あらすじ
10年間働いてきた介護の現場をそのまま書いた記録――
明日は我が身か、我が親か?
刑務所帰りの女性もいた。「死にたい」とつぶやく女性も、
元歯科医も、元社長もいた。イレズミ男の上村さんは言った。
「ここは刑務所よりひどい」
老人ホーム、そこは人生最後の物語の場である。
この本でわたしは夜勤者として見た介護の現場を書いた。
みんなが寝静まった真夜中にどんな物語があっただろうか。
●「まえがき」より
仮眠をしている耳にゴトゴトと音がした。
イラッとする。
Aさんのトイレである。
これで20回目のトイレ。夜明けまでにはあと10回は行かれる。
しかもおちんちんをちょろっと出しておられるので歩きながら廊下を濡らされる。
ときには洗面台の流しに放尿される。
夜勤者はたまったものではない。
ひと晩に30回仮眠から起こされ、30回廊下の拭き掃除をさせられるのである。
注意すると杖を振り回され殴られかねない。
認知症のお年寄りの介護の現場である。
● 目次
まえがき
第1章 元歯科医の井上秀夫さん
第2章 イレズミ男とレビー小体型認知症
第3章 一杯飲み屋の元女将、伊藤ミネさん
第4章 刑務所帰りの竹下ミヨ子さん
第5章 元社長の森山栄二さん
第6章 隠しカメラがあったグループホーム
第7章 パーキンソン病の松山由美さん
第8章 「死にたいです」と言っていた樋口フジ子さん
あとがき
本書に繰り返し登場する介護用語
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
泣きそうになる。人の命の最後がこれでいいのか。いいはずがない。
認知症の妻がグループホームで暮らす自分には、川島さんの書く現実が腑に落ちる。
こんな悲しさを見ず、何が「日本人ファースト」か。
軍備に使う大金を介護や医療の充実に回すべきだと思う。
大金持ちに応分の税負担をさせるべきだと思う。
Posted by ブクログ
『メーター検針員テゲテゲ日記』の川島徹さんがその後、介護施設で働いていたことが語られる。それが見ていられないようなひどい施設で、そんな施設はほんの一握りであると思いたい。うちは父方と母方の祖母が二人とも最後は施設のお世話になっていて、馴染みがあるし、母もかなり弱って来ていていつ施設に入るか分からない。
特にひどいのが死にかけているおばあさんにスプーンを使わせず、箸を使わせて、顔を上げられない状態なのに食べ物を口に詰め込むなどの虐待だ。決して他人ごとではなく自分も将来そんな目に会うかもしれない。これから先、日本が今以上に貧しくなったらもっとひどくなる。恐ろしい。
Posted by ブクログ
フォロワーさんの本棚で見て気になって読んでみました。おおよその想像はしていたが、ここまでとは‥って感じました。そうはならない為に今の自分に出来そうな事から始めなきゃ!って思いました。
Posted by ブクログ
虐待や殺人、セクハラなんかとも紙一重な世界。汚物を処理したり、リハビリをするという建前によって「できない事」を入居者に強制し続けたり、男性介護士による女性の排泄の世話に対しても、かなり限界を超えている。ここでは、簡単に人が亡くなってしまう。
一方で、アルツハイマーやレビー小体型認知症(幻視が見える)、お漏らししたり、食事を溢す、風呂に入れない人たちを相手に、介護する側もストレスが限界に達している。介護士同士のパワハラや虐めも。気がおかしくなりそうな介護士たち。
ここは地獄だ、と思ってしまう。著者の語りが飄々としているから内容は重くなり過ぎないように出来ているが、著者は著者で開き直っている所もあり、やるせない。介護士が足りないし、肉体労働。著者は男性だが、割り切って女性の排泄も対応する。そうせざるを得ないからだ。
こういう世界から目を背けてはダメだと思った。また、こういう世界を知ることが出来て良かった。身内に対してどのような判断ができるか、知ると知らないとでは、大きく変わってくる。
Posted by ブクログ
大変生々しく介護の現場が描かれています。
介護される側、介護を行う側、それぞれの苦悩があり、読んでいるこちらも辛かったです。
直前に「学歴狂の詩」を読み終えた事もあり比べると人生における「朝日」と「夕日」のようでした。
Posted by ブクログ
歳を取る
障害がある
衰える
、、、施設 病院とは弱者びの姥捨て山か?
相応の支援もなく
死んでいく人の最期のひとときとは?
同じ職員としての経験が
作者の思いに共感するが
ありえなくも思う
その周りへも。
歳を取るということは
職
障害がある
衰えるということは
人間が終わるということなのか?
だとしたら、私達は何者なのか?
何様なのか?