あらすじ
「この講義をとらずして早稲田を卒業するな!」と言われる、情報入門講義を書籍化!
WebからX、ChatGPTへーインターネットが政治も経済も恋愛も変えた
「競争は負け犬がやることだ」
アルゴリズムが支配するテック帝国でホモサピエンスに残されたことは?
●専門用語ゼロ!知識ゼロでもストーリーですらすら読める
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
前半まではとても面白く、興味深い内容。
Webの誕生から、Big Techが支配する今現在まで、どのような天才がどのような理念で、または方法で世界に変革を起こしてきたかの概観がわかる。
それが2020年代に近付くに連れ、筆者個人の主観としか思えない厭世的で露悪的な表現満載になる。
書いていることは頷ける。ソーシャルメディアや、テック産業と結びついたビジネスたちは、消費者に商品を届けるのではなく消費者「を」広告主に売り飛ばすための商品としている。消費者は労働者として企業に奉仕しながら、労働以外の時間にも精力的にテック産業に個人情報を献上する無償労働を無限に強制されている。
現在の世の中を把握する上で、上記は事実だと思うし理解する必要があると思うが、それにしても表現があまりにも露悪的かつ、一面的だと思う。現代の消費構造を執拗に揶揄するが、無理に揶揄するための材料をかき集めているのではと感じるほど。
エンゲージメントを稼ぐための最良の手段は「憎悪」だと書いてあったが、まさに読み手の精神を逆撫ですることを意図したような、この本の中で揶揄されるマーケティング的手法を疑いたくなる文章。
結局、この本に興味を持ちこの本を買い、この本を読むこの時間も、プラットフォームに隷属し続けるカモとしての無価値な行動だったのかと虚しくなってしまう。
中盤までは「考えさせられる」「考えなければならない」と沈痛な気持ちで読んでいたが、だんだん著者個人の暴言でしかないように思えて納得感が薄れてしまった。
「超入門」だと豪語するなら、偏った意見やニヒルな文体に走らずに、淡々と事実と参照情報と考察を述べ続けてほしかった。
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とても悔しいことに、この露悪的で救いのない文章が、身体の中に染み込み始めているのも感じる。
好きな番組も、好きな映画も、好きな本も、好きな趣味も、好きな人のことさえ、すべては資本主義のもとで金を落とすために作られた虚構に過ぎないのか。
広告やSNSを通じて変容する私たちの趣味や価値観は嘘なのか。
なら、そういった外部に左右される前の「本当の私」なんてものはあるのか。
いや、人間が生まれてから死ぬまでに、他者からの影響を受けないなんてことはできないのだから、元から「本当の私」なんて存在しないはずだ。
などなど。
絶望に突き落とす文章だからこそ頭にこびりつき、個人的な考えを深める時間に繋がる、のかもしれない。
私がこの本に求めた「違う角度からの意見」を、読み手自身が考えるきっかけになるのかもしれない。
そこまで著者が意図しているのだとしたら拍手を送りたい。
人により相性の分かれる本だというのは断言できるし、厭世的な人やメンタルが繊細な人には向かない本だが、自分の頭で考えたい人には、良い本なのかもしれない。まだわからない。