【感想・ネタバレ】エンバーミング・マジック2 青春を殺す魔法【電子特典付き】のレビュー

あらすじ

魔法使いという特別な立場の僕たち。しかし、それ以前に学生である。
目前に迫る学園祭。
なぜか、僕とナギさんは実行委員会として働くことになるが、爆破予告に委員長への告白の協力、炎上騒動や、軽音楽部のトラブル……とてんやわんやな状態だった。
どこか浮ついた、それだけでない、異様な学生たちの熱狂には危うさが付きまとい――。

そんな中、ミコさんから学校に潜む「魔法売り」を探し出してほしいという仕事の依頼を受ける。
それは特別な魔法を無秩序にばらまいているという。

……魔法はなくなるべきだというのに。

学生たちの熱と魔法が複雑に絡み合う、現代を生きる魔法使いたちのジュブナイルファンタジー第2弾!【電子限定!書き下ろし特典つき】

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『エンバーミング・マジック2 青春を殺す魔法』は、青春と魔法という一見相反する要素を用いながら、「選択が取り返しのつかない結果を生む」という現実を、最後まで誠実に描こうとした意欲作だった。魔法は希望や救済ではなく、行使する者に倫理と責任を突きつける装置として機能し、登場人物たちはその重さに抗いきれないまま、未熟な判断を重ねていく。その姿は痛々しくもあり、同時に強いリアリティを伴って胸に迫る。

本作が優れているのは、青春を美化することを拒み、むしろ「若さゆえに避けられない過ち」や「善意が裏目に出る瞬間」を丁寧に描き出している点にある。正解のない状況で選択を迫られ、その結果に押し潰されそうになりながらも前に進もうとする姿は、ファンタジーの枠を越えて、現実の人生とも重なって見える。読後に残るのは爽快感ではなく、思考と感情の余韻であり、それこそが本作の誠実さを物語っている。

一方で、シリーズがこの巻で打ち切りとなったことは、やはり惜しまれる。物語としてさらに踏み込めたであろうテーマや、深まるはずだった人間関係を思うと、未完の印象が残るのは否めない。しかし同時に、商業的な都合とは別に、この作品が描こうとした核心――青春が必ずしも救いではなく、時に人を壊すものであるという視点――は、すでに十分な強度をもって提示されているとも感じる。

完結に至らなかったからこそ、この物語は読者の中で思考を続ける余地を残した。打ち切りは残念だが、それによって作品の価値が損なわれたわけではない。むしろ、安易な結論に回収されなかったことで、「青春と魔法の危うさ」というテーマは、より鋭く記憶に刻まれる。未完でありながら、確かな爪痕を残す一作だった。

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2026年01月30日

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