あらすじ
石井琢磨氏が解説するクラシック音楽の魅力と新しい楽しみ方。第2の故郷であるウィーンの街、音楽シーンを紹介するとともに、初めてクラシックに興味を持った人が聴くべき音楽家、名曲の魅力を著者独自の視点で解説。さらに近年のYouTube配信事情をはじめ、ピアニストの頭の中がわかる「ピアニスト一問一答」など、盛りだくさんの情報でクラシック音楽を楽しむための一冊。
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Posted by ブクログ
本格派にして人気若手ピアニストによるクラシック入門。
そしてこの本で彼は「本書く派」になってしまったらしい。
単行本だけど、雑誌のような構成。
有名作曲家の紹介、名曲・名盤紹介、ウィーンの街やクラシックのピアニストとしての経験を語る章、YouTubeチャンネル「たくー音TV たくおん」での活動紹介などが配され、その間に対談や批評家が石井さんの魅力を評する文章が配される。
イラストや写真も多数で、紙面は華やかで賑やか。
楽しくて、あっという間に読み終えてしまった。
失礼ながら、この本を読むまで石井さんのことを知らなかった。
YouTuberとしても、クラシックピアニストとしても。
でも、読んでいくと、技巧に頼らず、楽譜を読み込み、作曲家の意図に基づいた演奏を目指していく姿が見えてくる。
真摯な姿に応援したくなってくる。
面白かったのは、グランドピアノを買いに行くコーナー。
お店で試弾する際には、チャイコフスキーのピアノコンチェルト第一番の冒頭を弾くと楽器の特性がわかりやすい、なんていう話もある。
そして同じモデルのピアノでも個性が違うらしい。
「選定サービス」なるものを利用すると、掛川のYAMAHAの工場まで行って、同じモデルを弾き比べて選ぶことができるらしい。
自分はグランドピアノを買うなんてことは一生ないと思うだけに、こんなことがあるのか、と知れたのは楽しいことだった。
練習前にはストレッチをして、練習後には手を水で冷やしたり、消炎剤を使ったりして、手を傷めないようにしているそうだ。
この辺りは趣味でピアノを楽しむ自分たちにも参考になった。
対談は四つあり、菊池亮太、茂木大輔、石田泰尚、高木竜馬の四人が登場する。
菊池さんとはお互いをリスペクトしあい、昔からの仲間である高木さんとは楽しく語っている一方、茂木さんや石田さんとは「オーケストラのことを教わる」雰囲気。
特に茂木さんの親戚に久石譲がいて、作曲家になりたかったら音大の作曲科に行くな、というアドバイスを受けたという話が印象的だった。
むしろ、バロックをしっかり研究した方がいいというアドバイスのもとにオーボエの道に進んだとか。
茂木さんのエッセイはかつて何冊か読んでいたが、この話はあったかな…?