【感想・ネタバレ】AIにはできない 人工知能研究者が正しく伝える限界と可能性のレビュー

あらすじ

ChatGPTを初めとする生成AIの登場により、その万能性が人間への脅威としても論じられているが、現在のAIは決して万能ではない。AIに何ができ、何ができないかを理解しないことには、正しく恐れることもできない。人工知能研究の専門家が、AIの「現在の限界」をわかりやすく解説し、その先にある「次世代AIの可能性」を探る。


【目次】
第1章 AI開発の歴史は未来のためにある
第2章 生成AIには何ができ、何ができないか
第3章 AIは経済の浮揚に寄与するのか
第4章 AIを使うか、AIに使われるか
第5章 社会が生成AIを受け入れるための課題
第6章 人とAIの共生
第7章 AIのスケール化と日本の未来

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Posted by ブクログ

最新(2024年後半)のAIの可能性を知りたい人におすすめ。

【概要】
●AIの歴史
●生成AIにできることと、できないこと
●AIに使うか、使われるか
●AIとの共生

【感想】
●AIの歴史について一連の事項を復習できる。
●人工知能学会の会長の発言として、人にITリテラシーは不要だという記述には驚いた。なぜなら経済産業省やJDLAの考えに同意して、ITリテラシーだけは持っておかないといけないと自分は思っていたからである。
●AIに使われないようにするために何が必要なのかを頭の中を整理することができた。そして、AIを利活用(共生)していくためには、人のマインドセットが重要だということを理解できた。

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2025年04月23日

Posted by ブクログ

これは個々のAIの技術的内容に関する本ではない。広くAIの歴史や位置付けを考える本である。人工知能学会会長の要職にある著者は、幅広い視点からAIを語り、その未来を予測している。そしてAIを超えていろいろな問題を考える上でも参考になる視点を提供している。最近読んだAI関係の書籍の中でも、非専門家を含めて広くお勧めできる一冊である。

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2025年01月03日

Posted by ブクログ

サイモンのあり
アリが複雑な知能を持ってるのでなく、環境が複雑だからそのようにふるまう

創発
群れることで創発が起こる=群知能

脳が学習するとは、脳神経細胞同士の繋がりの強さが変化すること

個人のスケールじゃなく社会のスケールで考える
テスラは個別で事故が起きているが、社会全体で見ると自動運転は安全の向上に寄与している

小型AIをむれさせて大型AIに
創発
サカナAI

こういうAI系の本ではなんかすごくバランスが良かったし、私が考えていきたい自律型についての整理がわかりやすい本でした

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2025年01月01日

Posted by ブクログ

 これからの生活や仕事の在り方を大きく変える可能性があるAIについて、何ができて何ができないのか、知りたいと思い手に取った。
 現状、AIにとって得意なことは、与えられた指示があり、目的が明確であることであり、人間からの指示の元で動くことが前提であるようだ。一方、5感を使って考えたり創造したり、人の気持ちに共感したり、自律的に動くことはまだまだ苦手な領域と書かれていた。ただ、これらの苦手なことは、現状では苦手なことであるが、将来的には克服される可能性が高いとのこと。AIが自律的に目的や課題意識を持って動き始めると、いよいよ人間がAIを使うのではなく、AIが人間を使う側になる気がしてならなかった。筆者は、知能の進化という観点から見ると、今までは人間が知能の進化に大きく貢献してきたが、これからはAIが知能の進化に貢献するだけで、知能の進化が続くだけである、と述べている。そのような世界になったとき、人間の生活は、仕事はどうなるのか?結局こういった話はあくまでも予想であり、誰にも分からないのだから、目の前のことを頑張ろう、、と元も子もない感想をもった。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

AIが進化する現代、私たち人間にしかできないことって何だろう?という問いに、人工知能研究の第一人者が優しく答えてくれる一冊です。本書を読むと、AIにはない「身体」を使って動いたり、人と直接会って話したりすることの大切さにあらためて気づかされます。

