【感想・ネタバレ】粉瘤息子都落ち択のレビュー

あらすじ

第49回すばる文学賞受賞作。異形の青春小説誕生! 「本当に久しぶりに、ただただ面白い小説を読んだ」金原ひとみ氏「もっとも読む快楽を感じた」岸本佐知子氏(選評より) 上司のパワハラで退職し、アパートに引きこもっていた野中。ある時、大学時代の友人・忍から「毎月10万渡すからスト6の対戦をしてくれ」と謎の提案をされる。以来、月1のメンクリ通いと週4の忍とのオンライン対戦、そして、毎日最寄りの自販機でマウンテンデューを買ってはふらふら散歩する日々を過ごしていた。九州の実家では父親が病気で死にかけていて、母親からは早く帰るよう懇願されている。“都落ち”が近づくある日、いつもの自販機に貼られた、意味不明な文章が印字されたテープと出会う。[じゃあ一生オマトゥマヘーオマヘマンヘーっつてろよ]野中は、自分の粉瘤の血が飛び散ってしまったそれを【呪物】としてフリマアプリに5000円で出品。すぐに落札されたことをきっかけに、野中は更なる混沌に巻き込まれていく――。だるくて切実、くだらないのに沁みてくる、令和最強の“底辺”青春小説。

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Posted by ブクログ

ななな、何やこの小説は!? とんでもないものを読まされたぞ。
すばる文学賞っていう純文学の賞を受賞しているのだが、選考では面白いという評価とわからないという評価に二分されたという。
僕は面白かった。

主人公・野中は上司のパワハラで退職し、アパートに引きこもっていた。怠惰な生活、荒れる部屋の中、風呂に入るのも面倒で肌もボロボロのなっていく。
見かねた大学時代の友人・忍は「スト6の対戦をしてくれ」と提案する。引き換えに、月に10万円渡してくれるという。
以来、月一回のメンタルクリニックと忍とのオンライン対戦に明け暮れる日々。
九州の実家では父親が病気で死にかけていて、母親からは早く帰るよう懇願されていて、東京から「都落ち」することを何となく考えている。

野中にも唯一の楽しみがあった。それは毎日、自販でマウンテンデューを買って、飲みながらフラフラ散歩すること。
そんなある日、自販機に意味不明な文章が印字されたテープが貼られているのを発見した。
[じゃあ一生オマトゥマヘーオマヘマンヘーっつてろよ。]と書いてある。
野中はそのテープを剥がし、自分の粉瘤の血が飛び散ってしまったそれを【呪物】としてメルカリに5000円で出品。何とすぐに落札されてしまう。

野中は自販機に新しいテープが貼られていることを発見し、さらに売ろうと動き出す。

野中が自分で動き出してから、これまでの東京での日々が清算されていくのが良かった。芯を食って話したことがなかった忍との関係も、膿を出すかのように本心が溢れ出す。

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2026年04月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025年のすばる文学賞受賞作。
選考で面白いという評価とわからないという評価に二分されたという。
確かに本作の紹介文にも出てくるテプラで貼られたメッセージ(宣伝見ればわかるのであえてここでは書かない)や、主人公が固執するマウンテンデューなど話題となりやすいアイテムが多い一方で、それがどうしたの?と聞かれると説明は難しい。
しかし、そのアイテムを取り上げずに語れば、
主人公は親の呪縛から離れるために上京したものの馴染めず、引きこもり的な生活を8年続けている。
住んでるアパートは彼の部屋以外はリフォームが済んでいて、彼が出て行くのを待っているというのは、彼が結局親と離れても独り立ちできていない、親と一緒にいた頃から変われていない事を示している。
自販機に貼られたメッセージは主人公を動かして行くがそれはあくまでも「マクガフィン」に過ぎない。
彼がそれによって人と接触する事、既に出会っていた人の本当の姿にも少し気づき始める事によって、ようやく自分の部屋を引き払う「都落ち」という脱皮、つまり成長を果たそうとしている姿を描いている。
もちろん、その先の彼が本当に占いにハマっている母親や、前科者で病人の父親から独立して生きていけるのかどうかはわからない。彼は単に部屋を引き払っただけで、オンラインの競輪のポイ活を終えられただけで、大学の同級生からの「施し(ほどこし)」を終わらせただけで、それだけで終わってしまうかも知れない。しかし、彼がそういう選択(択)をして東京を去ることを静かに祝福して終わる、そんな小説だ。

読むのに苦労したのは、自分はゲームをしないので、小説の中に出てくるゲーム用語(そこまで大したことはないかも知れないが)の表現の感覚がわからないという点だったが、AIに教えてもらった。次々と言葉の説明を求めると、「おっとますます格ゲーの深い世界にハマってきましたね!」なんて誉められてるのか?どうかわからない賛辞とともに回答してくれて面白かった。

しかし、そもそも上京してうまくいかない、だから郷里に戻ることを「都落ち」と自虐的に語るなんて昭和の大学生みたいで、新しいというより、ちょっとノスタルジックな小説という気もした。

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2026年03月30日

Posted by ブクログ

登場人物の描写やセリフのワードセンスが抜群
大喜利にストーリーが乗るのでテンポ良く読めた
奇天烈な設定やシーンにツッコミながら笑った

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2026年03月29日

Posted by ブクログ

純文学だけどめちゃくちゃ読みやすい。どういう意味??と思っちゃうタイトルですが、すごく面白かったです。
こういうのも青春っていうのかな。全然キラキラしてなくて、羨ましいとか憧れる…みたいな青春ではないけれど、不思議と眩しくて愛おしくなるような物語でした。

