【感想・ネタバレ】炎陽を撃てのレビュー

あらすじ

1947年初夏、中国山西省。敗戦から2年。だが、加藤道雄の戦いはまだ終わっていなかった。日本軍司令部が国民党軍と結んだ密約により、国共内戦に身を投じているのだ。出口のない戦いに身を置く彼のもとに、坂木少尉と名乗る男が特命を携え現れる。任務は、軍事機密を握ったままチベットで行方不明になった米国人の捜索と奪還。共産党軍や米軍との戦闘が予想され、監視役として国民党軍も同行するという。かき集められた元日本兵たちは隊商に紛れて聖地へと潜入。過酷な環境に苦しみながら、ついに首都ラサに到着するが……。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

面白かった。
核研究の重要な秘密を持った科学者ウェズリーが隠れるチベットに、終戦を迎え帰国出来るはずの道雄は坂木により強引に捜索に駆り出された。
中国成都から標高4000メートルを超える剣山を超える難関の描写が生々しく、加えて国民党軍、共産党軍、アメリカ軍が三つ巴のようにウェズリーを奪還しようとする場面には緊張感があり肉体的な痛さを感じる。
戦後も謂れなき命令で戦争を継続強いられる側と、富を収奪しアメリカ軍や政治家と優雅に暮らす谷野の対比が、理不尽であるだけに坂木や道雄に気持ちが寄っていく。
核を持つ危険性など場面は戦後2年目でありながら、現代の立場からも納得できる作者の想いが伝わる熱い言葉に、敗戦の8月に読んだ本書は深く心に残る一冊だった。
虐げられる人間が生き残るために、殺人を必要とする戦争の無慈悲を痛感させられた。

0
2026年09月02日

「小説」ランキング