あらすじ
2023年の名目GDPで日本はドイツに抜かれました。多くの日本人が「日本人は長期休暇も取らず、遅くまで残業しながら一生懸命働いているのに、ゆったり働く時短国家ドイツに抜かれたのは意外だ」と感じました。
ドイツ人は、仕事をする時に能率や効率性を我々日本人よりも重視します。無駄な会議、費用をカバーする十分な見返りが期待できない仕事を嫌います。そういう仕事には初めから時間や労力を投入しません。
ドイツ人の働き方の中には、日本でも応用できる点がいくつかあります。本書では、ドイツ人流働き方の内、日本でも使える点を選び出して、少しでも仕事の効率性、生産性を高めるための方法を、わかりやすく解説します。
日本人よりも多く稼ぎ、世界で最も労働時間が短い理由を、
ドイツ在住34年のジャーナリストが解説!
働き過ぎを防ぐ仕組み/2、3週間の長期休暇をとるのは常識/平社員の有休消化率は100%/時短と休暇がもたらす心の余裕/短時間で成果を生む社員を評価
■目次
第1章 なぜドイツの名目GDPは、55年ぶりに日本を抜いたのか
日本の名目GDPが第4位に転落/日独逆転の原因はドイツのインフレと円安だけではない/バブル崩壊後、日独の成長率が逆転/日本の1人当たり名目GDPがG7で最下位に転落/日本を大きく上回るドイツの賃金水準 他
第2章 ドイツは世界最大の時短国家。働き過ぎを防ぐ仕組みは?
短い労働時間でも経済が回る国/ドイツの銀行で「個人の時間を重視する働き方」を目撃/世界で最も労働時間が短い国/法律で労働時間を厳しく規制/長時間労働をさせる企業には最高500万円の罰金 他
第3章 ドイツのワークライフバランスは日本を上回る
みんなが休むための合意がある国/顧客のサービス期待度が日本よりも低い/宅配便の再配達がない国/サービス砂漠だから、みんなが休める/日本でもサービスレベルを下げるべきではないか 他
第4章 コロナ後、ドイツ人の働き方はどう変わったか
今も4・3人に1人がテレワーク/家事の負担を夫婦で分かち合う/会社側は、出社率の引き上げに必死/テレワーク議論が訴訟に発展
第5章 ドイツはさらに時短を目指す・週休3日制への模索
週休3日制をめぐる議論/週休3日制はストレスを減らす/デジタルウォッチでストレス時間を計測/企業経営者は猛反対/週休3日制について活発な議論 他
第6章 日本でもできる、時短のためのヒント
長期休暇を取るには共有ファイル設置が第一歩/休みの時の「代理人」確保も重要/管理職には顧客対応システム構築の責任がある/休暇中には会社のメールを読まない/社内メールはできるだけ少なく 他
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
元NHK記者だった著者は、30代初めに日本での会社勤めに見切りを付け、ドイツでのフリージャーナリストに転身し、約30年ドイツでの暮らしを経た今、この本を記した。
端的に言えば、経済成長しつつ日本人(社会)の働き過ぎを変えるためには、制度改革と同時に「顧客最優先」の考え方を「諦める」ことを受け入れること、なんだなあ。自分を含め一人一人の暮らしを最優先にすることに、社会の合意が必要なんだ、と。引き換えるもの必要、って当たり前なんだけど、難しいんでしようねー。
Posted by ブクログ
日本は名目gdp成長率が鈍化した、ドイツは上昇した。ドイツの賃金水準は大きく上回る=労働組合が強い。顧客に忖度しない。
シュレーダー氏の改革=社会保障制度を制限、ミニジョブと呼ばれる低賃金労働市場を生み出した。反面、ワーキングプアが増えた。=アゲンダ2010。
労働生産性が高い。インフレ率が高い。円安。
以上の原因で、GDPは日本を追い越した。
仕事が残っていても夕方には帰る。世界で最も労働時間が短い。1343時間。日本の労働時間はドイツでは36年前に当たる。
法律で10時間以上の労働は禁止、サービス残業はアリえない。残業をさせるためには事業者評議会の同意が必要。30日間の有給休暇。金曜の12時にウイークエンドが始まる。傷病休暇と有給休暇は別。バカンス中でも病気にかかったら、傷病休暇に切り替えて有給を返す。日本は、病気のために残すので、消化率が上がらない。仮病には制裁措置が厳しい。バレたら即刻クビ。モラルハザードに対する歯止め。休暇中はメールも読まない。
休暇は重要な気分転換。まとめて2~3週間、リゾート地に滞在する。そのためのパッケージツアーが安く用意されている。
税理士のようなフリーランサーも3週間休む。
イギリスでは、長くても1週間。日本と似ている。
サバティカル制度がある。長期休暇が終わっても元の職場に戻る。人手不足だからこそ、休暇を設けて人を集める。
管理職を含めて、余人をもって代えがたい、状況はない。
教養休暇もある=教養を深めるための休暇。実際に取っているのは3.5%。
アメリカにはガーデニング休暇=転職の際に、まとめて休むことを矯正する=得意先を奪われないように。
産前産後休暇は14週間。3年の育児休暇、67%の育児手当。
退職金はないが、4年間の有給休暇がある=アクティブシニアパートタイムとシニアパートタイム制度。
日本では、アリとキリギリス思想がある。
ドイツは法的規制が厳しく例外が許されない。健康を守るための法律は厳しい。
