【感想・ネタバレ】1万人の脳を見た名医がつきとめた 機嫌の強化書のレビュー

あらすじ

脳にとって「不機嫌」や「怒り」、「イライラ」「くよくよ」ほど生産性を下げるものはない。
真のハイパフォーマンスは、満たされた脳、つまり「上機嫌」から生まれる。上機嫌な脳は無双状態!! フルネスな心身に秘められた力を、脳の権威である加藤俊徳先生に語っていただく。
「機嫌」を自在に操れば、自分の隠れた能力を発見できる!
加藤先生独自の理論「8つの脳番地」にアプローチすることで、ネガティブからポジティブに変換できる「機嫌の操り方」をご教示いただく。
1万人の脳を見てきた脳科学者が、「科学的に正しい機嫌を操る方法」と「機嫌こそ能力発揮の秘訣」であることを解明する1冊。

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Posted by ブクログ

【その不調、不機嫌から来てるのかも?】仕事を後回しにして追われる、最近イライラすることが多い、なんだか疲れがとれない。このいずれかに当てはまる人は、ぜひ手に取ってほしい。

第三章だけでも一読必須

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

 また、人に悩みを相談すると気が楽になるものでしょう。それは、まず人に伝えることで「伝達系脳番地」が満足するから。そしてもう一つ、悩みを言語化してアウトプットすることで客観性が生まれ、悩みを生んでいる物事が整理されるからです。
 不確定要素は将来の不安にもつながり、脳を不機嫌にさせる。人に話すだけでも、それが解消されるのです。
 また、企業の不祥事に対して説明を求めるのも、芸能人のスキャンダルを追及するのも、脳内で起こっているのは同じこと。やはり「わからない」がストレスだからです。


 問題は、「わからないこと」に遭遇したとき、「わからない」という負荷を感じたときに、自分自身が、どう向き合うか。
 不機嫌な感情のまま他責的になるか、それとも自分で冷静に考えて、自ら探究する価値があるものかどうかを見極め、価値のあるものだけを機嫌よく追い求めるか。
「わからない」というインプットを次にどう処理するかで、機嫌のよしあしも脳のパフォーマンスも大きく異なってくるのです。


 今後、どのような道を選ぶとしても、まず理解することが解決の糸口になります。そこで脳科学の見地から「甘えの構造」を紐解いてみましょう。
 構造そのものは実にシンプルです。家庭外ではちゃんとしているのに、家庭内では問題行動が多い。それは、ひと言で言えば本人の自己認知が弱いからです。
 私のクリニックには「離婚寸前」という状態で訪れる夫婦も多くいます(私は子どもの発達障害などだけでなく、夫婦間の相談に乗ることも多いのです)。たい ていは妻が夫の理不尽な振る舞いに耐えきれなくなっているケースです。
 生理的な脳のコンディショニングは大切ですが、「よく眠る」「規則的で健康的な食事をとる」など日常の機嫌値を上げる習慣だけで、こうした甘えを解消は難しいでしょう。甘えの根本原因は、普段は働かせている「他者に対する注意」が、身近な人と一緒にいるときは極端に緩むことにあるからです。
 人間関係は、一種の「異文化交流」です。特に夫婦の場合、まったく異なるバックグラウンドを持つ者同士がともに暮らすわけですから、相互理解に努めつつ、 自分たちの家庭の文化をつくっていかなくてはいけません。
 自己認知は、相互理解の重要な前提条件です。まず自分のことがわかっていなくては、相手と自分の差異を自覚し、理解することもできない。ところが自己認知が弱いと、「言わなくてもわかってくれ」という欲求、「わかって当然」という期待が大きくなります。
 そういう人は、外では礼節をもって人付き合いできても、パートナーのことは自分の一部と見ているから、「差異があることを前提に話さないと理解し合えない」ということが受け入れられません。
 すると夫婦間で会話が成立しない。会話が成立しないとますます相互理解が難しくなり、不和が生じる。その先に待ち受けるのは、「少し距離を置きましょう」 という断絶です。
 怒りのスイッチを比喩的に「地雷」なんて言いますが、家庭内で怒りっぽい人の地雷を一つ、また一つと発見して二度と踏まないように気をつけても、その人の怒りっぽさが解消されるとは考えにくいでしょう。
 実は本人も、何が自分の地雷なのか――何を理解してほしくて、何が理解されないと怒りが生じるのか、わかっていない場合が多いのです。理不尽に感じるとは思いますが、少しでも関係をよくしていくには、「甘えとは、そういうものなのだ」という理解が大きな第一歩になるでしょう。
 甘えられているほうとしては、「(家族にだけ)何を勝手に注意力を緩めてるんじゃい!」「近しき仲にも礼儀ありでしょう」と言いたくなる気持ち、とてもよくわかりますし、その通りだと思います。
「甘えとはそういうものだから、諦めてください」と言っているわけでは決してありません。私のクリニックへ夫婦間の相談で来られる方々のなかに、相手への理解によって、相互の関係がよくなる例はいくつもあります。


