あらすじ
夏休み直前、高2の泪(るい)のもとに、わだかまりがあるまま別れた中学時代の親友から手紙が届く。翌日、彼女に会うため電車に飛び乗るが・・・。なぜか、ほぼ初対面の3人――気さくで人気者の時任、お城が好きな代々木先輩、家に帰りたくないひなも一緒に行くことになって・・・!? 道中では思いもよらない出来事が起こる。舞台は大和西大寺駅、大阪駅、神戸駅、加古川駅、姫路駅、播州赤穂駅、鶴橋駅。『アオハルの空と、ひとりぼっちの私たち』の著者が送る、真夏の青春ロードストーリー!
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Posted by ブクログ
片道数時間の旅で人生が変わるなんてことはないけれど、変わるきっかけになることはある。
過去の自分と向き合うために、今の自分を見つめ直すために、過去の約束を消化するために…
それぞれ何かを抱えて出会った四人が少しだけ旅をするお話。
夏休み最後の日じゃなくて、終業式(夏休みが始まろうとしてるところ)というのがいいよさんらしいなと思うなど。
正直どの四人も未完成な大人予備軍の年齢だけあって幼くて危なっかしくて(時折ため息出ちゃいそうなことも)おいおい大丈夫か?おばちゃんついていこうか?とお節介したくなるのだけれど、10代ってこうだよなぁと遠い昔を思い出してしみじみする。
四人がめちゃくちゃ成長するわけでもなく、少しだけ見える世界が広くなったり見えなかったものが見えるようになる。小さな小さな変化がいとおしい。
「ごめん」の答えが「わかった」としか返せない時だってあるし、許せないこともある。
許されないとわかっていても、許してもらうためではなく言わなきゃいけない「ごめん」もある。
小石のようなわだかまりを瑞々しく描くことにかけてはこの人の右に出るものはいないなといつも思うのです。