あらすじ
児童養護施設で暮らす高校生のななみ。「馬鹿にされちゃアいけない」という祖母の言葉を胸に、医学部進学を目指し受験勉強に励む日々を送る。ダンス部最後の発表会、初めての彼氏、進学費用のための懸命なアルバイトなど、高校生活を色濃く過ごすなか、ななみが自分の意志で選びとった道とは――。新たな世界へと踏み出す少女の心許なさを掬いとりながら、その前途を温かく照らす感動長編。
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Posted by ブクログ
特別児童養護施設で暮らす高校生のななみの成長物語。この本を読むと、特別児童養護施設育ちの大切な友だちがいるような感覚で、世界を見ることができるようになると思う。
幼い頃にシングルマザーの母を亡くし、祖母に育てられたが、その祖母もななみが小学生の頃に認知症を発症してしまう。二人暮らしが立ち行かなくなり、ななみは祖母に脅されていた「施設」暮らしとなる。
強く生きざるを得ない環境で、ななみは勉強に打ち込み、寮では異例の進学校に進学する。側から見れば、ななみは学業、バイト、部活に精を出す優等生だ。しかし、寮で暮らす子どもたちは高校卒業とともに寮は卒業する規定となっており、その後は自分一人で生きてゆかなければならない。仕送りもなければ、帰る場所も、頼る家族もいない。全国的に、特別児童養護施設から四年生大学への進学例は少ない。そのために、高校生の進学塾予算は限られている。大学進学後の生活費、学費もさることながら、受験費用も重くのしかかる。もちろん浪人は許されない。高2までは必死にバイトをして貯金をし、高3から受験勉強に集中する姿が、痛ましく思えた。
ななみは高校生になるまで、祖母の影響で寮と心理的距離を置いていた。勉強を頑張ることで、「自分はここの子たちとは違う」と思おうとしていた。しかし、寮のスタッフの愛情と、寮の仲間たちの心の純粋さに気づき、徐々に寮育ちの自分を認められるようになる。「人に負けてはいけない、バカにされてはいけない」という祖母の教えからも成長し、本当に自分がやりたいことを見つけることができるようになる。
自分が10代の頃は、全て親がサポートしてくれて当然だと思っていた。恵まれた環境を当たり前と思い、感謝しなかった。私のような子どもと話せば、ななみは傷ついたと思う。
子どもの運命は、大人次第だ。いい大人でありたい。
Posted by ブクログ
ななみが寮の子であることを内緒にしていたため、4人の寮に住む子どもが学園祭に来てくれたのに冷たくしてしまう。それを反省したり、税金泥棒と言われたことに納得いくまで反論するところが高校生とは思えないほど自分を確立している。
子どもは育つ境遇を選べない。時代にそぐわない規則と闘いながら人生を考えていく様子が、しっかりしている。そうならざるを得ない環境に胸がいたむ。寮の子たちに幸せな未来がありますように…