あらすじ
深い自然のなかにいるとき、私たちの存在は満たされる。
川とは大地の命をつなぎ人々の絆を結ぶものなのだと、この本から教えられた。
――探検家・ノンフィクション作家 角幡唯介
メキシコにおける悲劇的な海難事故によって37歳で夭逝した、生態学のロックスター的な男がいた。
彼が歩いた道の先は、いまも多くの人が切り拓いている。
魚と環境のことを考え続けた、中野繁のことを知ってほしい。
河川生態学の最先端を切り開いた気鋭の研究者・中野繁さんとの出会いと別れ
境界を越える―それは自らの限界を乗り越えること。失われつつある自然との向き合い方、生態系の本質を知りたいすべての人に、ぜひ手に取ってほしい。(占部城太郎・東北大学名誉教授)
ファウシュさんが教えるアメリカの大学に留学し、やがて中野さんの門下生となり、両者を長く見てきた私は、本書こそファウシュさんの中野さんに対する渾身のレクイエムだと断言したい。(谷口義則・名城大学教授)
自然を相手とした野外での生態学研究の奥深さ・難しさが分かりやすく表現されている。そして何より、ヒトは川を愛するようになれるのか、という究極的な問いについて考えさせる一冊。(菅野陽一郎・コロラド州立大学准教授)
川に足を運ぶ目的が自然を感じることにあるのなら、本書はきっとあなたに満足をもたらすだろう。研究者がどのように川と生き物に向き合ってきたのかが細やかに描かれ、科学と感性が交差する豊かな世界が立ち上がる。(森田健太郎・東京大学大気海洋研究所教授)
【CONTENTS】
1 めざめ An Awakening
2 イワナの謎を追いかける Exploring the Mystery of Charrs
3 リバースケープ 川がもつ機能 Riverscapes How Streams Work
4 コルテス海の悲劇 Tragedy in the Sea of Cortez
5 『リバーウェブズ』 Riverwebs
6 干上がる川 Running Dry
7 米国西部のネイティブ Natives of the West
8 人にとって川とは For the Love of Rivers
9 未来のかたち What Is the Future?
エピローグ 中野繁が遺してくれたもの Epilogue Nakano’s Legacy
【著者】
Kurt D. Fausch(カート D. ファウシュ)
コロラド州立大学の魚類野生生物保全学科で名誉教授を務める。
2015年に、本書で自然環境をテーマとしたノンフィクション文学を対象とする
Sigurd F. Olson Nature Writing Award 受賞。
近著に、本書の続編である『A Reverence for Rivers』がある。
米国コロラド州在住。
【翻訳】
東 知憲(ひがし とものり)
東京外国語大学卒業(米文学専攻)。
アウトドア領域で活動する翻訳者・執筆者。
訳書はギーラック『トラウト・バム』(つり人社)、フィットロック『L. L. Bean フライフィッシング・ハンドブック』(翔泳社)、シュイナード他『シンプル・フライフィッシング』(地球丸)など多数。
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Posted by ブクログ
大学の頃、生物科の友達がいて正直何をしているのかよく分かっていませんでした。
この本は北海道のオショロコマとアメリカのブラッシーミノー、カットスロート・トラウトを中心の3章に分かれ、科学者や生物学者の途方もない努力を綴ったものでした。
1章では在来種の必要性を自然界にもたらす影響「リバースケイプ」(陸上の場合はランドスケープでありこちらの方が一般的)という言葉を用い、自然が循環であることを説明しています。
一つの証明に何年何十年とかかるため、学者たちの弛まぬ努力に感心しました。まさかこれほどとはと本当に驚きです。
2章では絶滅危惧種の生態の解明と農業の関係をテーマにしており、どちらも生きるため(金儲けのためではない)でありお互いの正義が矛盾を示しています。農家も自然の中で生きていることは重々承知であり、灌漑により川が干上がっていることなども知っています。
しかしアメリカの大規模農業では自分だけが生きるためではなく、世界中の人びとの食糧を担っているため、そこに循環がなくなっていようとも辞める理由にはならない事実を知りました。
改めて数が増えると否が応でも他の種を滅ぼしてしまうことを感じます。
3章では在来種と外来種の在り方を人間の都合や生態系の必要性から説明しており、最後に人にとって河川とは何かを問いかけています。
この本を読み終えてせめて自分の周りでは循環を大切に生きていこうと考えさせられました。
少し難しい内容ですが、高校や大学など学生の頃に読んでいたら、進路の選択や研究への意気込みにも関わっていたかもしれないと思うほど面白さを感じました。長いですがオススメです。