あらすじ
恐怖が生まれ増殖する場所は、いつも「学校」だった――。
繰り返しながら進化する「学校の怪談」をめぐる論考集。
90年代にシリーズの刊行が始まり、一躍ベストセラーとなった『学校の怪談』。
コミカライズやアニメ化、映画化を経て、無数の学校の怪談が社会へと広がっていった。
ブームから30年、その血脈は日本のホラーシーンにどのように受け継がれているのか。
学校は、子どもたちは、今どのように語りの場を形成しているのか。
教育学、民俗学、漫画、文芸・・・・・・あらゆる視点から「学校の怪談」を再照射する一冊。
目次
1章 「学校の怪談」はどこから来て、どこへ向かうのか ―― 一柳廣孝
2章 「学校の怪談」と戦争の影 ―― 吉田悠軌
3章 「学校の怪談」ブームのさきがけ ホラー雑誌と怪談投稿文化 ―― 廣田龍平
4章 令和によみがえる『地獄先生ぬ~べ~』 ―― 真倉翔 岡野剛
5章 「大学怪談」の世界 ―― 吉田悠軌
6章 「学校の怪談」を調査する ―― 朝里樹
7章 特別寄稿 “つなぐ”学校の怪談 ―― 吉岡一志
8章 ブックガイド 現代ホラー小説は学校怪談をどう描いてきたか ―― 朝宮運河
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
90年代をピークとした学校の怪談を再考。ぬ〜べ〜作者インタビューや一柳、廣田といった話者の論考は非常に面白い。朝里との対談ではSNSで生まれる怪談とその採集の難しさも語られる。私もある日公園にいた所、子供たちが怪談を語る姿を見た。まだまだ怪談は消えない。
ぬ〜べ〜の解説ページ、当時は割と飛ばしてしまったのだが、今とても読み返したい気分である。思い返すと結構な情報量だったなあと感じる。
Posted by ブクログ
90年代、常光徹らにより大ブームを巻き起こした「学校の怪談」を現代の視点から読み解くインタビューと論考集。
自分ら世代からすると90年代なんてついこの間という感覚だが、学校をはじめとする子供らを取り巻く環境は大きく変わっていて、当然、そこで流布される怪談や噂などもその在り方は変容を余儀なくされているのだなぁとしみじみ実感。
しかし、本書の編・著者である吉田悠軌をはじめ、一柳廣孝、廣田龍平、朝里樹らの仕事は本当に面白い。昔、小松和彦の「異人論」や「憑霊信仰論」を読んだときの高揚した気分をまた味わえるとは・・・
Posted by ブクログ
怪談研究家 吉田悠軌による「学校の怪談」に関する論考集。90年代に社会現象になった「学校の怪談」の現在を教育学、民俗学、漫画、文芸など様々なな視点で考察しています。新書ですが非常に読み応えのある内容になっています。私は世代なので、教師から怪談話とかを聞いたこともありますし、放課後、教室に残ってこっくりさんなどをやっていました。夏になればTVでも特集が組まれたりと、触れる機会が多いジャンルでした。これから環境が変わっても、姿形を変えながらひっそりと消えることはないと思います。観測はしにくくなりそうですが。
Posted by ブクログ
今は学校の在り方も変わってきているから怪談もなくなりつつあるんだなぁと思いながらも怪談話自体は盛り上がりを見せてきているのが不思議。新しい怪談は出てきそうだけど学校の怪談はどうだろう。