【感想・ネタバレ】新・空き家問題 ――2030年に向けての大変化のレビュー

あらすじ

今や、7軒に1軒が空き家!
2024年4月、総務省は住宅・土地統計調査を発表。それによれば、空き家は全国で900万1600戸に達した。7軒に1軒が空き家ということになる。しかも今後、首都圏に大量相続時代が到来し、さらなる空き家の増加が予想されている。なぜこうなってしまったのか。業界の第一人者である著者は、この結果を必然であったと分析し、2030年以降に大変化が起こると言う。すなわち、天国(首都圏の家が買いやすくなる)と地獄(相続登記をしないとペナルティが課せられる)が待っている。どうすれば空き家を減らせるのか。空き家になったらどう対処するのか。空き家を通して、日本社会の「現状」と「近未来」を読み解く。

(以下、目次より)
●空き家900万戸の衝撃
●空き家の半分以上はマンション空き住戸
●実は世田谷区は空き家天国だった
●おひとりさま老後のリアル
●ついに、国が重い腰を上げた
●絶対に押さえておきたい法改正
●親の財産を知ることから、空き家対策が始まる
●相続登記をしないと……
●空き家バンクを活用しよう
●不動産投資ブームに群がる人たち
●2030年以降に起こる大変化
●都内優良住宅が大量にマーケットに
●住宅量産政策からの転換
●街プラウドの醸成が空き家をなくす

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

不動産を相続する予定がある人は一読されたしと思う。

「2030年には空き家率が増える」という内容をメインに、生活様式の変化、高齢化社会、社会インフラ、街づくり、法制度などにも触れて、現状の課題の一部が紹介されている。我が家は賃貸だし、実家の相続問題もあるので他人事ではない。

私が今住んでいるところは23区だけど一軒家が多いエリアで閑静だ。住んで気が付いたが、思ったより空き家が多い。管理が行き届いた家もあるが、草木がうっそうと生い茂っている家もある。気に入った家があればお手紙を書いてポストに投函して交渉するのもありなのではないかと思うぐらい空き家が多い。

筆者が言うには、2030年を軸に前後3~5年にこの大量相続問題が世間を賑わせるようになるはずとのこと。

0
2025年02月27日

Posted by ブクログ

空家放置の根本的な問題は日本では不動産の私権が強いとのこと
法律改正を進める事が大事

人口減少と高齢社会化の問題に直面している。デベロッパーと国、自治体で協力をする必要がある。
特に単に営利が優先し、外国人や富裕層をターゲットにしたマンション開発による高騰化は問題。

相続問題は法律改正が進んでいるようだが、税金への取り組みはなかなか変わらなそう。

0
2025年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者の語り口が彷彿される、相変わらずの読みやすさ。内容は知っていることで、N氏は俺でも書けるというけれども、こううまくは書けない。
・現下の23区内の新築マンションは資産としての評価が強い。
・2030年以降相続により首都圏の空き家問題は深刻化し、またZ世代の意識の変化もあり、住宅は消費財になる。
・処方箋として都市計画の強化と土地の国有化を提示。

0
2025年06月06日

Posted by ブクログ

裏付けをもとに丁寧に解説をしてくださっているので、よく理解ができました。
2030年に向けて世の中がどのように変わっていくのか、少しドキドキしていますが、良い方向に変わっていくことを期待しています。

