あらすじ
警視庁の密命を果たす、闇に紛れる忍びの者。
「悪党ども、首を洗って待っていやがれ」
警視総監から和綴じの書物を直接手渡された女性警察官僚は呟いた。
その書物の表紙には、特殊な顔料で記された題名が、暗闇の中に浮かび上がっていた。
『忍術指南書』、と――。
東新宿警察署の沢田欣珠(よしみ)は、先輩刑事の多胡武夫と売買春の現場を押さえるべく、網を張っていた。
人身売買、ひいては、新型の違法薬物《ブルー》を製造・密売する反社組織を一網打尽にするためだ。
しかし、欣珠は容疑者を追っている最中、不意を突かれて何者かに拉致されてしまう。
偶然現場に通りがかった、警務課の工藤啓太郎は逃走車両の追跡を開始。
首尾よく救い出し、欣珠の自宅まで送るが、アパートが火事で近づけず、ふたりは戸惑う。
まさか、反社組織の仕業なのか……。
女性警察官僚からの密命を帯びた工藤は、一体どう動く?
巨悪を狩るため陰に生きる、日の目を見ぬ現代忍者の隠密捜査が、今ここにはじまる!
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Posted by ブクログ
佐々木裕一『警視庁の忍者』小学館文庫。
痛快無比なるエンタメ警察小説。
警視庁に伝わる伝説の忍者が正体を明かすことなく、巨悪に立ち向かう。
現代の忍者らしく、ハイテク機器や武器、ドローン、AIを駆使した活躍が面白い。設定としては、柳沢きみおの『特命係長 只野仁』に似ている。
うだつの上がらない冴えない風体の警務課で事務処理にあたる工藤啓太郎は都内の豪邸に住み、謎の女性官僚の密命を受け、難解な事件に立ち向かう現代の忍者であった。
東新宿警察署の沢田欣珠は、先輩刑事の多胡武夫と共に新宿で日常的に行われている売買春の現場を押さえるべく、網を張っていた。その真の目的は人身売買と新型の違法薬物のブルーを製造して密売する反社組織を一網打尽にするためだった。
しかし、欣珠は容疑者を追っている最中、不意を突かれて何者かに拉致されてしまう。偶然、現場を通りがかった工藤啓太郎は逃走車両の追跡を開始する。工藤は欣珠を首尾よく救い出し、自宅アパートまで送り届けるが、アパートが火事で近付けず、工藤は欣珠を自分の屋敷に連れて行く。
やがて、違法薬物ブルーの過剰摂取により死亡した女性の遺体が見付かり、ブルーの正体と製造販売する組織の姿が見えてくる。
本体価格850円
★★★★★