 もちろん、自分を抑えて相手に合わせすぎるのは健全ではありません。
 人の機嫌に振り回されたり、相手の顔色を窺って機嫌をとったりするほどに、自分の機嫌は削られます。
 脳科学的に言うと、メソッド20でもお話ししたように、ドーパミンの分泌が下がって注意力や思考力が低下する。つまり脳が柔軟に働くことができない不快状態になるということです。誰かの機嫌をとっていると、自分で自分の機嫌をとることが難しくなってしまうのです。
 かといって、相手の不機嫌ラインを、あえて刺激する必要はないでしょう。
「こうすると不機嫌になる」とわかっていることがあるのなら、そこには、なるべく触れないようにする。現実的に考えれば、これは、お互いに機嫌よく過ごせ る時間を最大限に増やす有効な人生戦略と言えます。
 その一環として、特にパートナーとの間で、二つほどおすすめしたいことがあります。
 一つは、普段からよく話すこと。
 政治から子育てまで、私たちには考えなくてはいけないことがたくさんあります。そのベースとなるのは今までに培われた価値観ですが、バックグラウンドが異なるパートナーとは価値観も異なって当然です。
 となると、話題によっては意見や見解の相違があるのも自然なこと。
 そこで無理にすり合わせて合意形成に持っていく必要はありません。
 ただ、普段からよく話して、何となくでも「意見が同じところ」「意見が違うところ」を把握しておくと、いきなり激しく対立しなくて済むようになります。それだけ互いに相手を不機嫌にさせる事態を未然に防げるというわけです。
 いざ合意形成が必要となったときにも、事前に相違点がわかっていれば建設的な話し合いができるでしょう。ともに乗り越えなくてはいけない問題が生じたとしても、細かい意見の相違を超えて協力できるはずです。
 このように、価値観が違うもの同士、完全に意見を同じくすることを目指すのではなく、意見の相違があっても協力できる関係性を築くこと。これが実は、夫婦円満の一番の秘訣ではないかと思います。
 そしてもう一つの方法は、午後6時以降に、重大な話をしないこと。
 これは、さらにリスクヘッジ的なものですね。
 午後5時半~6時半は交感神経がもっとも優位になる時間帯です。一日の疲れやストレスが最高潮に達し、ここから身体は休息の準備に入ります。
 メラトニンの分泌により、脳の覚醒度は次第に下がり、脳も身体も睡眠モードに入っていく。そんなときに「夫婦間の問題」「子どもの進学」など重いテーマを持ち出したら、たとえ大きな対立点はなくても、二人そろって一気に不機嫌になってしまうかもしれません。
 夜6時以降に重大な話をするのは、これからの眠りに備えて覚醒度が下がっている脳を叩き起こすようなもの。過大なストレスになるのです。単にタイミングが悪かったというだけで、まとまる話もまとまらなくなってしまうのは避けたいでしょう。脳科学的に考えると、重大な話ほど、脳の覚醒度が高い日中、できれ ば午前中にしたほうがいいのです。


 たとえば「伝達系脳番地」が比較的未発達か、または偏りがあるために、その働きに何らかの不具合が生じると、まず伝達系脳番地から不機嫌のシグナルが発 せられます。
 それをキャッチした感情系脳番地がその人に不機嫌な感情を生じさせ、態度や言動として表出させるのです。ひとたび不機嫌になると、不機嫌の発生源の脳番地と感情系脳番地のみならず、ほかの脳番地にも影響します。脳全体の働きの効率性が下がってしまうのです。
 だから不機嫌は「脳が困っているサイン」と言えるわけですが、特に怒りの感情は厄介と言わねばなりません。
 というのも、どのような感情も高まってから下がるものなのですが、怒りの感情はほかの感情よりも半減期が長いのです。怒りの感情が爆発すると、脳にストレスがかかって低酸素になるため、酸素を供給するために血流が上がります。前に測定したところ、一度上がった血流が正常値に戻るまでに1時間ほどかかりま
した。

