【感想・ネタバレ】DD(どっちもどっち)論 「解決できない問題」には理由があるのレビュー

あらすじ

ものごとを瞬時に判断すれば、膨大なエネルギーを消費する脳を活動させるコストは最小限で済む。そのためわたしたちヒトは進化の過程で、面倒な思考を「不快」と感じ、直感的な思考に「快感」を覚えるようになった。すべての対立を善悪二元論に還元することは、いわばヒトの“デフォルト”だ。ところが現代社会では、簡単な問題はすでにあらかた解決されている。いまを生きるわたしたちが対処を迫られるのは、対立する当事者がいずれも「善」を主張し、第三者には単純に判断できないような【DD】的な問題なのだ。

面倒な問題をまともに議論する気のないメディアへの信頼感が失われ、SNSではそれぞれが交わることのない「真実」や「正義」を掲げる。――そんな世の中ではとかく嫌われがちな、しかしそんな世の中にこそ必要なはずの【DD】な思考から、日本や世界がいま抱えている社会問題に鋭く斬り込む。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

複雑な思考にはエネルギーが必要なので人間は本能的に帰納的な事実に即した判断よりも演繹的に結論ありきの思考法に快感を覚える。さらに現代では様々な情報が広く共有されているため明らかに答えの出る問題には既に解答が得られている。即ち今の社会で議論されているのはほとんどが解決が難しいものや原理的に解決できない問題がほとんどである。

ウクライナとロシアの戦争は善悪二元論で捉えられがちだが、このような場合でさえも例えばロシア侵攻以前のウクライナの内戦のような多面的な視角がある。逆に善悪二元論にこだわって正義を追求することにより現実的な休戦協定が結べないという負の側面もあるのは事実だと思う。

一般的に戦争をやめるにはDDという煮え切らないままの状態で停戦するのが現実的である。その意味で平和とは必ずしも平等を意味しない。ある国が他国を搾取していたとしても、その状態を是正するために戦争を起こすのは本末転倒だと思うが、言い換えれば解決策は例えば人権抑圧を黙殺するか戦争をしかけるかという二択から選ばなければならないのが現実である。

多様な視点が求められ善悪二元論が成り立たなくなった社会では、インディアンを制圧する西部劇などのドラマは作れなくなり、スター・ウォーズのような人間以外の敵を作り上げ勧善懲悪の物語を作ろうとした。だがそれでも敵のキャラクターを一方的な悪として描くことは難しいと感じられるほどに世の中の視点は多様化している。

弱者によるテロリズムの大多数は若者から中年にかけての男性によってなされる。そのような層に対する格差は構造的に存在していて、現時点で格差は広がり続けているので、テロリズムの可能性も上がり続けている。

エロス資本という概念は定量化すると莫大な金額になり得る。しかしこれをマクロで考えるかマイクロで考えるか。マイクロで個別のケースを考えると、エロス資本をマネタイズするのは社会的、法律的、物理的など様々なリスクを抱えている

なぜ振込詐欺の文章はあまりに稚拙なのか→メールを送るコストはほぼゼロだが、そこから金を回収するところに人的コストがかかる。例え綿密なメールで注意深い人を騙せたとしても実際にその人に金の振り込みをさせるのは難しい。そういう意味では非常に稚拙なメールを送り、そんなメールにさえも引っかかるような標的に照準を合わせたほうが効率的である、

特定の人間がコミュニティの人間を監視するというシステムはコストが高くスケーラブルではないが、一方で道徳警察による相互監視、または人間の自己家畜化というシステムは非常に低コストで効率よく機能する。ただしそのためにはコミュニティが安定して存在していることが前提となっており、特に道徳による管理は日本を含む東アジアで顕著である。ただし道徳の規律の厳しい社会では不道徳な行為に対して人々は不寛容であるため、不道徳な行いを明かさず隠れる傾向がある点も留意が必要である

以下の点に関しても著者の考えがロジカルに述べられていて、必ずしも同意しないが理解はできた。
死刑制度廃止、マリファナ解禁、戸籍制度廃止、安楽死容認、世代間格差、学校制度の限界、多数派と少数派の安定、マイナカード及び行政手続のデジタル化推進、ジャニーズ問題におけるマスメディアへの断罪

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2026年08月02日

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