あらすじ
オカルト/ホラー/インディーゲーム界隈で話題沸騰! 累計30万本を突破した人気ミステリーアドベンチャーのスピンオフノベライズが登場! 怪異、呪物、異界などの調査・解体を行う『都市伝説解体センター』。能力者でセンター長の廻屋渉、調査員バイトの福来あざみ、先輩バイトのジャスミンのもとに、奇妙なフライドチキンや首なしバイク男など、不可解な都市伝説が持ち込まれる。一方、大学生時代の山田ガスマスクは山中のキャンプで祟りに巻き込まれ、「上野オカルト&ダーク Mystery Tour」でガイドを務めた男は過去に事故物件への住み込みバイトで怪異に遭遇していた。そして、ジャスミンに託された新たな事件・・・。ゲーム本編の“隙間”に潜む、都市伝説5篇を収録! ストーリーは原作の墓場文庫が完全監修、カバーはノベライズだけの描き下ろし! ファン必読&必携のノベライズ!
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Posted by ブクログ
一番金がかかってそうなスピンオフ。全編著者違うし、表紙絵も描き下ろしだし、なんかステッカーもついてるし装丁もやばい。カバーはモコモコした手触り、本文も赤と黒。
全話別の人に書かれているわけだが、みんなキャラクターの理解度が高いのか、編集がしっかりしているのか、とにかくこの作品の最重要項目である、愛すべきキャラクターたちという軸がどれも通っているので、著者が違うというのは正直全く気にならなかった。
第一話からあざみーではなく、ジャスミンが主人公!そしてゲームの第一話のあとという時間軸。追加のオリジナルストーリーが読めるのはとにかく嬉しい。ユーテックとかも話題に出てくるし。
ただ、帯にも書いてあるとおりネタバレがいきなり来る。ジャスミンが語り部ということで、早々に警察官だという自己紹介あるし。これはさすがにゲームプレイ後か。まあ、ゲームを遊んでキャラクターや世界観に愛着を持って初めてスピンオフが輝くんだから、話題性だけでいきなり断篇集を手に取る人はいない、か…
そして相変わらずSNSがやばい。依頼人もやばい。
第一話の後ということで、既にあざみーとジャスミンの絆が芽生えていて、やり取りが非常に微笑ましい。微笑ましいのになぜかダメージが!なぜなんでしょうね!
でもセンター長のGreatやExcellent、そのままではなく、上出来です!とか素晴らしい!にそれぞれルビがつく形になってる。グレートとか言ってない、だと!?これは解釈違いだ!
第二話もジャスミンとあざみーのてえてえが描かれてて、てえてえと同時にダメージを与えてくる。ゲーム未プレイの人にこれを読ませて、てえてえブーストさせてからプレイさせたいという加虐的な気持ちが芽生えてしまう。
こうやってずっと色んな人がジャスミンとあざみーのお話を語ってくれるのかと思いきや、第三話はなんと山田。しかも大学時代?しかもきのこと二人旅?なんじゃそりゃあ!良すぎる。
山に来て「……いいね。」の一言で確かにガスマスク感が出てる。しかもなんか山田ガスマスクファンは結構多いらしいので、ファン垂涎なのでは。
実際、2人の雰囲気もゲームで感じたものと一緒で、いや、普通の人に書きすぎな気もするけど、逆にこの頃はまだ普通だったんだろうなと、これもまた切なくなってしまう。
山田ガスマスクがまだただの山田の頃、そしてきのこがまだ心霊系をしてなかった頃、か…
次はミステリーツアーのガイド!チョイスがいいなぁ。
さすがにあの仮面は被っていないだろうが、しゃべり方などもあのガイドの素の感じ。でも確かに普段から丁寧語で喋ってそう。
フラメンコ除霊をして自殺者の霊を祓ったりしている。ずっとガイドのへっぽこなところが楽しめる内容になってて、且つホラー感もあり、普通におもろい。
そして二度と高額バイトには手を出さないとか、水神堂行くかとか、本編へのリンクも忘れないサービス心。
結局怖いのは幽霊や異変より、人というのはこちらも変わらない。
そして最後はなんと、ゲームクリア後の話!
センターがジャスミンパイセンの心に大きなダメージを残しているのがよく分かる。そしてパイセン、ゲーム中だと警察モードのときはキビキビしてたが、実際は警察のときも割とダラダラしてるっぽい。警視正としてヤバくないか?とは思うものの、これはこれで、良い。
しかし、四話までならゲームを遊ぶ前に読んでもまだかろうじてありだとは思ったが、この話はさすがにちょっとバレが過ぎるな。いちばん重要なところは無いけど。
なので、これを読んで、ゲームを遊んで、もう一度読んでもらえれば最大ダメージを与えられるかもしれない。…なぜ自分は他人にダメージを与えようとしているのか。でも、ああいう作品でダメージを受けた側は、未体験の人たちにも同様のダメージを食らって欲しい、あわよくば可能な限り最大の衝撃を与えられて欲しいと思ってしまうものなのかもしれない。どういう心理なんだろうな、これは。
Posted by ブクログ
どの作品もそれぞれの個性があり面白かった。
ジャスミン視点の3作は、頭の中で原作ゲームのBGMが思わず流れてしまうような臨場感があった。あざみさんとジャスミンのわちゃわちゃもとても良い。ジャスミンからあざみさんに向けられた感情が3作どれも噛むほど味がする。
特にセンター時代の記憶を振り返りながらのジャスミンの解体が良すぎる。見たかったやつだ〜!と大歓喜してしまった。
どの作品のジャスミンも大好き。
山田ときのこの大学生時代の話は、山田という男をめちゃくちゃ深堀りしている感じで、推してる人なら涎出ちゃうかもしれない。山田もきのこと出会わなければ、あんな風にならなかったんだろうかとも考えてしまうけど。
ガイドさんの話では、「フラメンコは全てを解決する」で笑ってしまった。本当に解決しちゃってたわ。ピンチの状況なのに妙にリズム感のある文章でクスッとしてしまう。
原作ゲームをクリアした後「刹那の感情は何処へ……たすけて……」と嘆いていましたが、ここにありました。とてもたすかる。