0
2025年05月06日

Posted by ブクログ

仕事柄、空き家という言葉には非常に敏感な私だが、本書の内容は不動産事業に携わり、常にその実態と真っ向から向き合う私にとっては、大変心強いものでもある。空き家は勿論それ自体、放置して仕舞えば何も価値は生まず、寧ろ老朽化した建物が火災でも起こせば近隣住民に害を及ぼすし、庭木が生い茂れば夏には虫が大量発生して、それもまた近隣住民を悩ませたりする。怖いのは犯罪目的で利用されようものなら、周辺地域の治安の悪化にも繋がってしまうことだ。こうして見ると、(放置された)空き家には何も良いことはないし、価値は見出せない。
本書は2014年に出版された「空き家問題」の続編というより、最新のデータを用いた上で、現状の空き家に潜む問題と解決に向けた展望を改めて書き直した、という表現が相応しいものだ。過去に筆者が述べてきたことは、間違いなく当時の状況よりも更に悪化しているだけでなく、国もその間様々な法整備や対策を行ってきたものの、実際の効果といえば、数値が語る様に期待を大きく裏切る結果となっている。もしかしたら、もっと酷い数値予測がある程度、施策の効果で軽減されたのかもしれないが、であれば不十分すぎる状況にある。
2024年総務省公表数字(2023年統計)では全国の空き家数は900万戸を超え、2018年調査から、僅か5年足らずで50万戸以上増加した。国内の住宅総数6500万戸から換算すると空き家率は13.8%、日本中の家の7軒に1軒は空き家という計算だ。このまま増加すれば2028年には1000万戸を超え20年後には1800万戸に及ぶという調査結果もある。4軒に1軒が誰も住んでいないという未来を想像できるだろうか。それでも相続税対策などで賃貸住宅の新規着工数(戸建て含め81万、うち4割にあたる34万戸が賃貸)は止まることを知らない。因みに全国の空き家のうち半数(49%)は賃貸住宅(マンション・アパート)になっている。こうした事実がある中、次々と建てられる賃貸物件に未来があるのか、と尋ねられれば、仕事柄はあるとしか言えないが、個人的な考えであっても、「十分にある」と言える。ただしそれには条件が必要だ。今や賃貸物件も多様な生活スタイルや嗜好に合わせたものでなければ、中々選ばれない時代になっているし、若い世代の考え方を十分に取り入れなければ賃貸事業の安定維持は難しくなっている(家賃保証制度はそうしたリスク軽減に役に立つものではあるが)。今のままの無尽蔵な供給スタイルが続けば、筆者だけでなく、国の官僚たちが恐れる未来はやがて到来する。冒頭にも書いたが、私はこの時代、今の様な状況にこそチャンスがあるとしか思っていない。
本書でもそうした空き家問題を単純な負の状況として受け入れるのではなく、自治体の成功事例や国の介入の必要性(税制の見直しや土地所有に対する考え方など)を訴え、この直面する空き家問題を打破することに重きを置いて描いている。現実、それらを実践する自治体の数が増えているだけでなく、供給企業側にも様々なアイデアや施策が生まれて、賃貸事業一つとっても、リノベーション、老朽化対策、災害対策(地域の災害発生に備えたステーション化など)、コミュニティとしての役割、スマートハウスなどIT化による住まう人の快適さを追求するに止まらず、更にはそれを地域活性に繋げる所まで見据えた取り組みがなされている。空き家になって単純に価値を失うのではなく、時代時代にあった需要を取り込みながら街の一部として再生させていく取り組みに積極的に取り組む事業者が増えてきた。寧ろそうしなければ、本書に描かれる負の側面ばかりが強調され、誰も新たな家を建てようとは思わないし、単に売るだけの企業の淘汰はすでに始まっている。
空き家は地域住民にとっても社会にとっても頭の痛い問題であるばかりでなく、賃貸事業を営む個人や企業にとっては死活問題だ。だからこそ、そうした問題が数値上に顕著に表れている今こそ、そこに問題課題解決の取り組みが生まれる素地がいくらでもあるといえる。そう、それまでの土地や建物の住民が居なくなり、作り替えるタイミングだからこそ出来ることが沢山あり、これこそ宝の山だと感じる。そして冒頭に書いた様に、本書が心強く感じた理由の一つに、それを分かりやすく数値で可視化し、新書という誰もが容易に理解できる文量の中に、その対策や方向性まで記してくれる様な筆者のような存在が居ることを知ったからだ。
いよいよ人口減少でこのままいけば経済は縮小し、GDPレベルでは世界のトップからは遠ざかっていくだろう。だが空き家問題をきっかけにコンパクトシティ化を促進し、更にはこれからを担う若い世代のニーズに柔軟に対応し、それを国が強力にバックアップする。そんな未来はきっと恐らく今よりも充実して幸せを感じられるのではないかと思う。戸建て、賃貸など形式は様々でも、人が住まう「家」という観点で新しい未来を描く大チャンスと捉える。

0
2025年04月30日

「ノンフィクション」ランキング