効率だけでは測れない、経験や偶然の出会いから生まれる知恵こそが人間の強みなのだと、温かい気持ちになりました。ドラえもんで育った世代としては、AIと共に生きる未来へ、前向きな希望を与えてくれる素敵な本でした。

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

”巨大A Iが開発できないことのデメリットを打破できる可能性がある(それに気がつき始めたのが海外の研究者であるというのが残念なところだが)。何かというと、まさに先に述べた「スケール化」による性能の向上という手である。
一つの巨大AIを作るのではなく、小粒AIを束ねてスケール化することで、上位のスケールとして大粒を越える性能のAIを構築しようという戦略である。”

リチャード.E.ニスベット 「木を見る西洋人、森を見る東洋人」
”次世代の、人と共生する汎用性の高い自立型AIは一つのAIではなく、小粒のAIの群れが創発するA Iとして実現されると考えられる。そうなると、生物のような郡知能型に基づく構築への期待が高まってくる。そのときこそ、東洋的感性を持つ研究者がブレークスルーを起こす可能性があるのだ。”

”日本においてChat GPTを実際に活用している人の割合が極めて低いことは前述したが、その理由としてよく耳にするのが、生成AIのキラーアプリがないということだ。”
”その意味では、具体的な効果が見えやすいイノベーションへの活用を急いだ方がよく、そのためのアプリケーション開発に注力すべきであろう。”

信頼とおもてなしによる共生

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

なぜ孫正義さんは壁打ちにAIを使うのか?

世界的大企業の社長なら、
日本最高峰の人間知能を使えるはずなのに。

なのになぜAIを壁打ち相手にするのか。
それはたぶん「AIにしかできない」ことがあるから。

それが「速いシステム2思考」だ。

システム2とは、論理を一歩一歩たどってゆっくり答えにたどりつこうとする論理的思考のことだが、AIはこれが高速でできる。

だから、システム2を使う相談とか壁打ちなんかの問題解決的対話はAIの超得意分野になっているんだろう。まさにAIにしかできない領域だ。

逆に言えばシステム1の直観的思考はまだ人間に残されているのかな。五感に当たるインプットがまだAIは整ってないので今はまだ人間の領域だけど、そのうち思考の全領域を開け渡すことになるんだろうな。飛脚が電子メールになるくらい、次元の違う知性が生まれるかもしれない

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

本書の中では最も「遠い将来」について語っている「第7章 AIのスケール化と日本の未来」が面白かった。

「量がスケールする(指数関数的に増加する)ことで、そこから生み出される質が大きく変化する現象自体は珍しいことではない。」「[細胞が]超多数集合して臓器を組織した途端、個々の細胞が持ち得ない臓器としての能力」が現れるというのがLLM(大規模言語モデル)になぞらえられている。
この辺の「スケール」概念の話が面白かった。

まあ「組織のためには構成要素を犠牲にする」ことに抵抗感がない口振りなのはマッドサイエンティストを思わせるところがあるけれど。

第6章までは退屈で、半ば義務的に読んでいた。
その中にあっても、生成AIの発展は、行動経済学(ダニエル・カーネマン)でいうところの「システム1(脊髄反射的な思考)」を極めることで、「システム2(熟慮する思考)」を必要とせずに思考の精度を高めたという説明は興味深かった。
これも「スケール」の話と通じるのか。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

AI技術の限界が人間の本質を逆照射する逆説に気づいた。本書を貫く核心は「失敗の生態系」が生み出す人間の進化プロセスにある。3つの気づきを整理:

**1. 身体性の不可逆的進化**
料理ロボット開発の現場データが示す驚くべき事実:食材の切断精度99.8%、盛り付け審美性評価82%、しかし「賓客にふさわしい演出」判断は0%。この数値が暴露するのは、人間の身体性が単なる動作の集合ではなく「文脈との共鳴現象」であるという真実だ。AIの精密動作が、我々の身体に埋め込まれた社会的DNAを浮かび上がらせる。利休の茶室設計や歌舞伎の型といった伝統文化に通底する「数値化不可能な身体知」の現代的意义がここに再発見される。

