あらすじ
六十歳以上の女性のみを対象とした女性用風俗店『銀楼館』。そこに所属する美しい男娼である櫻は、様々な老女に求められる日々を送る中、やがて彼女たちの人生にも触れることになる。男娼との遊びに耽る、かつて一世を風靡した大女優。半身麻痺となった夫をよそに、見せつけるように情事に耽る妻。不意に希死念慮に襲われたことで結びついた2人の老女。年老いてもなお性を求めることに、どうして理由が必要なのか。様々な形の「愛」を描いてきた令和の才能が、老境の性を通じて描き出すヒューマンドラマ。
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Posted by ブクログ
「恋の如く」
「不要な人」
「永遠に姫」
「最奥に棲む」
「最期の宴」
「姦しい葬式」
6話収録の連作短編集。
デビュー作以来、大注目している君嶋彼方さんの新作は、やはり期待を裏切らない。
六十歳以上の女性だけを受け入れる女性用風俗店「銀楼館」
この店に所属しているピンク髪の美しい男娼・櫻と、彼に出会った六人の女性たち。
彼女たちの人生と心の奥底にある欲求が、瑞々しい筆致で丁寧に描かれる。
“老境の性”と聞くと、乾いた印象を抱きがちだが、彼女たちはむしろ生命力に満ちている。
なかでも「最奥に棲む」は強烈なインパクトと余韻を残す。
Posted by ブクログ
男性を知らないまま生きてきた女性、自らの老いに苦しみながらも夢を追い続ける女性、誰でもいいから自分のことを覚えていてほしいと願う女性、夫に長年虐げられながらも歪んだ愛情を抱える女性、死に取り憑かれながら死ぬことのできない女性と、彼女のために死を諦めた女性。
六十代以上の女性のみが利用できる風俗店『銀楼館』でキャストとして働く櫻のもとには、日々さまざまな女性から依頼が寄せられる。
この櫻という人物が、なかなか掴みどころがなく、各話でキャラがぶれているなーと感じる点がありそこだけもやもやしながら読んでいたのだけど、最後の最後で合点がいった。男娼を描いた職業小説ではなかったが、櫻という天性の大嘘つきの哲学を見せてもらった。彼は、この物語の語り手であり傍観者であり、主役であり脇役である。