あらすじ
恋愛小説の名手、幻のデビュー作シリーズより2冊が合本版で復刊
銀盤の上でなら、私は流とふたりきりになれる。フィギュアスケートのペアとして出会った男女の青春と別離、邂逅を描く二作を復刊
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Posted by ブクログ
とても綺麗な作品でした。美しい言葉が沢山出てきて、繊細なのに芯があるようなそんな印象でした。
かなこと流の恋の物語に、純子さんの明るさが合わさって3人の関係が良かったです。
かなこの人生を一緒になぞっているようで、とても感情移入しました。話の展開も面白く、この先ずっと大切にする作品だと思います!
Posted by ブクログ
岩井圭也さんの「あなたの書店で1万円使わせてください 」という企画で知った作品。
(BUNKITSU TOKYO行きたい…!)
「今読みたい!」と手に取った。
なぜかって、フィギュアスケートペアの物語なんです✧*。
天才フィギュアスケーターの佐藤可南子はスランプでリンクを離れていたが、中三の夏に純子コーチの目に止まり、シングルからペアに転向し二歳上の渡良瀬流と出会う。
「ガラスの森」「はだしで海へ」の2作品が合本し復刊されたのですね。
あとがきで知った復刊にまつわるエピソードもすごく素敵でしたし、小手鞠るいさんの交友関係がとてもすごかったです('ロ'('ロ'('ロ'('ロ' )!!!
「ガラスの森」「はだしで海へ」のどちらも、とにかく小手鞠るいさんの文章と描写が、恋愛特有のしんどさを微塵も感じさせないくらい美しくて…!
私がカナの立場だったら、心の中が黒い感情で溢れていっぱいになりそうなのに、そういうものが一切ない。
胸が苦しくなる場面もあるけれど、それすらも美しく感じる。
比喩表現も多くて、そのどれもが秀逸で…!
ホント読み終えるのが惜しいくらい、ずっと浸っていたかったです…(*˘˘*)♡
「ガラスの森」では、選手にしか分からないようなフィギュアスケートの過酷さや、ペアスケーティングとはどういうものなのか、その難しさなどが描かれていて、活字でフィギュアスケートの世界を味わえて嬉しかったし、とても興味深かった。
最近りくりゅうペアの演技を見たから余計に。
フィギュアスケートの演技を見て、なぜあんなに感動するのか、その理由を本書を読んで改めて分かったような気がした。
どちらの作品にも、人の愛し方であったり、人の死についてであったり…
人生における格言とも言える言葉が散りばめられていて、それがとても魅力的だった。
特に私は恋愛ではこれまで苦い想いをたくさんしてきたから、もっと早くこの作品に出会っていたら、私の人生、もっと違ったものになっていたかも…?( ´-`).。oO
それを知っていても、実行するのはなかなか難しいのかもしれないけど。
ストーリーとしては正直「ガラスの森」があまりに素晴らしかったので、「はだしで海へ」はなんだか蛇足感を感じてしまった…のですが、最後には泣いていました( ・ ・̥ )
流ー!私も流に翻弄されたいよー!←
忘れられない人がいる方には、かなり深く刺さると思う。
忘れられないまま生きていていく自分や、何度も思い出してしまう自分を肯定してくれるような作品だと思った。
DREAMS COME TRUEの「やさしいキスをして」がぴったり。
このシリーズ、三部作らしくまだ続きがあるんです!
