あらすじ
朝ドラ「あんぱん」で話題!
「アンパンマン」が誕生するまでの知られざる挑戦と挫折の日々を
妻・のぶの目線から綴った小説!
やなせたかし と 妻・小松暢は、戦後間もない頃に出会い
やがて結ばれる。そして漫画家を目指すやなせたかしの挑戦が始まる――。
ふたりの歩んだ生涯を描いた書き下ろし小説。
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Posted by ブクログ
NHKの朝ドラや大河ドラマが話題になると、つい関連する本を読みたくなって手に取ることがある。最近の朝ドラは実在の女性をモデルにすることが多いし、ドラマ的な脚色と実像を比較したくなってくる。
その脚色の妙に感動したり、脚本家さんに注目するのが楽しいのだけど、今回の「あんぱん」の放映は「幼馴染の二人が戦後に再会し、心を通わせて結婚したのか…ん?やなせたかしさんてそんなよく出来たお話みたいな人生だったのか?」と疑問に感じて、この本に手を伸ばしました。
やはり実際は幼馴染などではなく、変に設定を盛っていない本作の方が素直に良いと感じる。
妻・暢(のぶ)さん視点でやなせさんと出会うシーンはこの作品で最初にときめいた場面。空腹を堪え、幼い兄弟にパンを与える描写はまさにアンパンマンだった。
実の母に捨てられ、卑屈になっても育ての親の心根に触れて涙するシーンはこちらも涙が止まらなくなった。
夫婦2人の会話は穏やかながら、温かく、地の文はテンポが良くてやなせさんの鬱々としたマイナス思考の描写でもサクサク読めた。というか割に私も考え方が近いのか、人との違いや能力の低さに勝手に落ち込むのは自分としてもよくあるので、分かりみが深かった(笑)
漫画家として中々芽が出ない己に悩みながらも暢さんと二人三脚で歩む人生は素敵なものだったと思う。