鬱になって会社を退職した主人公は現在無職。友人からオンラインゲームの対戦相手として月10万円で雇われています。
かなり謎な生活なんですが、更に謎めいていくのはこれからで、ある日毎日買っている自動販売機の裏に謎のフレーズが書かれたテプラが貼られているのを発見します。
このテプラのあたりから、めちゃくちゃ面白くなってきます。テプラに書かれていた文章は

「じゃあ一生オマトゥマヘーオマヘマンヘーっつてろよ」

どういうこと?意味が分からなすぎる。でも、妙に惹き付けられるフレーズなのです。
主人公はそのテプラをメルカリに5千円で出品してみるのですが、なんとすぐに売れます。その後、度々自販機に貼られるテプラをメルカリに出品し続けるのですが、テプラの謎の正体は…まさにその世代なので、あぁ言われたらそれだわーと。

主人公に10万くれる友人のシノブもすごく良いキャラで…二人の近すぎない友情がとても良かったです。

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2026年03月21日

Posted by ブクログ

病んだ27歳の再生の物語。ある意味「再生」ではあると思うのですが、スクールカーストの下の方にいて、なんとなく大学を卒業し、社会人の生活に揉まれた、はたから見るとやや冴えない主人公。そんな彼がただ現実を直視できるようになるまでの様子を描いたものとも感じました。終始ネット民的な書き口ですが不思議と爽快な読後感でした。星4つです。

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2026年03月15日

Posted by ブクログ

一言でいえば”軽い”のだが、文体、表現、アイデア、テンポはまさに天賦の才だと思いました。

多くの人が経験するであろう”東京編の終わり”に向けたショートストーリーであるからこそ、共感したり、ノスタルジーを覚えたり、、、

次作にも期待したいです。

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2026年02月28日

Posted by ブクログ

よかった。


私小説的な観点と大衆文学的な劇的な物語のワクワクのバランスがとても良い。

僕も都落ちになりそうなまま必死で東京にしがみついてる。エクセル職人への道を必死に歩んでいるからこそ胸にくるものがあって。

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2026年02月16日

Posted by ブクログ

最高に面白かった。
帯の金原ひとみのコメント通り。
出てくるワードセンスや文体、テンポ感含めて最高で楽しい読書体験だった。こういう作品に出会えるから新人文学賞の本を読むのはやめられないな、という感じ。

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2026年02月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ストーリーは確かにタイトル通りなんだけど、
面白すぎる!

キーになるラベルの文章も発想が面白くて秀逸かつ
実はいくつも伏線が張り巡らされていて、ちゃんと回収されているのもすごい

そして、面白いだけじゃなくてちゃんと気づきも与えてくれる

ラベルを作ってたあの2人(3人)がどうかエクセル人間になったり村八分にあいませんように…

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2026年02月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宇多田ヒカルのtraveling陰謀論に始まり、ビットコインで儲けすぎたために人生のメインクエストから強制的に弾き出されたため筋トレというサブクエストだけが生き甲斐になってしまった友人と、電車に乗れない無職の、自販機に貼られたテプラをめぐる底辺冒険(?)譚。
ただひたすらに、読みやすくテンポの良い面白い文章が続く。格ゲーはわからないけれど、地方出身者の主人のが社会から脱落してしまった理由が「択」という言葉遣いのせいで、でもそんな言葉を使える方が豊かだという気持ちは私も忘れずにいたい。ネットミームでもなんでもいい、たくさんの言葉を操れるほうが豊かな人生なんだ。

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2026年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(良)軽い気持ちでサクッと読みきれました!就職を機に居心地の良くない実家から東京に出てきた主人公。仕事のストレスからパニック障害、うつ傾向になり仕事は辞めた。電車に乗れないため、何時間も歩く。宇多田ヒカルtravelingを聴きながらウォーキング、いつもよりたくさん歩けそう!マウンテンデューを買う自販機にオマトゥマヘー、メルカリで売れた。スト6コーチで10万円。友人の忍に世話になったのでいつかまた東京に出て恩返しをして欲しい。粉瘤は絶対潰したい。

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2026年03月28日

Posted by ブクログ


第49回すばる文学賞受賞作。
面白くて読みやすいネオ純文学的な青春小説。
当たり前のように現代用語や専門用語や省略された固有名詞などを、何の説明もなしに多用されているところもそうだし、そういうのも含めたインターネットネイティブ世代を感じる文体を気にならずに読みやすいと感じられればテンポ良く読めると思う。
何が面白かったのかと問われるとハッキリと答えられないのだけれど、今までにあまり感じたことのない新鮮な読後感でした。

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2026年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんとも言えない読後感。悪い感じではない。メルカリでなんか要らないもの売りたくなる。あとビットコインいいな~(笑)

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2026年02月22日

Posted by ブクログ

なんでこの内容でこんなに面白いの!?
毎日マウンテンデューを買いに行っている自販機に貼ってあった、不審なラベルから展開するごく小規模の物語。だが、非常に軽快なリズムの文章に飽きを感じることなく読み進められる。
都落ちしていった友人達にこの本を贈りたかった。人生において、気のおけない友人の存在は偉大だ

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2026年02月13日

Posted by ブクログ

推定枚数 271枚
新人賞作にしては長いけど面白く読めた。トイレの落書きとかを見て、ということだけどそれだけでよくここまで話膨らませられるな。長く本線と関係ない話が多いのかなと思ったけど右あきのドアの話とかいちいち細かい伏線もちゃんとあるんかいって展開。特に何も起きないけど文章の面白さが好きだった。
だけど評価の低い川上さんの、「スケールの割に長すぎる」もごもっとも笑

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2026年01月31日

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