藤亘 「ミスターFM」と呼ばれた男のレビュー

あらすじ

FM誕生に尽力した伝説の経営者の反骨精神

1970年代初頭、日本の新しいメディア「FM」ラジオ放送の誕生に尽力し、人気長寿番組「ジェットストリーム」をはじめ、数々の魅力的なコンテンツでラジオ黄金時代を築いて「ミスターFM」と呼ばれた後藤亘の反骨の半生を綴る評伝。社長就任後、低迷していたFM東京をFM局のトップに導き、後に東京メトロポリタンテレビの社長として破綻の危機から経営を見事に安定させるなど、放送界のカリスマと評される大胆で柔軟な発想での経営手腕に迫る。

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Posted by ブクログ

昨年の放送100年とは大正14年に芝浦の仮放送局から始まったラジオ本放送から数えてです。時は流れ、そのラジオの世界では2028年までにAMを停波しFMに一本化されると言われています。しかし登場当時はその必要性が疑問視されていたのはFMの方でした。そこをこじ開けたのが松前重義。「今は中波放送全盛で短波放送も始まったが、もうひとつ残されている電波が超短波だ。超短波放送の開発を我々の手で行う。富士山の頂上にアンテナを建て電波を発射する。そうすれば日本列島の半分をカバーできる。その放送で高等学校の授業を行う。高校に進みたくても様々な事情を抱えて通えない日本中の彼ら彼女らに勉強してもらう」なんという壮大な構想。戦後の明るさの根本はこんな気宇壮大な妄想によって生まれたのかもしれません。松前に魅せられ妄想を実装にした男が本書の主人公、後藤亘です。今回、初めて知った人です。成長の時代とは科学技術の時代であって新しいテクノロジーが人々の幸せをつくると信じられていた時代です。それを現場で実現した男。彼には現在のテクノロジーで社会を自分たちの思うように変えてやろう、としているテクノ・リバタリアンたちにはない向日性があるように感じます。しかし後藤亘の向日性はデジタル化以降もFMという帯域を超えてもラジオというメディアからピボットしても変わりません。まだ存命の主人公は、radioのように放送と通信の融合が進む社会の「幸せ」をたぶん、きっと、ずっと考えられているのだと思います。本書の、その先を著者 延江浩に書いて欲しかった。しかし本書を脱稿後に逝去されたとを最後のページで知りました。後藤亘の追悼文にあるいつかなされる二人の会話を読みたい、しかし。

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2026年06月05日

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