あらすじ
僕は月に一回のペースでアジアに向かう。現地では、さまざまな日本人に会うが、「ほどほど」というスタンスで、アジアに暮らしている人と会うときがいちばん楽だ。日本で会う日本人より、妙に落ち着くのだ。(「あとがき」より)――すべてを失って沖縄の那覇に渡った男性から、タイのチェンマイでライフワークを見つけた女性まで。旅エッセイの名手が紡ぎ出す、ちょっぴりせつなくて心温まる九つの物語。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
東南アジアで暮らす日本人の生き方を追いかけた内容です。確かに、日本人は時間やお金に追われていて、閉塞感はあります。本書で出てきた人物のように、日本を離れ、ほどほどに生きる、という生き方もありかなーと思いました。ただ、自分自身は、旅行者や仕事の一環としていくのはよいけど、家庭のことを考えると、彼らのような生き方は難しいかなと思ってしまいます・・・。東南アジアに一度行ってみたい!という思いには駆られました!
Posted by ブクログ
まず、タイトルが素晴らしい。本書は、日本を出て、アジア(沖縄を含む)諸国で暮らしている日本人の生の声を取材したノンフィクション。成功した人を取り上げていないという著者の視点も共感できる。生きづらい日本を出ても、決して楽になったわけではなく、現地で苦労しながらも自分らしく生活している人々の思いが詰まっている。
実際、日本は生きづらいと感じている人は少なくないと思う。私もその一人だ。周りの空気を読み、人と同調し、みんなと同じように考え、同じ行動を取ることが良しとされる風潮の日本。大学を出て、仕事に就いて、結婚して、子供をもうけ、定年まで働く。そのパターンにはまらない人にとっては「生きづらい」。それでも、私はここで頑張るつもりだけれど、生きづらい日本を出て、他国で頑張っている人も応援したい。
日本に生きづらさを感じている人にとっては、本書は心に響くものがあるのではと思う。
Posted by ブクログ
アジアで生きていくほうが大変なのではないかと個人的には感じるのだが、本書に登場する、日本を捨てた人たちは、少なくとも日本にいる頃に比べて、ストレスが緩和あれているようだ。水が合う、ということなのだろうか。
私自身も日本生きやすくて好きだ、という気持ちを持っているわけではないけれど、特にアジアへ逃げ出したいと感じたことはない。けれど、「ほんのちょっとしたきっかけ」で変わってしまうということはあるのかもしれない。そんな気にさせられる内容だった。
Posted by ブクログ
アジアには月給5万円で働く日本人が存在する。
日本国内で就職できないので語学を学び、或いは現地で学びながら現地法人に就職しようとする日本人。
志をもって現地で充実した仕事をしている日本人。
夢や計画を描いていたわけではなくて、ふらっとアジアに赴いたら・・・結局現地で生活をつづけることにした日本人。。
・・・なるほど、それで本のタイトルがこれなのか。
Posted by ブクログ
日本に見切りをつけアジアの地に生を見出した日本人たちのルポルタージュ。中国、ベトナム、タイ、ラオス・・・・国々には独自の文化があり生活様式があり、その一つひとつに興を誘われる。100%の満足が得られているわけでもないが、日本にはなかった幸福と希望を胸に描ける新天地となっている。日本がアジアの中で突出して豊かだった時代とは大きく様変わりしているのが現実。日本人だからといった特別性は微塵もない。純粋に郷に入りては郷に従えを実践するのみ。日本人として新しいアジアの国々との向き合い方を考えさせられた。
Posted by ブクログ
日本で生きていくことの閉塞感から逃れるためにアジアへ行く人たち。アジアに行けばすべて解決する訳ではない。日本と同じような問題に加え、外国特有の問題が起こる。アジアは決して生きやすいところではない。ただ日本に戻るよりまし。それはアジアという価値観の違う国に移ることで今までの人生をリセットしているように思えた。
Posted by ブクログ
那覇・上海を含んでいるが、バンコクやビエンチャン等、基本的に東南アジアの各都市に暮らす、日本で暮らしにくくなった日本人を取り上げた本。
この本に出てくる人達は、割と一般的な人達であるような気がするし、何よりも「日本人であることを捨てた」わけでもなく、どうしてこういう題名をつけたのか、理解に苦しむ。
Posted by ブクログ
アジアの各地に流れ着いた9人の日本人たちの物語。
日本の暮らしから離れて暮らすようになった各人各様のいきさつ、それぞれの土地での暮らしなど。
彼等・彼女達も決して日本の不景気から逃れて楽園のような癒しの暮らしをしている訳ではなく、それなりに努力や運、仕方のない事情などで現地での生活を営んでいます。現地の人々からは日本人は金持ちと思われている一方、実態は凋落していく日本経済というギャップ。しかし、その実態も徐々に現地で知られるところとなりつつあるのが現在の様であります。
日本が不景気ならどこか外国にでも、とぼんやりと思っていたこともありましたが、グローバル化した現在では、そういう逃げ場もなかなか無い様です。
どうせ同じ苦労をするなら、生きづらい日本よりはアジアの空気の中で暮らしたほうがマシ、と感じた人々の物語。どこか、共感できるところがありました。日本での豊かさや幸福とは少し違う尺度で生き直す事は、これはこれで良いことなんじゃないかな、と思います。