【感想・ネタバレ】裸の大地 第一部 狩りと漂泊のレビュー

あらすじ

『極夜行』後、再び旅する一人と一匹に、いったい何が起こったか? 四十三歳の落とし穴とは? GPSのない暗黒世界の探検で、日本のノンフィクション界に衝撃を与えた著者の新たなる挑戦! 未来により現在が決められるのではなく、現在によって未来がつくられていく。今現在の自分自身の知覚、感応、直感、判断、行動の結果によって、それぞれ別の未来ができあがっていく。そこにこそ登山や冒険でなければ経験できない生のダイナミズムがあるはずだ! 未来予測のない世界を通じ、人間性の始原に迫る新シリーズの第一作!!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

角幡唯介『裸の大地 第一部 狩りと漂泊』集英社文庫。

北極圏で最低限の食料を橇に載せ、1頭の犬と共にひたすら北を目指す狩猟を前提とした75日間1,000キロに及ぶ漂泊行を描いたノンフィクションである。

人類はエベレストのような高所や北極や南極といった極寒の地などの難所へは行き尽くし、さらなる冒険を求めるためにはエベレスト冬期無酸素単独到着とか、北極点単独徒歩到達など、より可能性の低い条件を設定するしか手が無くなっているようだ。

しかし、角幡唯介が自ら設定する冒険の条件が厳しければ厳しいほど、冒険というよりもエンターテインメント性の高いゲームのように思えてしまう。

マイナス40℃の中、1頭の犬と橇でひたすら雪原または氷原を狩猟を行いながら自らの足で進むことは大変なことだと思うが、最新の防寒ウェアやギアの類は非常に優れており、そこまでの寒さや不便さを感じていないのではと元も子もないことを考えてしまう。

角幡自身も今回の冒険については多少の後ろめたさを感じるのか、43歳の冒険家の死亡率の高さに触れたり、漂泊という旅の手法を哲学的に分析してみせたりと、今回の冒険の意義を正当化するために、やたらと前置きしているような感じがする。

まず、『四十三歳の落とし穴』というエッセイのような文章で、植村直己、河野兵市、星野道夫、長谷川恒男、谷口けいなど名だたる登山家や冒険家が何故43歳という若さで亡くなったのかについて、的を得た鋭い分析で説明しながら、後僅かで43歳という年齢に到達する角幡唯介自身をも戒める。

確かに自分の43歳を振り返っても、健康にも何の不安無く、サッカーや波乗りをしていても身体が良く動き、自分は無敵で、何でも出来るような気がして、無謀なことばかりをしていたように思う。その理由を他人から説明されると非常に納得出来るように思う。

次の『裸の山』では、南会津の秘境や日高山脈などで様々な試行錯誤を繰り返しながら、未来予期のない世界を通じて人間性の始原に迫ろうと漂泊行に辿り着いたことについて語る。『極夜行』でも過酷な冒険に挑む理由について説明していたが、より過酷極まる冒険を実行するために、角幡は次々と新たなレギュレーションを創り出しているのだ。

そして、いよいよ『狩りを前提とした旅』が始まる。GPS、衛星電話、時計も持たず、1頭の犬と45日分だけの最低限の食料を橇に載せ、不足の食料を狩猟で補いながら、マイナス40℃という極寒の中、徒歩でグリーンランドからカナダのエルズミア島を目指すのだ。当初、狙っていた兎の姿は見当たらず、最初に目にした麝香牛をライフルで仕留め、40キロ余りの食料を手に入れる。しかし、この40キロが橇の旅をより過酷なものに変えてしまう。

本体価格780円
★★★★

0
2026年05月28日

Posted by ブクログ

裸の大地の三部作中の第一部
またウヤミリック(犬)との旅が読めて嬉しかったです
きっと日本の愛犬家がこの本読んだら猛烈抗議するんだろうな笑
働く犬との関わり合いはコレですよ
『おりゃー!橇引けっつってんだろぉぉー!!』

0
2026年03月30日

Posted by ブクログ

 奥只見の教訓から地図無し登山を日高山脈で決行したあと、著者は極夜での放浪を終えた後に漂泊を思いつく。
 第一部ではその考えから、橇を引いての北極探検へと犬一匹と向かう。

 「自分の土地」を広げていく。
 この言葉について、狩りを経験した人なら分かると思う。
 俺自身も罠を仕掛けてイノシシを狙うハンターの一人だが、何度も同じ場所を歩いて、イノシシの動静を想像して罠を仕掛ける場所を決める。
 何度も同じ場所に行くことで、その土地を深く知っていくということが「『自分の土地』を広げる」ことだと分かる。
 ただ、著者のように命がけで自分の土地を広げようという領域までは理解が及ばない。
 その領域の分け目は、自分が探検家であるということに人生をかける著者との違いなのだと思う。

 あとがきで「思いつきこそ人が一線をこえて新しい行動を起こすその原動力である」と述べている。
 思いついちゃったから、やらないと仕方がない。
 何を思いつき実際に行動するのかが人生なのだと思う。

0
2026年01月09日

「ノンフィクション」ランキング