あらすじ
日本で、「家族」という単位での「外食」が本格的に開始されたのは、明治以降だった。鉄道や海上交通が発達するにつれ、駅弁や駅前食堂、デパート食堂といったものもまた、発展していった。その後、戦時中の食糧難、戦後のアメリカ洋食の影響などを経て、ファミリーレストランの誕生へとつながっていく。前史、誕生、黄金期、変質、進化の歴史を、「日常食」研究の第一人者が綴る日本初の通史。楽しい食べ歩きコラム付き!
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Posted by ブクログ
ロイヤルホスト、すかいらーく、デニーズに代表される「ファミリーレストラン」が戦後、いかに生まれ、受容され、いまどのように変遷しているか。
日本人にとっての「外食」文化と歴史の通史。
筆者と同世代の僕には、母親の買い物のついでに連れてってもらうデパート食堂や、家族のちょっとしたご褒美イベントで出かけるファミリーレストランの華やぎが懐かしく思い出される。
この本を読んで、子供の頃、憧れだった「ティーボーン」というファミレス風のステーキハウスを思い出した。たぶん今はもうない。
その名の通り、サーロインとフィレの両方が食べられるTボーンステーキが看板メニューだったのだが、頼もうとすると「お前にはまだ早い」と父親に止められて、ハンバーグやもうちょっとミニサイズのステーキになったものだw(勿論、十分美味しかった。)
あのときの気分を味わいに、家族でファミレスに出かけてみようかな。
雰囲気が一番近いのは、やっぱりロイヤルホストだろうか。
誰にも、こんな気分にさせてくれる素敵な本です。
Posted by ブクログ
外食の変化から見た、社会(と家族)の変化を説いている。
外食が「家族」を創り出した。
ファミリーレストランが家族を楽しませた(ている)。
そして「ファミレス」の多様化が家族の多様化を反映している。
面白い説明だなと思う。筆者のグルメレポートもグーッときた。
Posted by ブクログ
「24時間戦えますか」そんな言葉に乗せられて、長い通勤時間、仕事を終えて夕食(夜食)代わりに居酒屋でいっぱい、帰宅すれば「もう寝てる」(当然です、了解のもと)、出勤時は「まだ寝てる」(了解です)、そんな昔気質?の仕事をしてきました。子供が小さい頃は、妻におんぶにだっこでした。「感謝」「有難う」の言葉だけです。ごくごくたま~~~にファミリーレストランに行ったでしょうか。今柊二 著「ファミリーレストラン」、2013.1発行、ファミリーレストランの誕生から隆盛、そして発展・変化していく全貌がよくわかりました!
Posted by ブクログ
「定食と古本ゴールド」が良かったので、
同じ作者の本を選んでみました。
これまた面白かった♪
文章はいたって真面目な、ファミレスの創生史。
「外食」から始まり、デパートのお子様ランチ、
家族で食べる「外食」へ。
それは、江戸から明治、戦争を経て、高度成長にバブル・・・
時代の移り変わりの中での家族の変容、食事の変化が、
ファミレスという「外食」形態の勃興に密接に関わっていく。
主なるファミレスの成り立ちから展開が詳しい。
また、実食レポも楽しい・・・美味しそう(*^_^*)
Posted by ブクログ
○エッセイストで、食関係のエッセイを得意とする今柊二氏の著作。
○ファミリーレストランの歴史を紐解きながら、どのように発展していったのか、 過去と現在のファミレスの違いなどについて、楽しく・美味しそうに考察したもの。
○ファミレスのルーツがデパートの食堂やホテルニューグランドの正統洋食の流れを汲んでいることなど、知らないことばかりでとても興味深かった。
○特に、ロイヤルホストについては、単なる高いファミレスとしか思っていなかったが、これほどまでの歴史があるということがわかり、早速食べに行きたくなった。
○ファミレスが「居るところ」になったというのは、実感としても思うところなので、今後も意識して利用してみたいと思う。
Posted by ブクログ
本屋で見かけて気になったので読んでみた。
副題にもあるように「外食の近現代史」がテーマ。
日本における外食文化の興りから、2000年以降の専門化の流れをまとめたもの。
ファミレスにまつわる色々な雑学が面白いです。
また、ファミレスを日常的に利用してきた世代が増えたことや、ドリンクバーの導入により、それまで存在していた「特別な場所」という感覚がどんどん弱くなっているという主張も面白かった。
