あらすじ
かつて『夜闇の妖姫』と呼ばれた娘がいた。
帝都の妖を従えた彼女は白い軍服の青年に討伐される。
そんな人生の終わりから過去に舞い戻った比奈子は凄惨な未来を避けるため、異能を隠して生きていた。
しかしある日、前世で自分を殺した『裏中務』隊長、琉河が現れる。
比奈子の身辺調査を命じられたらしい彼を比奈子は拒絶するが、再び現れた彼は、比奈子との婚約状を持っていて……。
異能の娘と孤高の隊長の死に戻り和風婚姻譚!
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Posted by ブクログ
殺されて死に戻ってみれば、今度は殺された相手と24時間監視された契約結婚生活。
今世こそ生き残ると自身の能力を隠して彼から逃れようとする比奈子と、妹の仇だと妖を憎み続ける軍人とのヒリヒリした攻防戦。
本当に中盤までは互いに探り合っているその攻防をヒリヒリした感覚を抱えつつ読んだ。
能力のせいで家族にも顧みられず一人で生きてきたゆえに変に逞しく、妖以外とろくに人付き合いをしなかったせいで変に世間慣れしていない比奈子を応援したくなってくる。
一方で、ヒーローである掛井側の事情も分かってくると、まあ妖を憎むのも仕方ないなと思えてくる。
そんな二人がある流星の夜を境にただの監視する・される側から一歩踏み出し、じれったいようなもどかしいようなやり取りになったまではよかったが、前世でも因縁のあった烏天狗が出てきてからは事態が急変。
比奈子の能力が掛井にばれて逃げ出すし、その烏天狗が妹の仇(?)かつ比奈子を嫁にすると発言した相手だからか掛井が躍起になるし。
再び死にそうになって初めて、相手と離れてみて初めて気付く想い。
二人のこのどこまでももどかしい想いがたまらないのです。
おかしい、序盤はヒリヒリ感を味わっていた筈なのに、何この甘酸っぱい感じは。
そして、前世ではお世話になった烏天狗に今世で伝える比奈子の「最後の言葉」
これがもう最高にクールなので、是非読んで欲しいところ。
烏天狗との一件はこの一冊で解決するのですっきるする一方、掛井の妹の安否、比奈子の能力の制御について、何より主人公夫婦の(そう、夫婦なのに)もどかしい恋愛模様にはまだ決着がついていない状況。
これは続編を期待していい話なのかな。
この作品でもある程度満足できたが、欲を言えば、更なる決着を続編で読めることを期待したいところ。
応援しております。