せっかくなので、このまま読んでみます( ᵕᴗᵕ )
✎︎____________
青春時代というのは、その人の人生において最も輝いている、最もかけがえのない時代です。思いきり何かにぶつかっていって、そうして燃え尽きることのできる素晴らしい時代です。(p.9)
本当に美しいスケーターというのは、もちろん非の打ちどころもなくうまくて、高い技術を持っているには違いないのだけれど、どこかに「人間が滑っているという安心感と不安感、そういう矛盾を孕んだ人間臭さみたいなものが漂っているものだ」(p.44)
日記を書くって、彫刻刀で木の板を彫っているときの感覚に似ている。ていねいに彫っていくと、だんだん形が浮かび上がってきて、それがときとして予想もしなかったきれいな形に仕上がったりする。(p.78)
悪いけどこれは私の人生なんだよね。わたし、お父さんとお母さんの満足のために、人生やってんじゃないんだから。わたしの人生をやるのはわたし。(p.87)
心は、閉じ込めても閉じ込めても必ず逃げていく。心は必ず変わる。言葉もそう。それに言葉は嘘をつく。心と違うことを平気で言う。でも体で覚えた動きは正直だ。(p.97)
私はね、届かない想い、があるから人は美しくなれるんじゃないかと思うの。本当に美しいのは無傷な人じゃなくて、挫折したことのある人。(p.115)
楽しいスケートを滑るためには、でたらめに生きてちゃいけない。スケートの芸術性っていうのは練習からじゃなくて、その人の人間性から、にじみ出てくるものだと思う(p.117)
恋するって、石ころが谷に転げ落ちるようだと思う。落ちれば落ちるほど加速度が増していく。深い谷ならなおさらのこと、谷底なんて見えなくても、どこまでも平気で転がっていく。(p.121)
人間はもうすぐ死ぬって直前にも、死が間近まで近付いていても、幸せでいることができるのよね(p.142)
「男女がうまく、長くやってくためにはね、一、愛し過ぎないこと。二、細部を愛すること。これが大切」
(中略)
「思い出にもならない細部。日々消費できる細部。使い捨て細部。恋愛評論家、真里村歌織、語る。その細部の積み重ねこそが愛であーる、なんてね。恋との違いはこの細部よ。恋は細部じゃなくて全部でしょ。オール・オア・ナッシングでしょ。でも愛は違う。愛し過ぎないで、小ちゃなことをいっぱい愛するの」(p.164)
わたしは流に料理やお弁当を作って食べさせてあげたり、セーターや手袋を編んであげたりはできない。そういうことはできない。できないけれど、わたしは流と共にスケートを滑ることができる。わたしの細部は日常的なささやかな喜びではなく、下手をすれば転倒し、怪我をしてしまう、危なっかしいぎりぎりの細部。常にそんな緊張の上にある細部。たとえばふたりでスピンを始めようとするときの、ふっと心を合わせるあの微妙な瞬間。そこで取るバランス。
わたしは、流と作るそんな細部を大切にしよう。全部は求めない。銀盤の上の細部さえあれば。(p.167)
あなたの言葉を
ひとつ残らず覚えている
ガラスの破片のように
きらきら光りながら
それは胸に突きささっている
怒った言葉も
優しい言葉も
何気ない冗談でも
わたしに対する
言葉でなくても(p.179)
どうせ後悔するのなら、うんと難しい方を選んで、チャレンジしてみてから、後悔する方がいいでしょ?だって、順風満帆よりも、波乱万丈の方がおもしろいに決まってるじゃない。(p.212)
人を好きになるのは簡単だけれど、その、好きという気持ちを持続させていく、というのか、好きな気持ちといっしょに成長していくのは、とっても難しいということ。気持ちって、すごく大切なものよね。ごまかしが利かないのよ。相手の気持ちじゃなくて、自分の気持ちってこと。相手が自分をどう思っているか、じゃなくて、自分が相手をどう思っているか、ということね。いくら努力しても、がんばっても、冷めちゃった気持ちは、もとには戻らないのよね。(pp.222~223)
スケートも、恋人も、夢も希望も、何ひとつとして、失われない。あなたが生きて、ハートでそれらを感じている限り。それらもまた、生きつづける。あなたとともにある。(p.237)
