【感想・ネタバレ】彼の生きかたのレビュー

あらすじ

〈俺は人間の世界が嫌や。言葉も不自由やし……俺もお前たちの中に入りたいわ〉 ドモリで気が弱いために人とうまく接することができず、人間よりも動物を愛した福本一平は、野生の日本猿の調査に一身を捧げる決意をする。しかし、猿の餌づけに精魂をかたむける彼の前には、大資本が、無理解な人間たちが立ちふさがる。一人の弱い人間の純朴でひたむきな生きかたを描く感動の長編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

遠藤周作は愚直で純粋な者の味方である。日常劇でありそうな筋なのだが、最後のもの言えぬ哀しみにひきこまれ、涙を誘われた。不器用な研究者と幼なじみ、恋の鞘当てに巧みに言葉で押し込んでくる男。不純の俗界に残された側にもやるせなさが漂う。猿に比べたらば、社会のボスの姿を皮肉に描いている。

代表作ではないが、良作である。孤独を感じる人向けに。

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2019年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

10年以上前に1度読み、この本がきっかけで遠藤周作が好きになった。
「うすよごれた、陰険な人間の世界」「純真無垢な動物たちの世界」
この2つの世界を対比させたとき、確かに人間って醜いなあと思った。利益のために自然を破壊する行為、共存を唱えても、権威のためには、動物愛護などの崇高な言葉は引っさげてしまう。
自分の私利私欲のために動物を殺す人間と、生存するために必要な殺生しかしない動物。
なんだかやるせない。

朋子の人間関係による心情の変化も、すごくうまくかけていると思う。「生きるって、時には周りを傷つけてしまう」相手を慮った言葉だけど、一平からしたら違うとらえ方をしている。
結局、自分のことを一番よく知っているのは、他人。他人あってこその、自分なんだと思う。

強く生きたい。その強さとは何か、を考えさせられる良書だと思う。

あと、生きるって、本を読めて、少し食べられればそれでいいっていう捉え方ができればなあとおもった。

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2015年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わった後も本を読んでいる余韻が残っているような本。
私が遠藤周作の作品の中で一番好きな作品。

自分のやることに一身を捧げる決意、その強い意思を一平から感じた。

一平の生き方、加納の生き方、朋子の生き方はそれぞれに違う。
誰の生き方が悪とか善とかいうことではなく、ただ単に生き方が違う。

んな当たり前のことを改めて理解する。そんな作品であると思う。

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2011年07月04日

Posted by ブクログ

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吃りのあるニホンザル研究者の話。
主人公一平は吃りのため弱気な性格。昔から動物に心惹かれ、恩師の言葉もあり、動物の研究者となる。
小学校からの幼馴染朋子に恋をするも、大学進学してから縁遠くなっていた。
ニホンザル研究者として猿の餌付けに従事するも、ホテル建設問題や新しく来た研究所長との関係悪化により退所。
その後別の山で研究を進めるも、以前の研究所でホテルを建設した加納専務の邪魔が入る。加納の秘書は朋子であった。
朋子は専務の部下である夫がいたが、途中で夫が飛行機事故により死亡。朋子と一平、加納との三角関係や、汚れた人間の世界と自然に生きる猿たちの世界が描かれる。

今回はキリストには触れられないが、途中長崎が出てくるあたり遠藤周作らしさを感じる。
いわゆる小説らしい展開(幼馴染との再会や朋子の夫の事故死)はあまり好きではないが、まったく興味のないテーマではありながら楽しめた。

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2025年09月18日

Posted by ブクログ

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そういう見方をする本では無いと思いますが、
これは俗に言う寝取られジャンルに属する作品だと認識しております。

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2011年12月05日

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