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Posted by ブクログ
遠藤周作は愚直で純粋な者の味方である。日常劇でありそうな筋なのだが、最後のもの言えぬ哀しみにひきこまれ、涙を誘われた。不器用な研究者と幼なじみ、恋の鞘当てに巧みに言葉で押し込んでくる男。不純の俗界に残された側にもやるせなさが漂う。猿に比べたらば、社会のボスの姿を皮肉に描いている。
代表作ではないが、良作である。孤独を感じる人向けに。
Posted by ブクログ
10年以上前に1度読み、この本がきっかけで遠藤周作が好きになった。
「うすよごれた、陰険な人間の世界」「純真無垢な動物たちの世界」
この2つの世界を対比させたとき、確かに人間って醜いなあと思った。利益のために自然を破壊する行為、共存を唱えても、権威のためには、動物愛護などの崇高な言葉は引っさげてしまう。
自分の私利私欲のために動物を殺す人間と、生存するために必要な殺生しかしない動物。
なんだかやるせない。
朋子の人間関係による心情の変化も、すごくうまくかけていると思う。「生きるって、時には周りを傷つけてしまう」相手を慮った言葉だけど、一平からしたら違うとらえ方をしている。
結局、自分のことを一番よく知っているのは、他人。他人あってこその、自分なんだと思う。
強く生きたい。その強さとは何か、を考えさせられる良書だと思う。
あと、生きるって、本を読めて、少し食べられればそれでいいっていう捉え方ができればなあとおもった。
Posted by ブクログ
読み終わった後も本を読んでいる余韻が残っているような本。
私が遠藤周作の作品の中で一番好きな作品。
自分のやることに一身を捧げる決意、その強い意思を一平から感じた。
一平の生き方、加納の生き方、朋子の生き方はそれぞれに違う。
誰の生き方が悪とか善とかいうことではなく、ただ単に生き方が違う。
そんな当たり前のことを改めて理解する。そんな作品であると思う。