あらすじ
イスラエルに住むアラブ人のおばあさん、ウンム・アーザルは大変な苦労をして子育てをしました。嬉しい時も悲しい時も、彼女の力になったのは子どもの頃におぼえた料理でした。文化人類学者の菅瀬晶子さんがウンム・アーザルの家族と生活して見たことを、パレスチナの食文化を交えて描きます。新聞の書評で取り上げられたり、ボローニャブックフェアの栄えあるブックリストに選ばれたりするなど、高い評価を得た作品、待望の復刊。
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Posted by ブクログ
イスラエルに住むアラブ人キリスト教徒のウンム・アーザル。イスラエルの中では少数派のウンムは、苦労の多い人生を、料理の腕で切り抜けてきた。日本から研究のため訪れた筆者が、ウンムとの長年の交流を通して見つめた、「紛争地」のイメージが強いイスラエルの「日常」の生活を描いた本。
ユダヤ人の中のアラブ人。ユダヤ教徒の中のキリスト教徒。イスラエルという国の中で少数派として暮らすのは、やはり簡単ではないのだろう。恥ずかしながら、そのような人たちがいることをわたしはよく知らなかった。私の中でイスラエルのイメージは、2023年からのガザ侵攻でより殺伐としたものになってしまった。しかしこの本に描かれた「日常」は、穏やかで、素朴で、幸せで……それまでのイメージとはまるで違う。
どの国にも、どの土地にも、素朴な幸せをかみしめて暮らす人々がいる。そんな人々の幸せが、奪われない世界になってほしい。切にそう思った。