あらすじ
ウポポイ開業から4年、先住民族アイヌとその文化への関心が高まっている現在、文化人類学、社会学、ジェンダー研究、マイノリティ研究、言語学、口承文芸学などのさまざまな分野研究者を結集。アイヌ観を塗り替える試み。
オールカラー写真、イラスト、図版満載!!
【本文より】
先住民族アイヌとその文化に対する関心が高まっています。
それは、2020年のウポポイ(正式には「ウアイヌコロ コタン」あるいは「民族共生象徴空間」という)の開業と前後して、アイヌ出身と設定された登場人物たちが活躍する漫画が人気を博したことも大きく影響しています。
関心の高まりとともに、アイヌ民族に対するさまざまな考えや意見が巷にあふれるようになってきましたが、その中には必ずしもきちんと実証された事実に基づいているわけではないものが見られます。
そのような意見や考え方は誤解を生み、それが差別や偏見、時には相手を貶める暴力的な発言へとつながります。
今日ほど先住民族アイヌに関するきちんと実証された事実に基づく「正しい認識と理解」が求められる時代はないのかもしれません。
そのためには最新のアイヌ研究を統合した、分野横断型の「アイヌ学」の確立が急務です。
本書はその最新の「アイヌ学」の動向をわかりやすく伝える「入門書」です。
【主な内容】
鼎談 なぜ今アイヌ学か
香山リカ/佐々木史郎/北原モコットゥナシ
第1部
ダイジェスト「アイヌの歴史」
北海道に人類が初めて上陸した3万年前から今日に至る、
アイヌモシリの歩んできた道を通史的に概観する。
第2部
世界からみたアイヌ
グローバルかつ世界史大の視点から従来になかったアイヌ民族/文化像を描き出す。
第3部
もっと知りたいアイヌのこと
「民族」としてのアイヌのあり方、あるいはアイヌ文化やアイヌ語を深掘りする。
第4部
アイヌ研究の最前線から
専門研究者の視点から最新のアイヌ民族、アイヌ文化、アイヌ史の研究を紹介する。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
"アイヌ民族研究とはどのようなものであるべきなのか?アイヌ民族の声を反映しないアイヌ研究が、正当な研究として認められるべきなのか?アイヌ民族の声と主体性が重要視されるようなアイヌ研究の確立が今後の課題とされる。"
何も知らなかった。知りたいと思ってこの本を手に取って良かったけれど、もっと前から知らなくちゃいけないことがたくさんあった。
マイノリティ研究としても価値のある本だと思う。アイヌとは何か?をさまざまな視点から複数の執筆者が語ってくれる。
人がそこに生きて築いてきた文化にどう向き合うべきなのか。社会構築主義のことを改めて思った。
北海道に旅行することとなり、せっかくだからと読んだ一冊。こちらも専門の本をもっと読みたい。そして、自分のこととして考えたい。