 どの感情も、いったん高まったら下がっていくと言いましたが、実際にはそれほど単純ではありません。
 たとえば、誰かに何か言われて、あとから腹が立ってきたという経験は誰にでもあるでしょう。瞬間湯沸かし器のように反射的に怒ることもある一方で、怒りの感情が発生するまでに少しタイムラグがある場合も多い。これは脳の情報処理能力が低いわけでもスピードが遅いわけでもありません。
 まず、よくよく思い返してみれば思い当たると思いますが、瞬間湯沸かし器型の怒りはパターン的です。過去の経験則から「こういうことについて、こういう感じのことを言われたら怒る」というパターンがすでに出来上がっているから、その刺激に触れた途端に脳でパターン認識が発動して怒るわけですね。 そうでない場合は、それほど瞬時に反応しなくて当然です。
 なぜなら、聴覚系脳番地はその名の通り、基本的に「聴いているとき」にしか働かないからです。その言葉にどう反応するかは、聞いた言葉が、思考系、伝達系、理解系の脳番地が海馬とともに働き、記憶系に入ってからようやく決定されるのです。
 こうして記憶系に入ったことは、なかなか忘れられません。怒りの感情が表出してから、すぐにケロッとするのが難しいのは、そのためです。
 だから、「嫌なことを言われた。ムカつく!」という感情の記憶があると、なかなか容易には切り替えられない。自分の怒りをうまく取り扱う、あるいは身近な他者の怒りにうまく対処するためには、このメカニズムを知っておくことが、まず重要です。


 機嫌を作り出しているのは、無数にある脳の神経細胞です。
 機嫌がよくなったり悪くなったりするのは脳の生化学反応の結果。つまり、すべて自分の脳内で起こることなのですが、個々の機嫌の要因となるものは、他者や環境など外部から与えられる刺激です。
 ところが、自身の機嫌変動のきっかけとなる他者の行動をコントロールするのは、非常に難しいことも事実です。いくら機嫌よく生きたくても、自分を不機嫌にさせる他者の行動や言葉を、上機嫌にさせる行動や言葉へと変えることはできません。
 もちろん、世の中には、自分の機嫌をよくするために他者を利用する人もいます。パートナーや部下などを自分の支配下に置き、言動の自由意志を抑えつけて、自分が機嫌よくなるような言葉や行動だけを強要するのです。
 しかし、これでは、いわゆるサイコパス、ソシオパスであり、人として非常に不健全です。
 周囲の人たちからも敬遠され、結局は孤独な人生になる可能性が高いでしょう。
 自分の機嫌をよくするために他者を利用するのは、生き方の戦略として、とうてい優れているとはいえません。
 やはり、基本的に他者を変えることはできない。他者とはコントロールの対象ではなく、理解と共生の対象である。こうした前提意識が重要なのです。
 しかし、そんなコントロールしがたい他者が、ときとして自分を不機嫌にさせるという現実には、どう対処したらいいでしょうか。
 そこはドライに、自他の線引きをすることだと思います。
 誰かの理不尽な振る舞いに機嫌を損ねられたとき、人は善悪や正誤のロジックを持ち出しがちです。
「あの人の、あの行動は間違っている。悪だ。私のほうが正しく善である」と考える。そう考えるほどに怒りや悲しみが沸き上がり、なかなか収まらない。しかし、いくら断罪しても、その人の行動を変えることはできないわけですから、自分の機嫌は損ねられたままです。
 だから、自他の線引きが重要なのです。「他者の行動が正しいかどうか」と「自分はどう感じているのか」を切り分ける。すると、誰のどんな行動にも、あまり感情を乱されることがなくなります。
 とはいえ、腹が立つのも事実です。そんな時、自分の心を鎮めるのに有用な言葉があります。「徳あるは讃むべし、徳なきは憐れむべし」という道元禅師の言葉です。この言葉は、他者の理不尽な行為に対し、正誤や善悪という批判的思考を自分の感情とは切り分け、「あら徳のない行動ですね」「なんと憐れな行動でしょう」と、感情ではなくあくまで客観的な事象として言葉に落とし込んだもので、脳科学的にもとても理に適っているのです。そうすることで、感情をかき乱されることなく他者と向き合えるようになり、さまざまな問題にも、より冷静に対処できるようになるというのがポイントです。


