【感想・ネタバレ】政策の哲学(集英社シリーズ・コモン)のレビュー

あらすじ

■哲学なき経済学は、何を間違えたのか?
■異能の官僚が切り拓く、新たな「知」が日本を救う!

■絶賛!
周到にして大胆、理論的かつ実践的、
根源的かつ論争的な、比類なき哲学書。
――佐藤成基(法政大学教授)

【内容紹介】
なぜ世界経済は停滞し、どの国でも政治の不在を嘆く声が止まず、国家政策は機能していないのか――。
その理由は政策の世界で覇権を握っている主流派経済学の似非科学的なドグマにある。不確実性に満ちた世界で、とりわけ多中心性と複雑系によって特徴づけられる複合危機の時代において、社会の実在を無視した経済学に振りまわされた政策は毒でしかない。
そうした経済学の根源的・哲学的矛盾を衝き、新たな地平を切り拓くため、異能の官僚が批判的実在論を発展させた「公共政策の実在的理論」を展開する。

【著者プロフィール】
中野剛志 なかの・たけし (評論家)
1971年生まれ。東京大学教養学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2003年にNations and Nationalism Prize受賞。2005年エディンバラ大学大学院より博士号取得(政治理論)。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞)、『富国と強兵』(東洋経済新報社)、『TPP亡国論』(集英社新書)など。主な論文に‘Hegel’s Theory of Economic Nationalism: Political Economy in the Philosophy of Right’(European Journal of the History of Economic Thought), ‘Theorising Economic Nationalism’ ‘Alfred Marshall’s Economic Nationalism’(ともにNations and Nationalism), ‘“Let Your Science be Human”: Hume’s Economic Methodology’(Cambridge Journal of Economics), ‘A Critique of Held’s Cosmopolitan Democracy’(Contemporary Political Theory), ‘War and Strange Non-Death of Neoliberalism: The Military Foundations of Modern Economic Ideologies’(International Relations)など。

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Posted by ブクログ

国家は、行為主体に依存はするが還元はできない実在する「構造」であるとし、自律的なパワーを持ち、社会に半・規則性を与える。

・主流派経済学の非科学性

・国会のパワーの源泉は、「埋め込まれた自律性」
→さまざまな利益集団との重層的な力関係に巻き込まれることによって、かえってその力関係の合間を縫って泳ぐ余地、いわゆる「マヌーバー」を確保できる

・国家行為者は政策担当者として特別に訓練されることで、実在の領域の中から個別の事象を生成する構造やメカニズムを遡及的に推論し、判断する能力=「特別に訓練された直感的裁量」を獲得する

・「既知の結果(あるいは設定された目標)から未知の原因を推論する」

・政策の一次管理と二次管理

・「漸進的であるが総合的な変化」をもたらすことこそがポスト批判的実在論に基づく公共政策の要諦

・社会は複雑系であり、経路依存性を帯びる

・現代貨幣理論との整合性

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

キレッキレの正論で、慎重周到に積み重ねた論で正統派経済学が科学ではないと一刀両断にし、本来の政策の立て方、進め方を説いた。長いものに巻かれるだけで本当の意味での哲学を持たない者が国家運営などできないと明快に述べていて爽快でした。

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2025年06月02日

Posted by ブクログ

インフレだから利上げする。財政赤字なので増税する。いちいち判断などしない。教科書通り、マニュアルに従う。その根拠となっている主流派経済学は学問ですらない。…経済学にも何某かの原理は存在する。複数あって、相互に影響しあっている。主体者も参加者となる社会科学では実験はできない。他の条件を排除しての比較もできない。潜在している法則は起きた事象から遡及し探る。試行錯誤し、過ちも犯す。政策担当者の裁量は大事だ。批判的実在論、社会的創発、閉鎖系と開放系、経路依存性、可謬主義...。知識だけでなく考え方も勉強になった。

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2025年02月11日

Posted by ブクログ

全ては理解できなかったが読みやすくはあった
様々な理論を基に論じているため説得力はあるように感じた
ただ、最後の方で課税は財源ではない旨の話があり、後味として懐疑的な思いが残ってしまった

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2025年09月03日

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