あらすじ
なぜ、45年ぶりに韓国で戒厳令が宣布されたのか。気鋭の在韓ジャーナリストが、南北分断80年の悲劇と韓国民主化の歴史をひもとき、韓国社会の閉塞感の根源に迫る。社会の隅々に蔓延した左右の対立を超えて、「南北関係」から「二国家関係」へ向かいつつある激動の朝鮮半島を描き出す。「韓国の民主主義」を深く理解するための南北分断史入門。
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Posted by ブクログ
2026年4月に読んでいます。民主主義について考えたくて読み始めました。2025年9月に刊行された本ですが、いまの日本の状況を考える上でも大変参考になります。
Posted by ブクログ
韓国の保守と進歩が日本で言うところの右派と左派ではなく、保守も進歩も右、っていうのが大変目から鱗だった。
そうだね、左派なら北へって話になっちゃうもんね。
毎度のように政権与党が代わって日本よりずっと民主主義が浸透しているように見えるのに、ちっとも経済格差が埋まらない理由は、そんなところにあったんだなぁと納得。
朝鮮戦争の泥沼化が分断を固定化させてしまったというくだりもとてもよく理解できた。
戦争を経ないと南北の統一は実現しないよね…と絶望していたのだけど、そうではない解決策が示唆されていたのはうれしかった。
韓国の人たちにとって戒厳令というものがどれほどの恐怖を呼び起こすものなのかも実感。
そこから巻き起こったペンライトデモも、それに触発されて日本でも広まりつつあるデモも、それを応援してくれる韓国の方たちの思いも、本当にすごいことだ。世界よどうか平和であれと願わずにはいられない…。
Posted by ブクログ
今まで何となく見聞きしていた隣国、韓国の様々なニュース。それが本書を読むことで解像度がとても高くなるように思う。現代史に疎い私にはうってつけの素晴らしい入門書となった。
まずは2024年12月の非常戒厳宣布の夜に何が起こっていたのか、というところから始まり、80年前にさかのぼる朝鮮半島分断の歴史を考えるという構成で、様々な出来事が臨場感をもって語られる。
この80年で信じられないくらいのダイナミックな変化があった朝鮮半島の現代史と、その歴史のうねりの中には当然だけれども国民一人一人の歴史がある、という視点もカバーされていることで、より実感を伴ったものとなる。多くの人々が犠牲となって形作られた現在の韓国民主主義の重みに触れる一冊だった。
Posted by ブクログ
2025年個人的NO.1本でした。
本書では、朝鮮半島の近代史〜現代史を知ることができます。わたしは本件に関して全くの無知でしたが、問題なく読み進められました。筆者の筆も上手く、事柄ごとにストーリー構成もされているので、とても読みやすく、また、感情移入もできます。
しかし、知らないことばかりでしたね。
韓国にとって、今の政治状況が、どれだけの犠牲の上にあるものなのか、どれだけの犠牲をともなって勝ち取ったものなのか、ここが最も衝撃でした。
そりゃあ戒厳令なんて出された日には大騒ぎになりますわ。
あとは、すべてのはじまりにある南北分断。
南北分断が韓国という国そのもののアイデンティティ形成に与えている影響が大きすぎて、現代となってからは、たとえばそれが社会問題の解決の弊害になっているという指摘は難しかったですが、納得感ありました。
最後に、こういう本を読むと、日本の特異性が一層際立ちます。
日本は基本的にずっと日本であって、外敵の脅威にほとんど晒されてこなかった歴史の上にあるので、日本の目線で他の国の歴史を見るとよりギャップが大きいです。
世界的に見たら日本が希少なのであって、大陸国は基本的には争いを経て、今の形になっているわけです。
ナショナリズム的な発言をしたいわけではないのですが、それはやはり、日本の良いところの発現につながっているファクターなのだと思います。
匿名
昨年12月当時の尹大統領が突然戒厳令を宣布した。台湾などと同じく韓国も冷戦終結前後から自由民主主義体制に移行したと思っていたがゆえに大変な驚きと共にそのニュースを見守っていた。もちろん知識として韓国の軍政と、市民による民主化の現代史は知っていたが、それが今になって繰り返されることが自分の中で合点がいかなかったのだと思う。
本書ではそれを韓国(というか朝鮮半島)が抱える分断という現実ゆえに起こったものだと論じる。尹が従北勢力の駆逐を口実に戒厳令を宣布したように、韓国の民主主義は分断の問題を解決しない限り、これ以上発展しないのではないかという危惧を著者は抱いている。