 あなたにもこんな経験はありませんか?
「なぜかあの人といるとひどく疲れる」
「あの人の話を聞くと心が削られる、心が折れる」
「あの人に会うと、決まって具合が悪くなる」・・・・・・など。
 結果的に、自分が不機嫌になりやすい人とは、どのように対応したらよいのでしょうか。
 それは、できる限り、1対1で長い時間を過ごさないことです。
 社会的な不機嫌要素をつくる人は、日々の生活で接する人にも必ず不機嫌な振る舞いをしているものです。
「この人、なぜかシンドイな」と感じる人がいたら、それはあなたの機嫌センサーが危険を察知しているサインかもしれません。
 社会的な地位や世間の評価など、周囲の意見に流されず、自律的にその人を判断しましょう。相手の不機嫌の度合いを冷静に見極めることができるようになるはずです。



第3章 「最高の機嫌脳」をつくる!
8つの脳番地トレーニング

機嫌とは脳の「快」「不快」が表に出る神経生物学的反応
8つの脳番地の「機嫌の傾向と対策」を知ろう

8つの脳番地/ご機嫌になること/不機嫌になること
思考系脳番地
やる気と意欲に溢れ、新しいアイデアで満ちている
やる気がない、考えたくない、言われた通りにしかできない、思考停止

感情系脳番地
嬉しいこと楽しいことをしっかり自覚して味わう
怖い、孤独、ツライ、ヤバいことを自覚して味わう

伝達系脳番地
おしゃべりを楽しむ、相手に伝えたくなる、伝わることを喜ぶ
人と話したくない、言いたいのに言えない、言ってもしようがないと思う

理解系脳番地
わからなかったことが明らかになる、人と共感することを喜ぶ
難しくてわからない、人とわかり合えない

運動系脳番地
自由に身体を動かせる、 よく歩く、新しい動作ができるようになる
身体を動かすことを制限される、引きこもる、 座位が多い、運動不足

聴覚系脳番地
「いいね」「必ずよくなる」 などポジティブな言葉を聞く
「ダメだ」 「うまくいかない」などネガティブな言葉を聞いてしまう

視覚系脳番地
自然に触れる、美しいものやかわいいもの、ときめくものを見る
室内に居ることが多い、 バイオレンスなもの、グロテスクなものを見る

記憶系脳番地
幸福な記憶が多い、嬉しかったことや楽しい記憶を思い出す
嫌な記憶が多い、忌々しいことやツライ記憶を思い出す



機嫌は「ここ」で自在に操れる。思考系脳番地トレーニング
(1)機嫌のよさは、特に「思考系脳番地の機嫌」にかかっている
(2)集中力を妨げられると不機嫌になる
(3)一方的に命令されると不機嫌になる
(4)「学び直し」「リスキリング」をする
(5)休日の過ごし方を人に決めてもらう
(6)マッサージを受けに行く

「ここ」が弱ると脳全体の機能が落ちる。運動系脳番地トレーニング
(1)「行動」を制限されると不機嫌になる
(2)まず、計画を立てる
(3)「動きのある生活」を送る
 身体を動かすと、ドーパミンが分泌されてやる気が出ます。
 ドーパミンが分泌されるとセロトニンも分泌され、幸福感が高まります。
 身体を動かすことは、つまり、「いつも機嫌がいい人」になる始まりと言ってもいいくらいなのです。私が毎日、4・5㎞以上歩くことをおすすめしているのも、 運動系脳番地から総合的に機嫌を整えるためです。
 その一方で、「身体を動かす」ということを、それほど大げさに捉えないでほしいという思いもあります。
 たとえば、よく喋る、よく噛むといったことも、運動系脳番地にとっては「身体を動かすこと」に含まれるのです。文字を書く、楽器を弾くなども同じです。
 部屋の模様替えやそうじをすると、気持ちがスッキリしますよね。
 それは、家具の配置が変わったり、部屋がきれいになったりすると「気持ちがリフレッシュされるから」なのか、それとも家具を動かしたり、そうじ機をかけたりと「身体を動かすから」なのか。脳科学的には、その両方と考えられます。私としては後者の効果を強調したいくらいです。
 運動系脳番地の機嫌をとるには、身体を動かすこと。こういうと、いわゆる「運動」をしなくてはいけないと思われそうですが、そうとは限りません。仮に運動が不得意だとしても、「動きのある生活」を送れば、運動系脳番地を喜ばせることができるのです。

