【感想・ネタバレ】最後の講義 完全版 政治学者 姜尚中のレビュー

あらすじ

NHK人気番組「最後の講義」の未放映部分を網羅した完全版。アジアの一員として平和な時代のためにいますべきことが語られる。

「今日が人生最後の日だったら、あなたは何を語りたいですか?」という問いに、各界の著名人が魂の講義を行い、毎回深い感動を呼んでいる大人気番組「最後の講義」。
今回の登壇者は『悩む力』や小説『母ーオモニー』など数々のベストセラーがあり、論客としても知られる政治学者の姜尚中。2024年8月に放送された「最後の講義 政治学者 姜尚中」の番組に未収録の講義内容を加えて再構成。17歳~30歳までの日本人と、世界からやってきた高校生から社会人というこれからの日本とアジアを支える若い聴講生たちの講義で得た気づきも収録した完全版。番組をご覧になった方は文字でその内容を再び味わうことができ、番組未聴の方には、講義の臨場感が伝わる。舞台は姜尚中さんの故郷である熊本。世界的な半導体メーカーがやってきたことで注目を集めている場所でもある。内容は姜尚中さんのパーソナルヒストリーとアジアをどう考えてきたかを語った前半と、アジアの一員としてどう生きるかを歴史上の人物から語る後半に分かれている。
前半では、熊本県で在日韓国人として苦労する両親のもとで育ち、高度成長時代の日本と当時は貧しかった母国の状況を考えながら、自分のアイデンティティに肯定的なイメージが持てなかった時代のこと。そしてその転機となった西ドイツへの留学で得た新たな視点。
後半では、いま関係性が難しいアジアの中で、英雄とたたえられた鄭成功、友好な関係を築き、国と国の間をつないできた雨森芳洲の交流などが語られる。歴史をひもとくと、国と国が敵同士になるのではなく、ライバルとして競い、人を通して国を見ることが大切だということがわかりやすく説かれていく。戦争がなぜ起こるのか、ECのようにアジア連合ができない理由、外国人労働者を受け入れるときに日本に求められること、自由とは何かなど、聴講生との本質を突いたやり取りにも未来を考える重要なヒントが詰まっている。日本の中で、アジアの中で、世界の中でこれからをどう生きるのかというヒントが詰まった1冊。
〈目次〉
序章 アジアについてどれくらい知っていますか
第1章 パーソナルヒストリー~僕がアジアについてどう考えてきたか
第2章 質疑応答1
第3章 国を通して人を見ず、人を通して国を見る
第4章 質疑応答2
第5章 講義を終えて

姜尚中(カンサンジュン):1950年生まれ。政治学者。東京大学名誉教授。鎮西学院学院長・熊本県立劇場館長。100万部超の『悩む力』のほか、『続・悩む力』『心の力』『母の教え 10年後の「悩む力」』『ナショナリズム』『朝鮮半島と日本の未来』『アジア人物史』など多数。自伝『在日』、小説『母ーオモニー』『心』は累計40万部。

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Posted by ブクログ

NHK のドキュメンタリーの再構成。その番組を見ていたので、若者との対話の雰囲気や生まれ育った場所を訪ねた時の様子などを思い出しながら読んだ。熊本市内の小高い丘にひしめきあって住んでいたのだが、もう今は何の形跡も残っておらず、草が生い茂る藪になっていた。氏の表情と、私自身の生家の行く末への思いが重なり、何とも言い難い寂寥感を覚えたことを思い出した。
ドキュメンタリーの再構成がベースなのでとてもさらっと読めたが、自分自身、台湾の有名人を咄嗟に挙げることができず、アジアのことを本当に知らないんだということを痛感した。

0
2025年07月12日

Posted by ブクログ

人を通して国を知ることが大切

姜さんの話はもちろん良かったが、参加者の感想もとても良かった。
このように一人一人が考え、他文化を理解しようと行動していったら平和な世界が実現できるだろうと思った。

中国人参加者の話しが印象に残った。
中国語は大きく発声する言語なのだと。
それを知れば、単にうるさいと思う人が減ると思う。
お互いの文化を知ることが寛容な態度につながるんだと思った。

0
2025年04月29日

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