そこで著者は北朝鮮を一つの国として認めた上で南北の交流を促進する二国論を展開する。多くの悲しみを生む戦争という選択肢は当然取れない以上、分断という現実が韓国に圧力としてかかり続けるのならば、統一という重圧を一度取り払ってしまおうという議論だ。韓国の中でこういう意見がどれくらい主流なのか、どれくらい受け入れられる意見なのは分からないが、興味深く読めた
Posted by ブクログ
朝鮮半島の解放と分断の80年を解説し、行き詰まった韓国の対北朝鮮政策の再考を模索する本書。
著者はソウル近郊在住のジャーナリストで尹錫悦による戒厳令とその余波を直接取材し、生々しく本書でも伝えた。
わずか40年前には軍政が敷かれ市民が弾圧された記憶を持つ韓国市民と政治家の戒厳令への深刻な受け止めと的確かつ情熱的な抵抗運動が伝わってくる。
また本書は朝鮮半島分断の歴史を解説し、分断が長期化することによって分断体制の維持に利益を見出す韓国エリート層や日米を含む近隣国の思惑が分断打破の難しくすることが示された。
核武装を果たした金正恩による衝撃的な統一放棄論に至り、韓国による北朝鮮の吸収統一路線は破綻した。
このままでは分断の固定化と朝鮮半島の緊張が高まるばかりであり、吸収統一路線を破棄して南北がお互いを別の国家として尊重して交流を図るべきとの意見が朝鮮半島統一に尽力してきた進歩派から出てきているという。
だからといって朝鮮半島統一を放棄しているわけではない。
北朝鮮が敵国としてではあるが韓国を独立国として認めているのに、韓国が北朝鮮の国家承認を回避しては交流もままならない。
国家間や民間における南北の交流が膠着した南北対立を和らげ、将来的な朝鮮半島統一に希望を宿す。
日本のメディアでは伝えられない視点だ。
朝鮮半島統一の必要性を信念としてきた著者も有力視するに至った急がば廻れ的な二国家論だ。
最近の情勢も踏まえて朝鮮半島の統一問題についての理解を深めるには本書は適切。
朝鮮戦争の悲惨さを伝えるには南北の進軍具合が二転三転したことを地図の色分けで示したほうがわかりやすい。
民間人死傷者が大量に生じたことが視覚的にわかる。
また、本書で紹介する人物の写真も掲載したほうが良いと思う。
Posted by ブクログ
著者の徐台教さんは、在日朝鮮人で韓国に「帰国」したフリーのジャーナリスト。
かねてよりYouTube「デモクラシータイムズ」などで活動をされている。
日本の朝鮮半島に関するニュースは、非常に適当なものが多く、いわゆるリベラル紙とされている朝日新聞・東京新聞すらデタラメを書く。日経新聞の鈴置高史や、時事通信の室谷克実など、主要メディアにも嫌韓オジサンが「朝鮮半島のエキスパート(??)」として記事を書いている。テレビにおいても同じだ。昨年末の尹錫悦による戒厳令(内乱行為)の際に振り撒かれた、「野党が北朝鮮とつながっている」という流言蜚語をあたかも事実かのように放送する局ばかりだった。
本書にはそのような朝鮮•韓国のいんちき解釈に騙されないため、私たちが取るべき向き合い方のエッセンスがつまっている。
また分断問題に関しても、形ばかりの「統一論」に一石を投じ、理念と現実のバランスが取れた我々が向かうべき先を示しているといえよう。
これを読んだら、予備知識は十分だ。
軍事独裁政権下で排除された記者たちが立ち上げた新聞社「ハンギョレ」は日本語版の記事をウェブサイトで公開している。
これから韓国のニュースは韓国のものを見よう。
Posted by ブクログ
隣国の近代史がイデオロギーの変遷と共に語られていく。そこには筆者徐台教の在日コリアンという身を見つめ直す宿命でもあろう。その言葉から私自身知らない事実や記録が詰め込まれており、思想的よりもクロニクルの形式で平衡を保っている。歴史を知ること、そして違いを認める努力、まさに多様性が心の豊かさに通じていく。徐台教の文章から、歴史が招いた分断を看過しない覚悟を感じ取る。
Posted by ブクログ
正直、名前や地名、事件がたくさん出てきて難しかった。
戦後、アメリカやソ連の都合で2つの国に分けられた。
それが思想の違いから、自分が正しい、相手が間違っていると見るようになる。さらに、敵を作ることが自国をまとめることにもなる。
それが今の北朝鮮と韓国の対立が終わらない状態。
さらに、「南北統一」について国民の意識も変わってきている。韓国では「統一が必要」と考える人の割合が50%を下回ってきているという。特に若い世代。
分断は、韓国の民主主義の発展を妨げている。政党同士の対立が、「反共」を軸に行われるので、真に解決すべき社会問題が置き去りにされている。
また、韓国の人の考え方にも「分断的な心」を作り出す。例えば違いを認めない態度や認識、理念という問題にひどく埋没する習性、外部の影響を脅威と認識する敏感な感覚、過度の民主主義的な感性、不安定な個人と集団依存性の共存、分断問題に関する意図的な無関心。
著者は分断80年、分断第一世代が退場していく今が、南北関係に向き合う最後の機会だと言う。