(4)日常動作に「余計な動き」を加える
(5) 両手を合わせて合掌する

会話のストレスは「これ」で解決! 伝達系脳番地トレーニング
(1)「伝える」「伝わる」が阻害されると不機嫌になる
(2)「楽しい気持ちになること」をする
(3)人に悩みを話す
(4)ホームパーティをする

外からの刺激で変動しやすい。感情系脳番地トレーニング
(1)自他の感情がわからないと「上機嫌になりにくい」
(2)情報をデトックスする
(3)自分の感情を「味わう」機会を設ける
 その気になれば、日常生活のなかでも、自分を振り返る機会は設けられるでしょう。
 思い切り笑える映画や泣ける映画を見て、半ば強制的に自分の感情を呼び起こす。
 好きなことをして「楽しいな」、好きなものを食べて「おいしいな」、新しい服を買って「うれしいな」、美容院で髪型を変えて「ウキウキするな」など、ポジティブな感情をしっかり味わう。
 毎晩、その日に「ありがたいな」と思ったことを記す「感謝ノート」をつける。
 感情系脳番地が働きだすと、容易にポジティブにもネガティブにも振れやすくなります。
 だからこそ、上機嫌にさせる刺激や、感情を浄化するような習慣を努めて多く取り入れ、そのときの感情を味わう。自己感情を強め、ネガティブな刺激の影響を受けにくくするには、こうした方法も効果的です。

(4)「ほめノート」をつくる
 感情系脳番地は「フィルターなし」の脳番地です。
 いくら自己感情を強くし、ポジティブな刺激を入れるように努めていても、ネガティブな刺激の影響を完全に排除することはできません。他者の不機嫌や好ましくない状況により、不機嫌になるときもあるでしょう。
 しかも、ひとたび不機嫌に傾くと、引きずりがちなところも厄介です。
 そこでおすすめしたいのが「ほめノート」です。前項で挙げた「感謝ノート」と同じ要領で、その日に「これができた。よくやった」と思えること、自分をほめてあげたいことをノートに書き出すのです。
 どんなに小さなことでもかまいません。
「朝、ベッドのなかでダラダラせずにサッと起きられた。よくやった」
「朝日を浴びながら10分、歩いた。よくやった」
「会社の人たちに笑顔で挨拶した。よくやった」
 やや応急処置的ではありますが、こんなふうに、とにかく自分をほめてください。
 無防備にもネガティブな刺激の影響を受け、不機嫌に傾いているときこそ、その「フィルターなし」という特性を逆手に取って、感情系脳番地の機嫌をとりましょう。
 言ってしまえば、ときにはネガティブな刺激が入ってくるのも、それに影響を受けてしまうのも、仕方のないことです。そこで大事なのは、どれだけ素早く切り替え、機嫌を回復させるか、なのです。


物事の理解、他者への共感を高める。理解系脳番地トレーニング
(1)「わからない」「理解してもらえない」「期待を裏切られる」と不機嫌になる
 理解系脳番地は、「何かを理解しよう」というときに働く脳番地です。ただし、 理解系脳番地は、この働きさえできていれば喜ぶわけではありません。そのように働いた結果、どうなるかによって機嫌が分かれるのです。
「理解しよう」という働きが成就する、つまり「わかった!」ときは機嫌がよくなります。
 完全には理解できないまでも、「何かがわかりそう」「ここまでわかった」といった手応えが感じられるだけでも、理解系脳番地は快の状態になります。多くの研究者が、一つの分野を機嫌よく探究できるのには、そんな理解系脳番地の作用もあるのでしょう。
 私自身、脳についてはまだまだ謎だらけですが、一歩、また一歩と研究が進むこと自体に無上の喜びを感じます。だから50年も、飽きもせず、基本的には上機嫌で研究を続けてこられたのです。それは今後も変わらないでしょう。
 逆に、何かを「理解しよう」と働いたのに「わからない」「腑に落ちない」「理解の手応えさえ得られない」ままだと、理解系脳番地は不機嫌になります。
 芸能人のスキャンダルなど、自分とは直接の利害関係がないことでも、すっきり解明されないことに怒りや苛立ちを感じる人は少なくありません。単なる野次馬根性とも言えますが、より厳密に言えば、「興味があるから知りたい、でも腑に落ちない」ことに執着するあまり、理解系脳番地が不機嫌になっているのです。
 人間関係の不和も、しばしば理解系脳番地の不機嫌によって引き起こされます。
 たとえば、あんなに好きだった人のことが、もう「わからない」という場面を迎える。ここで百年の恋も醒めてしまうことが多いのは、その人と接しているときの理解系脳番地が不機嫌になっているからと考えられるでしょう。ある種の期待感から「あの人に限って、絶対にそんなことはない」と認識していたのに、期待が裏切られた途端、理解の範囲を超えてしまい不機嫌へと傾くのです。
 あるいは、何を考えているかわからない人とは誰も付き合いたくありませんよね。
 そういう人と付き合ってしまうと、お互いわかりあえず、理解系脳番地がずっと不機嫌になる可能性が高い。それを無意識のうちに察知し、一つの防御反応として、何を考えているかわからない人とは距離を取るという策をとるわけです。
 また、逆に「相手から理解されていない」と感じたときに、不機嫌になるのも理解系脳番地です。理解系脳番地は物事を「理解したい」、人を「理解したい」、と同時に人からも「理解されたい」脳番地なのです。
 ちなみに理解系脳番地の「理解」は、理路整然とした言語的な理解とは限りません。
 なかなか要領を得ない話でも感覚的に全体像をつかめる、きちんと言語化されていないことでも直感的にピンとくる、といった「右脳的な理解」でも理解系脳番地は満足します。