Posted by ブクログ
「定食評論家」の著者がいわゆるファミレスの盛衰を中心として、日本の「家族での外食」の変遷をまとめた一冊。
ファミレス前史として、明治期に遡る「家族」という単位での「外食」の誕生、まずは交通の発達に伴う駅の食堂、駅弁、そしてデパートの誕生とその食堂の存在が語られ、戦前の豊かな外食の記憶(←ここで『ロッパの悲食記』が参照されていないのがちょっと惜しい)が戦後のアメリカへのあこがれとないまぜとなってファミリーレストランの誕生へ。1970年代の黄金期から、「食べる場所」から「いる場所」へと変化した80年代、家族の変化とともに変質する90年代、以後、低価格化と専門料理化の流れが進む現状がコンパクトにまとまっている。
設備(セントラルキッチン、ドリンクバー、呼び出しボタンなど)の進化や、世相、家族像、いわゆる「ファミレス」以外のファミレス的存在の店などにも目配りがあるし、主要な店の創業エピソードや特徴もおさえているし、巻末に文献リストもついているから入門書として便利。
各章ごとに話題にした店を実際に訪れて食べるレポートもついていて、楽しんで一気にまとめたのだな、という印象。わたしより5歳年長の著者のノスタルジーには共感できる部分も多く(家族で特別なワクワク感があった子ども時代、深夜に仲間と長居できる居場所だった学生時代、業態転換によるがっかり感など)するする読めた。
欲を言うなら、編集者がもう少し日本語を推敲してくれれればいいと思うのだけれど、よくかけているブログだと思って読めばいいのだろうか。
Posted by ブクログ
定食本の今さんが、ファミリーレストラン!?と意外な感じを
もったが、相変わらず食(と食堂)に対する愛が溢れている。
今では当たり前、何か社会的に悪い影響(不良の溜まり場)の
感の方が強いファミレスだが、本書の歴史を読んで行くと
そもそも家族で外食が贅沢、という時代から考えると実に画期的な
システム・コンテンツだということが認識できる。
そういえば、ココスってサンデーサンだったんだよな、と
時代を懐かしく思う箇所も多数あり、これは楽しい。
実際に、本書を読んで行きたくなったところ多数。
ホテルニューグランドのドリアとプリンアラモード。
ロイヤルホストのコスモドリア。
そして、神奈川のハングリータイガー!
本書を読めば、必ずファミレスに行きたくなりますよ。
Posted by ブクログ
「外食」という切り口で近現代史を見る
◆明治維新によって人々の動きに流動性が出た事により、外食が急速に発達18
◆1878年の内国勧業博覧会の売れ残りを陳列した「勧工場」が日本の百貨店の源流となった。38
◆1904年の三越デパートメント宣言。40
◆デパートの食堂が、一般女性の外食の黎明。その後子どもをも取り込む。なお、屋上に遊戯スペースがあるというのは日本の百貨店に独特な事。42〜
◆横浜のホテルニューグランドの味を引き継ぎ78、福岡の江頭匡一が創立したのがロイヤルホスト。1970年の万博のアメリカパビリオンの外食スペースを手がけて経験を積んだ。
◆ロイホは福岡では特別な存在。日本航空福岡空港の最初の機内食を提供したのもロイヤル。
西のロイホに対して東のすかいらーく。
Posted by ブクログ
人口は減っているのに世帯数は増えている日本。標準世帯モデルから単身世帯モデルに移行している今、ファミレスは三丁目の夕日のお茶の間と同じように「幸せだった時間」の記憶で過去のものになるのでしょうか?それとも「子供がうれしそうに食事をする顔を見るのはうれしい!」という筆者の心からの気づきを繰り返しアップデートしていくのでしょうか?「外食」が「産業」になっていく歴史を温かい目線、軽やかな筆致で描く新書ならではの名著だと思いました。デパート→ファミレス→フードコートという流れにも家族の在り方の変遷が隠されています。それにしても、ファミレスでご飯食べたくなりますよ!
Posted by ブクログ
いつもお世話になっているファミリーレストランについて、あらためて知識を整理してみようと思って買った本。
その歴史をざっと知ることができましたし、前史ともいうべき明治から戦後にかけての洋食レストランやデパートの食堂のことが書かれていて参考になりました。
著者のライフヒストリーとからめながらの展開がリアルで良かったです。
この本で知ったロイヤルホストの「コスモドリア」をさっそく食べに行っちゃいました。