【感想・ネタバレ】母と娘。それでも生きることにした(集英社インターナショナル)のレビュー

あらすじ

「死ぬなら、今だよ!」 母はアクセルを思いっきり踏み込んだ・・・・・・。ネグレクト、肉親からの性虐待、虐待の連鎖、失明の恐れ・・・・・・生きていることが不思議なほどの過酷な現実。母は、20代で死のうと思っていた。娘は、「2年後に死のう」と決めた。愛し合いながらも、交わらない瞳と瞳。それでも母と娘は、生きることを選んだ。サヘル・ローズさん推薦! 開高健ノンフィクション賞受賞作『誕生日を知らない女の子』から12年、運命の母娘を追いかけた衝撃のノンフィクション!

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Posted by ブクログ

著者はノンフィクション作家なのでその名に覚えがあり、ああ何か読んだことがあるなあと思っただけだったのだが、過去に読んだ『誕生日を知らない女の子』の著者で、本書はその続編というべきか、『誕生日を〜』の中に登場した人物へのその後の取材をもとに書かれたものだった。

壮絶な被虐待者である沙織さんは、最初の体験から30年以上経った今もその後遺症に苦しむ人物でもあるのだが、その後授かった娘との共依存の関係にも苦しんでいた。はた目からはやりきれない思いしか湧いてこないのだが、どうにかこうにか、二人がその共依存関係から抜け出しつつあるらしい様子なのはせめてもの救いか。なのに娘の方が、やっと母の呪縛から解き放たれんとしているにも関わらず、別の人物と新たなる共依存関係を作りそうな状況なのが気になる。まあそれも含めて、こういう育ちをしてしまった人物の辿らざるを得ない道ともいうべきか。連鎖は罪深い。

それから、本書の内容ではないところでとても気になったのが著者の文章。失礼を承知で言えば、正直、あまりうまくないというか、わかりにくいというか。取材対象者の逐語表現の箇所はそれはそれでいいと思うのだが、著者が文章を書いている部分は、構成とか時系列とか、もう少し整理して改善できる余地がありそうなんだよね。誰の話なのか、一瞬、ん??と思うこともままあるし、唐突に今の文脈には関係ない著者自身の話が混じったり。それを書きたいなら、それなりの文章の運びがあるよねーと思う。
読みにくくはないのだけど、巧拙で言えば後者な感じです。ごめんなさい。

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2025年04月13日

Posted by ブクログ

生まれてすぐお寺に預けられ
小学校卒業までここで暮らした滝川沙織さん。
実家に引き取られ実の父親、継母、兄との生活が始まる。
後に継母が家を出たことで地獄が始まる。
P76〈死んだように生きる、生き地獄〉
辛い人生を乗り切るには別人格になるしかない。

2013年刊行の『誕生日を知らない女の子 虐待ーその後の子どもたち』に
登場する沙織さんも53歳になった。
2人の子どもを持つお母さん。
別人格となった沙織さんの元で育った娘、夢ちゃん。
彼女が聡明で、お母さんとの距離も弁えている。
若さゆえの危うさもあるのだけれど、夢ちゃんに救われた気持ちもある。
どうか、沙織さん、夢ちゃん、海くんが幸せでありますように。

前作を読んだときにも思ったけれど
なぜ、どうして、このように残酷なことができるのか。
読み進めるのに時間が掛かったが
この先、沙織さんの人生が輝いていますようにと
願わずにはいられない。

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2025年04月10日

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