あらすじ
春から高校に入学した男女6人が暮らす、格安シェアハウス。
シェアハウス内の恋愛は絶対禁止というルールなのだが――
橘陽万里「たぶん彼、わたしのことが好きですよね……」
月山玲奈「ヤバい。アタシ今、アイツのことが気になってる」
五十嵐澪「1秒でも早く告白して確保しないと非効率的だ」
星秀一郎「女子をプールに誘うの、緊張するッスね……!」
高瀬颯太「あいつに告白して成功したら、残りの人生は全部ウイニングランだな」
日比谷蓮「ここでキスしたら即退去……。いや、でも……!」
ラブコメは始まるか、始まらないか!? 掟破りのシェアハウスストーリー、開幕!【電子限定!書き下ろし特典つき】
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
とても面白かったです!
男たちのしょーもない思いつきを、女の子が微笑ましく見守ってくれたり、ときには叱ったり、促してくれたり。
男女の恋愛観の大きな「根幹」って、時代を問わず普遍な気がしますが、女性が男の未熟を嗤わず、見守ってくれる姿というのは、なんとも胸を打つ感動がありました。
颯太くんは下心丸出しの変態なわけですが、その分、尊敬し、慕う女性からの期待には、出来るか出来ないかよりも、とにかく応えようとするあたり、すごくかっこいいなと思います。彼の恋路がうまくいくことを願います。(2巻が読みたい!笑)
なんてことはない日常の中に、微笑ましい楽しさと、ささやかな勇気の素が込められた、やさしいお話。どうぞ一度ご覧くださいませ。
※
以下、ネタバレを含みます。
時間と、私の散文をお許しいただければ、
どうぞお付き合いくださいませ。
・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
みんなかわいい。みんなすき。
それはもちろんながら、個人的には、澪さんと蓮くんの理性的な解釈にすごく共感しました。
そして、そうした理性的に世界を俯瞰している人が、冷たく残酷になるのではなく、助け合いの大切さや、情に厚く生きる人を素直に尊敬しているのも、すてきだと思います。
私も完全に理性派の者ですが、母からの最初の教えが、絵本の世界でしたので、大人になった今も、その頃の素直な感性を大切にするようにしています。そのため、2人の様子には強く共感するのです。「そういうものだから」という、理性で説明できないものに納得できないこともあれど、「そういうものだから」と永く扱われてきたのには、自分が理解できないだけで、それなりに理由があり、尊敬できるという気持ち。
なので、颯太くんの未熟さを、もどかしく思いつつも、その先を期待して、見守りながら、自分だったら苦しみから逃れるために絶対に引き受けない大変な仕事を、容易くこなしてしまう「根性」と「筋肉」、、もとい、理解できないが、好ましいものとしえ尊敬する澪さんの恋心が、かわいいなぁと思うのです。
個人的には現時点で、強烈に颯×澪カプ推しです。笑 2巻が読みたいぃー!
以下、私の気に入った澪語録を残します。
「また次を見つければいい。簡単に言うが、出産は命がけだ。若い時の方がリスクは小さい。それに結婚するのが早ければ、たくさんの子どもを産める。別に晩婚を否定するわけではないが、年を取ればリスクは高まり、選択肢は減る。これは生物として抗いようのない事実だ」
「俳優、ドラマ。もちろん観るが、経営者がビジネスについて語る動画がほとんどだな。私の推しは30代以上の経営者ばかりだ。
おかしいのか?すでに成功しているし、年収も高い。だから応援したいという気持ちにならないという理屈なら、売れているアイドルやスポーツ選手も推せないことになるぞ。
私は逆に、年収数百億円の野球選手の試合をテレビで観て応援する人間の感覚が理解できない。たとえその試合でヒットを打てなかったとしえも、そいつの残りの人生はバラ色じゃないか。頑張らなきゃならないとは、まだ成功していないお前だろう。
、、、まぁ、私の父親のことなんだが」
「血糖値の急上昇を避けるために、まず野菜を食べろ。あるいは適度にタンパク質や脂質を含むおかずでもいい。その後で炭水化物を食べれば、消化吸収も緩やかになる」
「なぜ目標に向かって努力できないのかと問うたら、鬱陶しがられた。
人間は矛盾した生き物だ。目標を立てるくせに、常に最善の行動を取れるわけではない。
欲に負け、楽しい方に流れる。
そのくせ、目標を達成できないと文句を言うのだ。愚の骨頂である。
怠惰な人間は視界に入れたくない。別に見下しているわけではなく、自分も流されそうになるからだ。
努力を続けるには、まず環境を整えなければならない。私も弱い人間だから、周囲からサボり癖のある人間を排除しなければ」
「こいつは勢いなだけだな、と思った。
返答に真面目さが感じられない。深く考えず、思いついたことをそのまま口から発しているだけだ。
とはいえ、その場しのぎの嘘をついているとも感じない。ということは、家事も子育ても、すべて筋肉で解決できると思っているのだろうか。
世の中はそんなに甘くないのに」
「億劫になるほどの、同じ苦痛を感じているはずなのに、それなのに、一日に何度も買い出しに行き、私たちの世話をしていた?