「メメント・モリ」=死を考えよ。いつ死ぬかわからないことを思い出せ。
ドイツでは長期休暇は働くものの権利=そのために不便になってもあたりまえ。全員が休暇を取るので、当たり前になっている。サービスを提供する人も休める。
日本は顧客第一主義、融通をきかせるのは当たり前。
宅急便の再配達はない。近所に預かってもらうか、廊下に置く。
売り手のサービスレベルが遥かに低い。社会全体のサービスレベルを低下させても、みんなが休める社会。
サービスは有料。チップを払う習慣がある。
他人の感情に対する思いやりがない。ドライな人間関係=個人主義。日本は、おもてなし文化がある。
ドイツは無駄を嫌う=会議に遅刻しない。労働時間が少ないことが評価される。日本は逆。
管理職と平社員の待遇の差は大きい=管理職が長く働くのは当たり前。ジョブ型採用が多い。上司は保護義務を追っている。部下の健康を守る。部下の残業が多いと、自分の勤務評定が悪くなる。
フレックスタイム制でコアタイムがない。信頼労働時間、生涯労働時間口座に蓄積して退職時に受け取る。
残業しないで短い時間で成果を出すことが優秀な社員。
成果主義、信賞必罰は厳しい組織でもある。
カフェテリア、買い物、タバコなどはタイムカードでチェックする。
ドイツは感情よりも法律を尊重する。清濁併せ呑む、融通無碍、はない。水清ければ魚棲まず、ということわざはない。「すべての人は自分のことだけを考え、神様はすべてのことを考える」
空気を読む、忖度、とは無縁。
個人主義の裏返しとして法律遵守の姿勢がある。
ドイツの離婚率は日本より2~3割高い。仕事ばかりシていると離婚の理由になる。塾、予備校はないので子どもの家庭教師は親。子どもたちは10歳で選別される。敗者復活は極めて少ない。夏休みの宿題はない=夏休みは体を休めて回復する期間。宿題は月から金まで。土日は休み。
日本の自殺率は世界的に高い。ドイツは半分以下。
日本、韓国が高いのは儒教的文化、同調圧力が強い現れではない。生きづらさにつながる。
ドイツでは仕事は生活の糧。自己実現する手段とは考えていない。
コロナ禍のテレワークは従業員には好評だが、会社は出社率を上げようとしている。
労働力不足を背景に、組合のちからが強くなっている。賃上げ交渉、労働時間の交渉など。週休3日制も始まっている。社員の半分は収入より自由時間を選ぶ。
10時間以内労働、30日の有給休暇、傷病休暇などは労働組合の力がったからこそ。ストライキも辞さない。
お客様の迷惑を忖度しない。
属人主義ではない。いろいろ決まっている事が多いので社内規定を曲げられず、顧客に寄り添うことはできない。雇用の流動性が高いが、顧客の取引は同じようにう続く。
共有ファイルと、休みのときの代理人依頼によって、休みを滞りなく過ごせるようにする。メールも転送する。管理職は給料が高いので、休みでもメールを読む。
Posted by ブクログ
日本での働き方しか知らない自分にとって、意表をつくような内容が多くあると感じた。また、ドイツで働くことを羨ましく思った。
全体を通して、ドイツでは労働時間に対して法律で厳しい規制があるが故に短い労働時間が実現できていると感じた。サービスに対して過度に期待していないという国民共通の考え方も労働時間の短縮につながると思う。
日本より少ない労働時間と人口でなぜGDPが日本を上回ったのかは正直わからなかった。
日本とドイツを比較していいところ、改善できるところどちらもあると思うがまずは自分のできるところからドイツの考え方を取り入れてみようと思う。
Posted by ブクログ
2024/12/28読破
一言 目指せ週休3日
感想 自社における週休3日制獲得の案をもらえました。週40時間を分配して働くこと。不在時の顧客対応の仕組みを維持ておくこと
Posted by ブクログ
【ブランドを売れない日本】
「日本のGDPが世界第3位から第4位になりました」
このニュースを聞いたときに新興国に猛追されて追い抜かれたのかと思いましたが、日本を抜いたのは先進国であるドイツでした。
ドイツは日本の70%の人口しかいません。また、労働時間が短いことで有名。
年間有休30日は100%消化して、1年に一回は3週間の休みを取る国。世界一旅行者が多い国。子供に習い事をさせることもなく、夏休みの宿題は禁止されている国。
日本とは真逆。
だから日本より稼ぎが少ないのであれば、納得もいくのですが日本より稼いでいる。この事実は真摯に受け止めるべきです。
海外旅行をするためには休暇も必要ですが、お金も必要になります。これを両立しているのがドイツです。
イタリアやフランスほどではないにしても、ドイツはブランドをうまく養生しています。
特に市場規模の大きい車は、メルセデスベンツ、BMW、ポルシェなどプレミアム価格の高級車にもかかわらず世界中で売れています。車を構成する部品に関しては今やどこも同じで大差がないにもかかわらず、それらの車は高い値付けでも売れるのです。彼らはブランドを売っており、ブランドという形のないものに世界中の人はお金を払っています。
ドイツ人のように仕事と休みを完全に分けて、仕事は生活の糧を稼ぐだけでそれ以上のものではないと割り切るのも重要に感じてきました。
人生は短い、仕事で膨大な時間を費やしている場合ではない、人生を楽しむことが必要です。