順番って、大事だよな。人と出会う順番。それって、めちゃめちゃ大切なことなのに、自分では絶対に決めようがないし、変えようもない。わかる?単なる偶然なのに、その偶然で、人生が決まっちゃうこともあるんだよな(p.253)
逃げたらあかん。物事はきっちり見つめないと(p.296)
不安に思っても、思わなくても、ミスする時はするし、しない時はしないの。
だから、不安なんか抱いても、しようがないでしょって。(p.312)
恋ってね、取り扱い厳重注意よ。強い力で押したりしたら壊れちゃうし、傾け過ぎたらこぼれちゃうし、ね、だから大切に、大切にね。(p.314)
今すごく幸せなんや。せやし、死ぬ時にも、幸せや幸せやと言いながら、笑いながら死のうと思う。死ぬのがいややいややと言いながら死んでいったら、あとに残されたもんは、つらいだけやろ。そういう死に方は、あかんと思うねん。それにな、死ぬということは、世の中の人が考えてるほど、つらいだけのもんでもないで。お母ちゃんは、この世に生まれて、ええことばっかりやった。お父さんや可愛い宗治にも巡り会えたしな、ほんまに幸せやった。幸せなまま、死んでいけるということは、この世で一番の幸せや。(pp.378~379)
過去は人の大切な歴史。過去は愛すべきもの。愛されるべきもの。だけれど、過去は生きてはいない。今を生きてもくれない。それにしがみついていては、何も始めることはできない。列車の進行方向とは反対の席に座って、過ぎ去ってゆく景色をいつまでも眺めていることはできるけれど、そのあいだも列車は、前向きに走っているのだ。(p.432)
日常は、輝いている。たぶん旅よりもずっと。その輝きは当たり前過ぎて、優し過ぎて、お人好し過ぎるから、私たちがそのことに、気づけないだけ。どんなに輝いていても、旅は幻影。終わりのある物語。(p.437)
Posted by ブクログ
フィギュアスケートのペアとして氷の上で出会い、別れたふたりの初恋。
フィギュアスケート競技の詳細の描写は控えめで、二人の不器用な恋模様とその後が描かれています。
実力はあるけど口は悪く、本が好きな流。
すれ違う二人の恋がもどかしくて切ない。
主人公が恋心を自覚してから、その思いが強くなっていって自分でもどうしようもない感じ。淡い期待や焦がれる気持ち。
そして過去についてしまった嘘が後になって……。
若い頃の瑞々しい気持ちを思い出します。
出会うタイミングひとつで、人と人の未来は大きく変わる。人生における特別な“出会い”と“別れ”について、自分の場合はどうだったかなぁと考えてしまいました。
どこか物悲しい雰囲気、繊細な心理描写が美しい恋愛小説でした。
編集者と著者のエピソードが素敵です。
Posted by ブクログ
「早川書房ラジオ ダメでもともと!」って番組知ってますか?
編集として入社した5年目男女の2名での番組
書評家のラジオとかはよくあるんですけど、出版社の社員のラジオってなかなかないと思うんです
どれくらいの人が聞いているのか知らないですけど、ゲラ読みで面白いと思った作品とかまだ世に出ていない新作の特に推したい作品を熱く語ったり、と思ったら早川書房近くのうまい店の紹介したりと、月1放送ですけど僕毎月楽しみにしてるんですよ
(Spotifyから聴けますよ)
でこのラジオ女性の方が金元さんって方なんですね
金元さんがこのガラスの森を幼少時に読んで感動し心の本になってたんです
そこに友達が最近フィギュアスケートにハマっていると。ガラスの森の森はフィギュアスケートが舞台なのですがそれをプレゼントしようとした所
絶版、手に入らなかった
なんでこんな作品が絶版なのだ、私の心の本だ!と
そこで気付くわけです
私、出版社で働いてる
よし、新刊として再出版しよう
いやあ、いい話です
本読み側としては素晴らしい動機と思いました
作者の方もとにかく嬉しかったらしく、ネットニュースにもなりました
そんなエピソードとラジオリスナーの僕としては買うしかないわけです
どんだけ心に残る本なんぞやと
恋愛もの…だ…った………
あ、いや面白かったですよ本当に
ただガラスの仮面のような男も読めるスポ根でもなく、あ、いや面白かったです
美しい物語です