あらすじ
ロンドンに朝が来なくなって、八年と三ヶ月。ジェームズは本業の学生を務めながら、文字通り夜な夜な副業をこなす。それは、“死神”として人々の寿命を狩り、世界の“寿命平衡”を保つこと。だが彼は、その性格と過去のトラウマから、人を殺すことができないでいた。
ある日、ジェームズは銀髪のシスターが男の胸にナイフを刺し、寿命を回復させている現場を目撃する。彼女の名は、メアリー・ストランド。同じ学校の生徒であり、永久の時を生きる不死の“聖女”。ジェームズの妹が不治の病であると知ったメアリーは、ある提案をする。
『あなたの妹・マーガレットの寿命を伸ばす代わりに、私を殺してちょうだい』
人を殺せない死神と、死ねない聖女は、命をかけた契約を結ぶ――。
感情タグBEST3
始まりは2028年の近未来、ロンドンに夜明けが来なくなった。
自然科学に依る文明に突如として現れた特異点。
それは悠久の時の中で寿命平衡を恙なく廻す事を生業とした死神が、相反する存在である聖女を隔離する為に施したものであった。
死神も聖女もなりたくてなった立場では無い。
互いに生命を刈り取ったり癒やしたりする際に対象者の記憶が流れ込む、呪いにも似た存在であった。
死神は職務放棄すれば死という逃げ道がない事も無いが、若く幼いジェームスには、不治の病の妹がいてその選択肢は採れず…。
また、今の聖女は1000年の永きを生き、中世の頃には魔女狩りの対象となり激しい拷問に晒されるも絶命できず生き埋めに…、土砂崩れで這い出すも迫害を受け続け、それでも自らを殺す事も赦されず…。
そんな彼らが交した契約…、実行困難なその内容と結末とは…。
そして、復活した聖女の寿命はどうなったんでしょうね?
バーソロミューの胸に撃ち込んだメアリーの命を返しただけなら、それ程の余命がある訳では…?、ってのは野暮ですかね…。