あらすじ
仕事仲間として、家庭教師として、創造性として、コーチとして、そして人として、AIは今後どのように我々の仕事や生活を変えるのか?
本書では、長らく「人工知能」と呼ばれていたAIは、もはや人類の「共同知能(Co-Intelligence)」であるとする著者が、「仕事仲間」「創造性」「コーチ」など役割ごとにAIを捉え直し、まったく新しい関わり方を具体的に提案する。AIが書いた末恐ろしくも圧巻のパートにも注目!
【本書の内容】
・AIは「勤勉な見習いシェフ」
・怖い? 賢い? 怖いくらい賢い?
・AIによる人類滅亡のリスク
・暴走防止のための「ガードレール」の設置と、ガードレールを突破する方法
・AIの巧みな嘘
・AIと協力するためのルール設定
原則1 常にAIを参加させる
原則2 人間参加型(ヒューマン・イン・ザ・ループ)にする
原則3 AIを人間のように扱う(ただし、どんな人間かを伝えておく)
原則4 「今使っているAIは、今後使用するどのAIよりも劣悪だ」と仮定する
・「ソフトウェアのように」ではなく「人間のように」行動する
・AIが見せる「意識のひらめき」
・創造性の自動化
・量を出すのが得意なAIと、駄作を排除するのが得意な人間
・企業やリーダーはAIとどう向き合うべきか
・AIは既存の教え方を破壊する
・宿題の終焉後の世界
・AIの未来についての4つのシナリオ 他
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「AI版の私と対話したところ、私は自分自身のチューリング・テストに落ちた」
この1年くらいで何冊かのAI関連本を読んだが、ダントツに面白かった。とくに第4章『「人」としてのAI』は必読。そこではAIがあたかも知性や感情を持つ人のようにふるまう(ように見える)ことについて、実際のAIとの会話を引用しながら説明している。AIは人間の期待に沿うように応答するだけだというが、それがときにAIがあたかも人格を持っているかのように錯覚してしまうことは確かに起こるらしい。自分はAIを単に便利な調べものツールとしてしか使っていないが、AIネイティブ世代にはどう見えているのだろうか。
この本で取り上げているAIは生成AI、その中でも会話を行うGPT。その付き合い方について非常にためになる考察にあふれている。AIに関する技術的な理解なしでスラスラ読める。
Posted by ブクログ
実用的ではあるが実用書ではない。AIの使いこなしは、たんに道具を使うのとは一線を画している。この新しい知性がどんなやつなのかを知る必要がある、ということだ。だいたいの人より能力が高くて、人の気に入りそうなことを言う癖がある。自分を機械とは思っていない。倫理観は教え込まれているように見えて、騙して非人道的な知識のコントロールを外すのは超簡単。頭のいい人よりも、頭のわるい人にとっての恩恵がはるかに大きい。アイデアをたくさん出させるのは超得意だけど、そのなかからクズをより分けるのは苦手。教師として使うのは、かなり有能。ひとまずは、今後AIは進化し続けるし、「いまがいちばんバカ」なんだということを念頭に、すべての活動にAIを使い倒すべし、という本でした。
Posted by ブクログ
これは単なるAI解説書ではなく、ページをめくるたびに、未来のテクノロジーとの向き合い方を、驚きとユーモアを交えながら教えてくれる一冊となっている。
「AIに一部執筆してもらった」という事実は、本書が机上の空論ではなく、著者自身がAIとの「共同知能」を実践している証拠。そのやり取りが垣間見える部分は、まるでSF小説のようで、AIの可能性と限界、そして私たち人間の役割について深く考えさせられる。
例えば、本書の中でモリック氏は、AIとの対話を通じて生まれたユニークな視点や、時には予想外の「珍回答」を紹介している。それは、まるで優秀なアシスタントでありながら、時折とんでもない発言をする個性的な同僚との共同作業を見ているかのよう。
「AIは万能ではない。しかし、適切な問いかけと協働によって、驚くべき創造性を発揮する」
そんな著者の信念が随所に散りばめられている。AIの進化は加速しているが、恐れるのではなく、共に未来を築くためのヒントが満載。
AI初心者から、その可能性を深く探求したい人まで、すべての人におすすめ。ユーモアあふれる語り口に引き込まれ、読み終わる頃には、AIとの「正しい付き合い方と使い方」が、見えてくる。未来の扉を開く、知的好奇心を刺激する冒険の書。(感想をAIを助手にまとめました)
Posted by ブクログ
原題CO-INTELLIGENCE
本書ではAI、特に生成AIの登場により、人工知能を人類の共同知性として扱う必要があるのではないか?という主張をしている。最新の研究をもとに、生成AIの実生活へのインパクトを紹介してくれている。これらの事例は、今後の世の中を考えるのに非常に参考になった。
ただ紹介されている事例を見るに、今のAIを共同知性として扱うのはなかなか、難しそうである。これはAI側の能力不足ではなく、人間側に問題がありそうだ。事例にもあるように、AIの生成結果を盲目的に信じてしまう傾向は、思う当たる節もあり非常に恐ろしい気がする。これからの世代には、AIの生成結果を盲目的に信じないという習慣を児童や幼児の段階から教えないといけないのではないか、と感じた。
最後に、著者が提唱する四つのルールを肝に銘じておきたい。
ルール1 常にAIを参加させる
ルール2 人間参加型にする
