あらすじ
北関東の実家から逃げ出し、東京の歓楽街に行き着いて、ホストにはまってしまった18歳のさあや。彼女は推しのカイトに身体を使ってつくった大金を注ぎ込んでいた。しかし、カイトの「一緒に暮らそう」という口約束が果たされることはなく、売り掛けの借金がかさんでいくばかりだった……。進退きわまったさあやは、実家に伝わる「おごさま」という繭のような形をした呪具を使用することを思いつく。亡くなった祖母は「おごさまはなんでも願いを叶えてくれるが、その代償として身体の一部を捧げないといけない、だから絶対に使ってはいけない」と言い残していた。しかし、どうしてもカイトの身も心も手に入れたいさあやは「おごさま」を使う儀式を開始する。……それが、取り返しのつかない惨劇のはじまりだった。
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Posted by ブクログ
面白い。3時間くらいで一気読み。
ホス狂いのメンヘラ女子と因習村と思いきや悪の怪異と化した神の話。
怪異パートになってもなおホス狂いの単調な狂いっぷりが健在なのが面白すぎる。クズの大洪水というキャッチフレーズはぴったり。
登場人物全員クズです。なのに不快さよりも興味とゾクゾクが勝るエンタメホラー。これはぜひ映像化してほしい、、!
Posted by ブクログ
登場人物ほぼクズ!
ボーイズバーのクズ男に入れ込む地雷系女子が、実家に伝わる呪物を目覚めさせてしまったことで始まる惨劇。
ヒロインのさあやちゃんは周りに被害妄想撒き散らす性格最悪クズ女子なんだけど、なんだか妙に応援したくなる雰囲気がある。
自分を疑わない堂々とした一人称目線だからかな。身近にいたらイヤだけど物語の主人公としてはとても面白い子だと思います。
対するクズ男・カイトは……夜職漫画に出てくる誇張されたクズホストみたいな何も同情できないクズですねー。途中で語った真面目な夢とかもどこまでが本当のことやら。
彼が突き抜けたクズだからこそ、さあやちゃんの在り方が歪んでても主人公として応援したくなるような構造になってるのかも。
Posted by ブクログ
〈宝物のことはおごさまって呼んでいる。私の大切な物。本当は、お父さんがわたしにくれるはずだったのにくれなかったから、おばあちゃんが渡してくれた。実家から持ってきたものはこれだけだった。〉
他者の目からそれがどう映ろうと、自分の目に映るものだけが真実。だとすればこれは純愛であり、悲恋なのかもしれませんが、他人はそれを自分の目で判断するしかできないわけですから、こんな子が周りにいたら大変困ってしまいます。
本作はそんな〈恋は盲目〉を地で行く女性が愛しの彼のために奮闘(暴走)していく物語で、どんどん容赦なく過激になっていく展開が楽しく、現実と妄想の継ぎ目を曖昧にしていくようなままならない思考も魅力的でした。導入の『飛べ』の会話が噛み合わない場面で思わず笑ってしまったのですが、そういった、登場人物同士の掛け合いもとても面白かったです。
Posted by ブクログ
とても面白かったです!
主人公視点でサクサク物語が進むのと、言葉選びが面白くて読み進めるのが楽しい一冊でした。
主人公さあやちゃんは他責思考&自分の都合が良いようになんでも捉える天才。
作中はその特徴がこれでもかと伝わるほど、面白いワードが頻出していました笑
カイトもTheホストって言う感じなのがまた良い味を出している。
ホラーとしても面白かったですし、コメディ(?)としても良かったです!