あらすじ
サボテンを道先案内人に
エキサイティングな知の旅へ、いざ出発!
日本で唯一のサボテン学者である著者が、
その驚異のしくみを解き明かし、
CO2削減など温暖化防止効果や食料の可能性といった、
“地球の救世主”の面もクローズアップする。
さらに、文化・社会・技術・信仰の交差点を行き交う多義性を描出し、生物の存在について思索する。
サボテンのワンダーワールドをあざやかに描く一冊!
<目次>
第1章 「センス・オブ・ワンダー」を探して
第2章 サボテンの聖地、メキシコへ
第3章 サボテンの驚異の生態
第4章 サボテンは救世主——食料可能性、地球温暖化防止
第5章 サボテンをどう学ぶ?——大学研究室から
第6章 人はなぜサボテンに惹かれるのか?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
去年、観賞用の柱サボテンを買った。ダグトリオみたいなやつ。無骨な見た目だけど、それぞれ寄り添って仲良くぬくぬくしているようで可愛い。
そんなサボテン事情もあり、うちのダグトリオを知るためにも本書を手に取った。
本書では著者の波瀾万丈なフィールドワーク、サボテンへの愛情、思い立ったら即行動のジャーナリズム精神、そして最新のサボテン研究が綴られている。
世界を飛び回る著者を想像しつつどうやったらこんな行動的になれるのかなぁ、と不思議に読み進めたら最後の最後に著者のバックグラウンドが記されていた。そこでなるほどと合点がいくとともに、ミステリ小説『謎の香りはパン屋から』をふと思い出した。
サボテンから世界を学ぶとともに、著者の姿勢から前向きな世界の捉え方を学び取るとこができた気がする。
Posted by ブクログ
サボテンを研究領域にしている研究者による「サボテン啓発書」かつ「研究者生活紹介」の書。
著者の執筆のモチベーションは恐らく、温暖化局面において多様な可能性を秘めたサボテンの驚くべき能力を普及したいという気持ちと、「研究者」の道へ後進たちを誘いたいという気持ちに支えられているのであろう。
まずサボテンを研究領域に選ぶまでの経緯を紹介した上で、波瀾万丈な海外でのフィールドワークを紀行文のように語ることで読者の興味を惹きつける。
その上でサボテンのこの時代における有用性を語りつつ、その特性をいかに発見し、発表し、そして社会実装を目指しているかと言う研究生活の紹介にまた戻る。そして最後にまたサボテンの広い可能性に触れて本書を締めくくる。
一読し、サボテンのさまざまな利用可能性(特に飼料としての可能性に個人的には関心を覚えた)に目が開かれた。
また、本書はそれだけでなく、サボテンという妙に心惹かれる不思議な植物を媒介に、好きなことを突き詰めることの楽しさ、厳しさ、尊さを解く本書は、若い読者にとって「なぜ勉強をするのか」という考えについてぐぐぐっと視野を広げ、遠くを見据えさせてくれる。中高生にこそ広く読まれるべき一冊なのではなかろうか。
国連機関職員という職業への道に触れているところも面白い。
きっと日本中、いや世界中で、数え切れないくらい多様な分野において、こういった世界を解明し世界を救おうという情熱が燃えているのだろうと思うと、心強くなる。
そんな一冊。