心が震えた。
この男は、完全に私の理解を超えている。
だが同時に、颯太のことをもっと知りたいと思った。
屈託のない笑顔を見て、私は胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。
もしかすると、これが一般人の言う『好き』という感覚なのかもしれない」
「普通、人間はなかなか変わらないものだ。年を取れば取るほど、プライドが邪魔をしてしまうからな。
だが颯太には柔軟性がある。それに、努力を続ける根性もある。おそらく、普段から筋トレをしているとが関係しているのだろう。
加えて颯太は、その腕力を他者に向けて使おうとはしない。絶対に反撃してこないとわかっているから、言いたい放題できて楽しいのだ。
次はどんな難題を与えてやろうかな。
私のアドバイスを受け、素直に努力した颯太の今後には、期待しかない。
ニヤニヤしてしまう。
可愛いヤツめ」
困らせたいぐらい、好きだよ。
私の大好きな『ワガママハイスペック』の一節がこれほど似合う2人だなんて、好きになるしかないです。しかも、恋心にかけらも興味を持たなかった澪さんが、一番女の子らしく、困らせて男を試してしまうあたり、一番理性的なのに、一番幼い愛し方をしていて、かわいいなぁと。笑 それに応えようと懸命な颯太くんもすてきです。心が元気になります。ほっこり癒し。
それにしても、美人の胸の感触を再現するためにブラジャーを百均で買うとか、鶏胸肉の唐揚げを作るたびに女性の胸を思い出すとか、小便の後始末は紙で拭かずによく振るとか、下品すぎて爆笑必至なやりとりも最高に楽しかったです。
あ、自分は紙で拭く派です。とはいえ、立って出来る、個室ではない方のトイレの場合はどうしようもないですが。笑笑
名言集の抜粋を忘れていましたが、十代は運動、二十代は勉強、三十代は所得、四十代は人望が尊ばれると云われるように、今、羨む誰かがいる一方、時を経たら、むしろその人に羨まれることもあるかもしれない、といった旨の話もすごくいいなぁと想いました。
人生の長い視点を俯瞰できれば、悩みは大体晴れます。財務真理教と極左金融エリート真理教のこの苦しい時代においても、わたしが無責任なほど将来を楽観しているのは、そういう気持ちがあります。
想像力は、人生を俯瞰する、翼と視野です。
その視野を育てる教養こそが歴史です。
生きるためのコツを小説に見出だすのが好きな方は、実在の人々の物語から勇気をもらえる歴史がおすすめです。かくいうわたしも、フィクションのお話から、少なくともこの物語を書いている筆者は実在しているのだから、大切に学ぼうと向き合い、次第に実在の歴史にも興味を持った経緯があります。澪さんは勉強熱心なので、同じ視点にたってくれている気がして、そこも共感するところです。照
ただ、古文はいらないというところは少し残念でしたが、わたしも十代のころにその魅力に気づいたわけではありませんでしたから、よくわかります。少なくともその面白さを現代語で表現してくれる解説を読むだけでも十分ですものね。とはいえ、教育を変えるためには文科省を掌握しようと提案するところは強く共感しました。笑
……それでは、
岩波先生の次回作にご期待ください!!
、、、打ち切りのフリじゃないですよ!?
ほんとに欲しいんですよぉぉぉ!!