【感想・ネタバレ】なぜ日本の手しごとが世界を変えるのか 経年美化の思想のレビュー

あらすじ

柳宗悦が民藝運動を提唱して百年。いま、その精神にZ世代の起業家が共鳴し、新たな光を当てる。「経年美化」――時の流れが育む美しさに惹かれ、日本各地の工房を旅し、職人と火や木や土の声を聴くうちに、その意味は生きた実感となった。伝統工藝は過去の遺産ではなく、持続可能な社会を築く知恵。モノを愛する心が人を結び、手しごとは世界を変える。そのメッセージは海外でも静かな共感を呼んでいる。工芸から未来を紡ぐ挑戦の書。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

感情タグはまだありません

Posted by ブクログ

Z世代×僧侶×起業家が語る“工藝”の核心。心を揺さぶる一冊

2000年生まれのZ世代起業家でありながら、インドで得度し僧侶としても生きる。そんな異例の経歴を持つ著者だからこそ書けた、唯一無二の本だと思う。

本書は、工藝を単なる技術やモノとして捉えるのではなく、日本に古くから紡がれてきた「フィロソフィー」として再定義している点が印象的だ。

本書は工藝論や技巧解説、あるいはビジネス論の枠を軽々と超え、人の心の豊かさ、生き方そのものを問いかけてくる。

著者が全国の工房を巡った体験が生き生きと織り込まれ、工藝の入門書としても驚くほど読みやすい。それでいて、本質に深く届く力がある。

また、工藝が現代社会にどのような影響を与え得るのか。その示唆は非常に豊かで、自分自身の価値観にも大きな揺さぶりを受けた。

読み終えたとき、「これから工藝は世界をリードする」という言葉が誇張ではなく、確かな展望として胸に残る。静かでありながら強い余韻を残す、名著である。

0
2025年11月18日

「ノンフィクション」ランキング