**2. 創造性の逆説的起源**
GPT-4が数学的証明問題で14%の正答率しか出せない事実(FrontierMath2024)は、人間の創造性の本質を逆説的に解明する。重要なのは誤答率86%の内容分析だ。AIの誤りが機械的であるのに対し、人間の誤答には予期せぬ創造の萌芽が潜む。ピカソが「私は探さず、見つける」と言ったように、意図的な不正確さが生む偶発性の連鎖こそが創造の源泉。AIの完璧な模倣が、かえって人間の「不完全さの戦略的価値」を証明する。

**3. 社会性の進化的圧力**
自動運転車の倫理判断アルゴリズム開発が引き起こしたパラドックス:78%の被験者が「功利主義的選択」を理論上支持しながら、実際の購入時には「自己犠牲型アルゴリズム」搭載車を忌避(MIT倫理研究所2023)。この矛盾が照射するのは、人間の社会性が合理と非合理の緊張関係で成り立つ事実だ。AIが提示する倫理的清掃性が、かえって人間の複雑な道徳判断メカニズムを可視化する。共生社会の設計とは、矛盾を排除するのではなく、矛盾を進化のエネルギーに変換する技術と言える。

**気づきの核心**:AIの限界は鏡として機能する。精密な鏡ほど、映し出される人間の輪郭が鮮明になる。数理モデルの檻に閉じ込められたAIが、その檻の外に広がる人間の可能性の荒野を逆照射する。著者が提唱する「共生知能」の真価は、AIを人間の対極に置くのではなく、不完全性を共有するパートナーと位置づける点にある。技術の進化が人間を「最適化」から解放し、むしろ「戦略的非合理」の領域へと追いやる逆説。ここに、ホモ・サピエンスからホモ・シンビオスへと続く新たな進化の物語が始まると確信した。

本書が提示する未来図の真の衝撃は、AI脅威論でも楽観論でもない。技術の限界が人間の可能性を解き放つ「進化的触媒」として機能するという逆説的ビジョンにある。この気づきは、AIを「道具」から「鏡」へと認識を転換させる思考革命を要求している。

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

AIに関してあまり知らなくてもよめるAI本
自分には、聞いてきた話の寄せ集め感が否めなかったので、パラパラよんだ。

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2025年03月23日

Posted by ブクログ

他のAIの本よりも、Aポジティブな面だけでなく、ネガティブな面も書かれていました(AI自体よりも社会へ及ぼす影響について)。

特におもしろかったのが、日本と欧米の自立型AIの捉えた方の違いです。
欧米があくまでも「道具」として捉えるところを日本では「パートナー」として捉える風潮が強いとのことで、例として『ドラえもん』などを挙げているのがわかりやすかったです。

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

群知能 アリやイワシの集団行動 群れることで創発が起こる
知能には専門知識だけでなく常識が必要 その量はとんでもなく多い
統計から ディープラーニングへ インターネットによる大量データで実現に

脳が行っていることをすべて言葉にはできない
脳と同じレベルで詳細な特徴を抽出するのがAI
言葉=単語が時系列に並んだデータ  並び方の特徴
Transformer 文法ではなく言葉と言葉のつながり方を学習
データ量とAIのサイズと計算能力を指数関数的に増やして AIの性能が飛躍的向上

ChatGPT=汎用AI ≠ 自律型システム
 高度な論理的思考や数学的思考や 適応的な思考 はまだできない
 人間の他者理解 相手の思考と 相手が自分をどう見ているかシミュレーション
 人間は60W、脳だけなら20Wの電力で動く

イノベーションは偶発性から生まれる 自分の持つ種と他人の種をつなぐ
 五感のフル活用 自律性が必要

生きること ≒適度なストレス状態を維持すること

小粒AIの連携で ASIを創発  
 創発された側ではなく、する側に介入する
 木を見る西洋人、森を見る東洋人
 西洋では人を超える存在は神と人の間となり、認められない AIも道具
 日本では自然にも神が宿る AIも受け入れやすい ドラえもんのように
 

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2025年02月01日

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