あらすじ
成都(せいと)随一の高級旅館、張家楼(ちょうかろう)。
主人は成都屈指の豪商、張家の末息子・エン【※】圭(えんけい)である。
すこぶる病弱なエン圭は、23歳になる今まで幾度となく生死の境をさまよった。
風が吹いては寝込み、雨が降っては寝込む。とにかく体が弱いのである。
ある日、久しぶりに体調がよく市をそぞろ歩いていると、
売卜者(占い師)のような男から突然声をかけられる。
いわく、エン圭は幽鬼、妖魅のたぐいを引き寄せる体質で、そのために不調が出るのだと。
半信半疑のエン圭だが、彼にお祓いをしてもらうと、確かに調子がいい。
それを知ったエン圭の父親は、どういうわけか、売卜者の娘を嫁にもらえと言いだした!
戸惑うエン圭をよそに結婚話は進み、いよいよ娘はやってきた。
――そう、色とりどりに輝く雲に乗り、空の上から。
天女とみまがう美しい少女はエン圭に歩みよると、
「人間の花婿なんて今時、流行らないわ」と言い放つ。
どうやら彼女は「人」ではないらしい……。
果たしてこの夫婦、一体どうなる!?
【※王へんに宛】
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Posted by ブクログ
Tさんのおすすめ。
体が弱い、高級旅館の若旦那のもとへ嫁入りしたのは、
若旦那の命を救った道士と龍王の娘の一人娘。
龍女とあって、泣けば雨が降るし怒れば雷が落ち、
お供はすっぽんの侍女。
若旦那の体の弱さは、幽鬼、妖魅の類を引き寄せる体質のせいであり、
龍女の嫁はそれを雷で焼き払ってくれる。
体調がよくなったのもあり、幽鬼と話せることを知った若旦那は、
次々と幽鬼を連れてきてしまうし、頼みをきいてしまう。。
竜宮で育った、世間というか人間の世界知らずだが素直な娘は、
幽鬼を祓いながら、
少しづつ人間の夫と人間の世界に慣れていく。
父親がわからず、幽鬼を惹きつける血を持つ若旦那は、
普通の人間ではないのだろうなとは読者全員が思うだろうが、
まさか中華ファンタジー界ラスボス天帝の息子だったとは。
龍女を殺されかけた怒りで、龍の天敵の化け物を瞬殺してしまうほど力が強く、
この後、龍女の存在意義は?と心配になってしまった。
そう、できれば続きが読みたい。
幽鬼を拾って救ったり祓ったりしながら、
ふたりが夫婦らしくなっていく姿が見たい。
Posted by ブクログ
病弱な琬圭はある日市で体調を崩し、売卜者の様な者に助けられる。そして、父からその売卜者の娘を娶れと言われ…
何故か幽鬼を引き寄せてしまう体質の琬圭の出時がまさかの所で驚きましたが、龍王の血を引く小寧とはお似合いでした。
おっとりした琬圭と活発な小寧のやり取りがお気に入りです。
是非シリーズ化希望です!
Posted by ブクログ
2024/11/04新刊案内で気になった『龍女の嫁入り 張家楼怪異譚』(白川紺子)。
龍好き、怪異譚好き故です。
古代中国が舞台となっており、ストーリー展開はもちろん、当時の文化に触れ、私にとって新しい物事を知れたり、
【よくよく読んでみれば「今までに手にした本や漫画の中に出てきたので知っている」という物に対しての思い返し】も出来て面白かった。
それが以下●点。
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❶祖が太公望の一族
清河の崔氏という一族で、『封神演義』(藤崎竜)が浮かんだ。
❷夜を5つに分けて考える時間の概念
初更(19〜21時)、二更(21〜23時)、三更(23〜翌1時)、四更(翌1〜3時)、五更(翌3〜5時)という区切りになるんだそう。
丑の刻などの表記だったら聞いた事があるけど、更っていう単位は初めてだった。
❸『あおのたつき』(安達智)の思い返し
⑴金銀泥(金箔や銀箔を細かく砕いて粉末状にし、膠で練って泥状にしたもの)
⑵妓女の見受け金
これだけで『あおのたつき』が浮かびました。
アジア圏という事もあって何か共通するものがあるのかも?
❹古代中国の妖怪や神々
虎精、幽鬼、柳仙など、日本の妖怪の中には見られないキャラが複数。
中には名を口にしてしまうと呪われ首を吊るように誘導されてしまうものもいたりしますが、それは割愛します…笑
❺『薬屋のひとりごと』(日向夏)で見た事があるようなアイテム
佩玉って壬氏がつけてなかったっけ?
❻魔除けアイテム
赤霊符(兵難よけの護符)、五綵(青・赤・白・黒・黄の五色の糸飾り)、楝使用の簪、辟瘟扇(鬼神を追い出し神を呼ぶ、あるいは天然痘などの疫病を追い出してくれる扇)、続命縷(五色の糸で編んだ腕輪)など様々。
ちなみに見た事は一回もない。中国に行ったらあるんだろうか?
❺菖蒲酒
2025年飲み損ねた…‼︎来年こそは。
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……といろいろ楽しめた一冊でした。
そして……
『後宮の烏』と同じ作者だった事に後で気づいて「面白いはずだわ」と思ったなぁ〜。
好きな作家ってそんなにいないんだけど、増えて嬉しい。