あらすじ
古びた仏壇から見つかった奇怪な文言を記した一冊の古文書。
都内の出版社に勤める四ツ谷武尊は、歴史学研究者の友人・沼堂幼太郎を頼り、家系図をたどりながら先祖の調査を始める。だが祖父は「先祖調査はやめろ」と繰り返すばかり。ほどなく、武尊の自宅マンションには毛虫の詰まった袋が吊るされるなど、不気味な出来事が相次ぐ。やがて辿り着いたルーツの地・K島で、一族にまつわる封じられた記録が掘り起こされる。そこには、歴史から抹消された“四ツ谷一族のある真実”が刻まれていた。島に根を張る奇怪な宗教、呪詛めいた古文書の意味、そして家系図に隠された因縁の正体とは――。
(原題:K島発祥の「瘡ビゑん」信仰に関する蒐集資料)
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Posted by ブクログ
最近流行りのモキュメンタリーホラー。
既存の風習と新興宗教の絡み方や、さまざまな資料の見せ方がなかなか秀逸で、まるでゲーム「SIREN」のアーカイブだけを見て謎解きをしているかのような感覚で、個人的にはとても好き。
ストーリーはそんなに厚いわけではないが、なんせ資料の充実度がすごいので、あまり気にならない。さまざまな現実の歴史の下地があっての資料だったので本当に良かった。最近のモキュメンタリー作品はネットの書き込み等の蒐集というようなネタが多いので、医療従事者の実験記録など、きっちりした資料を作り込んでいるところが素晴らしい。
怖さレベルはそう高くないが、エンタメ性が高かった。
Posted by ブクログ
書店で平積みされているのを見かけ、『変な家』『変な絵』や『近畿地方のある場所について』と似た雰囲気に、何匹目かのどじょうを狙ったのかなぁと思いつつ、乗せられて買ってみることにしました。そうしたら、それらの本よりもずっと私の好み。
『犬神家の一族』や『八つ墓村』にドキドキわくわくさせられた者としては、この呪われた村の雰囲気がたまりません。興味本位で調べているうちに知ってしまう先祖のこと。そりゃ何代もさかのぼれば、悪事を働いた人がいても不思議はない。しかしそれがどうにも理解の及ばない事件だったとしたら。
自分の先祖は調べずにおきます。