(2)過去に読んだ本を再読する
(3)自分自身をプロファイリングする
(4)部屋の模様替えをする

心地よい音や言葉は自分で選べる。聴覚系脳番地トレーニング
(1)「不快な音の入力」があると不機嫌になる
(2)「不快な音」リストをつくる
(3)「不快な聴覚情報」から離れる
(4)自分に「快適な音」を聞かせる
(4)自分に「快適な音」を聞かせる
 聴覚系脳番地の機嫌をとる方法は、「不快な音」から守ることだけではありません。
「不快な音」をできるだけ排除する一方で、「快適な音」を聞かせれば、より積極的に聴覚系脳番地を機嫌よくさせることができます。
 たとえば、気分転換として、癒やされる音声や好きな歌手の歌を流す。私もアメリカで脳の研究に勤しんでいたころは、仕事の合間にエンヤやマライア・キャリーを流していました。うるさくない程度に、BGMとして流していたこともあります。
 そしてもう一つ、おすすめしたいのが「ポジティブなひとり言」です。「必ずうまくいく」「やればできる」「今日は絶対に勝つ」など「自分を勇気づける言葉」 をつぶやいて、自分に聞かせてあげるのです。

美しいものに目を向ける。視覚系脳番地トレーニング
(1)「不快な映像の入力」があると不機嫌になる
(2)「不快な視覚情報」を避ける
(3)デスクの上や部屋を片付ける
(4)「快適な視覚情報」をインプットする
(5)自分の美感・美意識を磨く

嫌な記憶を即座に塗り替える。記憶系脳番地トレーニング
(1) 自分の記憶に頼りすぎる人は不機嫌になりやすい
(2) 「悪い記憶ボックス」に鍵をかける
(3) 過去の「いい思い出」に浸る
(4)いい記憶で悪い記憶を上書きする

 問題は不機嫌そのものではなく、不機嫌になったときにどう対処するか、なのです。
 そこで求められるのは適切な対処と機嫌のコントロールです。今日の機嫌が明日の機嫌に影響する脳の仕組み、生体維持の仕組みからしても、感情のまま行動し、不機嫌を抱え込んだまま眠りにつくのは得策ではありません。自分を不機嫌にさせることがあっても、その日の睡眠の質を守ることは可能です。
・せめて問題を整理し、翌日に考えるべきことや行動するべきことを明確にしておく
・嫌なことや悲しいことがあっても、「大丈夫。明日はきっといいことがある」と信じる
・誰かの理不尽な行動を分析して、自分なりに「意味付け」してみる
・夕方以降は、意見が対立するかもしれない重大な話をするのは避ける
 こうした工夫により、夜の機嫌と昼の機嫌の間で「不機嫌の連鎖」が生じるのを未然に防いでいきましょう。その他、睡眠の質を上げる細々とした工夫は、次項のとおりです。ご自身の体調とも照らし合わせながら、ぜひ取り入れてみてください。

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2026年03月07日

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