【感想・ネタバレ】ニホンカモシカのパール(たくさんのふしぎ2025年11月号)のレビュー

あらすじ

ニホンカモシカは険しい山でくらし、他の動物が通れないような急な崖も、上ったりおりたりすることができます。著者前川さんは、20年以上にわたって青森県の山に通い、その姿を撮影してきました。そして出会ったカモシカの子をパールと名づけます。やがてパールは子を産みますが、暑い夏や雪深い冬を超えて、子育てはうまくいくのでしょうか。

*電子版には、折り込み付録の「ふしぎ新聞」および年3回の一枚絵付録はつきません。

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Posted by ブクログ

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1.感想 
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今年は北海道で野生の鹿やキタキツネに出会う機会があり、自然の動物たちを間近に感じる年でしたが、ニホンカモシカにはまだ出会ったことがないです。会いに行こうと思ったこともないですし…

本書を読んだことで、その希少な動物の姿や暮らしぶりを知り、より興味が深まりました。

近年訪れていなかった青森県にも行きたくなり、とくに脇野沢を訪れてニホンカモシカに出会ってみたいという新しい夢が生まれました。写真を通して伝わる野生動物の厳しい生活にも心を動かされ、自然の中で生きる命の強さと儚さを感じる作品でした。

熊さんも悪いイメージばかりですが、頑張ってるんですよね。


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2.概要
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ニホンカモシカはヤギに近いウシの仲間で、めったに姿を見ることができない動物。筆者も生息地を何日も歩いても出会えないことがあるほどで、その希少さが伝わります。
一方で、人間に対する警戒心はそれほど強くなく、驚かさないように接すれば逃げないという特徴も紹介されています。

本作には、筆者が長期にわたって撮影したニホンカモシカの写真が多数掲載されており、野生の姿を間近に見られます。毎年同じ個体が子どもを産むが、幼いうちに命を落としてしまうことが語られていて、自然界の厳しさが写真と記述から伝わってきます。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

青森県にある脇野沢で出会ったカモシカのパール。動物写真家の前川氏が、同個体を何年にもわたって密着したドキュメンタリーのような一冊だ。
まずとても写真が良い。野生のニホンカモシカの生態を一枚一枚の写真がよく表している。緊張感があって、適度な距離を取ろうとしているのに警戒感からくる真っ直ぐに見つめる正面顔。動物園だけであるがよくニホンカモシカを見る自分にとって、優れた写真の数々に目を奪われた。
パールは雌のカモシカだ。何度も子どもを産み、育て、生き延びる。しかし産んだ子どもはそうはいかない。前川氏が何度も彼女に逢えたのは奇跡に近い偶然なのだ。
前川氏はパールを撮り続ける。なかよくなれたらどんなにいいだろうと想像する、とある。しかし続ける。
「野生動物が特定の人間と深く関わるなど、たぶん、あまり自然なことではないからです。」(本文引用)
この言葉にかえって深い愛情めいたものを感じる。本当に動物が好きな人間は野生動物との距離も大切にするのだ。共感することばかりだった。
野生動物の生存維持はとても難しい。ニホンカモシカは人間にとって今のところ脅威ではないが、昨今のクマ問題と重ね合わせる。害のある無しで判断し生存維持が難しい野生動物に対し、人間の価値観での「線引き」をどうしたら良いのか。永遠の課題と思う。

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2025年11月16日

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