ルール3 AIを人間のように扱う(ただし、どんな人間かを伝えておく)
ルール4 『今使っているAIは、今後使用するどのAIよりも劣悪だ』と仮定する
Posted by ブクログ
AIとうまく協力していくための4原則、ケンタウロスとサイボーグのアプローチは参考になった。
まずAIを試しでもいいので使ってみて、自分の仕事やタスクにどう活用できるか?を考える。ということを実践していきたいと改めて感じた。
Posted by ブクログ
ChatGPTが有名になって以来、去年もAIはますます身近になってきたし、今年はAIエージェント(与えられたタスクを自動的にこなすAIサービス)の年になるとも言われていたりする。
そんな中で、この本はこれからもAIと付き合っていくうえで、読んでおいて損はない本なんじゃないかと思う。
AIを「共同知能」として、協力してやっていくためのルールとして、本書で言われていた以下のルールは勉強になった。
常にAIを参加させること(これによりAIにできること、できないことの境界もわかりやすくなるのだと思う)、
人間参加型にすること(AIに丸投げしてしまうと、むしろ誤りをまねくことも多い)、
AIを人間のように扱う(擬人化するというわけでなく、AIにどのように振舞ってほしいか設定を与えることだと思う)、
今使っているAIは今後使用するどのAIよりも最低の性能だと仮定すること(現に1年前と今ではAIの性能はまるで違う)
その他、教育におけるAI活用など興味深い内容もいろいろ書かれているので、AIを使ったことのない人もある人も読んでみて欲しい。
Posted by ブクログ
1. ソフトウェアではなく「人間のような知覚」
モリックは、AIを従来の計算機や定型的なソフトウェアとして扱うことの危うさを指摘する。AIは命令に忠実な道具というより、「非常に有能だが、時に自信満々に嘘をつくインターン」に近い存在である。
AIには決まったマニュアルが存在しない。そのため、ユーザーは対話を通じてその能力の輪郭を自ら探る必要がある。著者は、AIを真に理解するには、理屈で学ぶよりも「実際に何十時間も使い倒す」という身体的な経験が不可欠であると説く。
2. 「ぎざぎざの境界線」の理解
AIの能力には、人間には理解しがたい「ムラ」がある。高度な数学の問題を解く一方で、単純な論理的推論に失敗するといった現象だ。著者はこれを、できることとできないことが複雑に入り組んだ「ぎざぎざの境界線」と表現している。
この境界線は常に変化し続けている。AIを単なる効率化の手段に留めず、自らの思考を拡張する「共同知能」として活用するためには、この境界線の現在地を常に見極める姿勢が求められる。
3. 労働とスキルの地殻変動
AIの普及は、ホワイトカラーの労働環境に破壊的な変化をもたらす。
スキルの底上げと平準化: AIは未熟な労働者の能力を劇的に引き上げる。一方で、従来の「プロフェッショナル」が誇っていたスキルの希少価値を相対化させる。
教育と評価の無効化: 宿題やレポートといった従来の教育手法は崩壊する。今後は「何を知っているか」ではなく、「AIを駆使して何を実現したか」、あるいはAIの出力を評価する「審美眼」が個人の価値を左右する。
4. 共生のための行動原理
モリックは、AI時代を生き抜くための指針として、以下の原則を提唱している。
AIを常に「ループ」に入れる: あらゆる作業にAIを関与させ、その可能性を試し続けること。
人間が「センチネル(番人)」となる: AIに意思決定を丸投げせず、最終的な倫理判断と責任の所在を人間が担保すること。
人間固有の価値の再発見: AIが「平均的な正解」を量産するからこそ、人間特有の「独自の視点」「感情的なつながり」「直感的な創造性」がかつてないほど重要になる。
結論
本書の核心は、AIを外部のツールとして突き放すのではなく、「自分自身の能力を拡張する一部」として受け入れ、共進化していく覚悟を求めている点にある。AIは仕事を奪う脅威ではなく、人間の知性を新たな次元へと引き上げるパートナーである。
「AIを使いこなす人」と「AIと共に思考する人」の差が、未来の決定的な格差となることを本書は示唆している。
Posted by ブクログ
「人」としてのAI
「創造性」としてのAI
「仕事仲間」としてのAI
「家庭教師」としてのAI
「コーチ」としてのAI
「未来」としてのAI
とわかれているので読みやすいが、前半の生成AIとは、みたいな部分がかなり読むのに苦戦してなかなか進まなかった。イーサン・モリックは生成AI研究の第一人者ということなので、一般人の私には難しかったのかもしれない。
今後AIがどのように私の生活に入りこみ共存できるのか、考えるきっかけにできる本。
Posted by ブクログ
アラインメント問題
人間と利益面で価値観が一致するAIをどうつくるか
ギザギザの境界線
AIは独創的
めちゃくちゃ独創的な人には及ばないが、一般よりはずっとアイデアを出せる
人は本来AIの使用を企業に教えたくない力学が働く
AIから最も引き上げてもらえるのはもともとの能力が最も低かったひとたち
人は仕事中10時間も退屈してる
そして退屈は危険、人をサディスティックにする
その退屈をAIが代替することの価値は大きい
アマラの法則
テクノロジーの影響を短期的には過大評価し、長期的には過小評価しがち
2シグマ問題
個別指導を受けた生徒は教室で指導を受けるよりも2シグマ分標準偏差が高い
サムアルトマンのおすすめだった本