あらすじ
「おっぱいがほしい」仕事を辞め我が子の育児に奮闘している暁彦が、妻の咲喜にぽつりとこぼす。男の自分ができること、やるとおかしいことの狭間で悩みながら日々を過ごす中、とある子育てブログに出会い光を見出す。ふとしたきっかけで、川の向こうに住むブログの著者と会うことになり……。男性目線で描かれる性差と役割を問う「わたれない」をはじめ、七夕伝説の織女と牛飼いが天の国を離反する「ながれゆく」など、4編を収録した連作短編集。
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Posted by ブクログ
正当な相撲は取れない。そんな若さも背力もない。ならば八飛びだ。賭けるんだ。
ハタハタハタ。唯一の活路、意識の端で捉えたかぼそい金色の勝ち筋をなんとしても辿る。手放さない。ハタ、ハタ。私が変える。私しかいない。
「当たらない」
力を込めて呟いた瞬間、胸の中の小うるさい鳥の首をポキリとくびる、確かな手ごたえを感じた。
心が凪いで、静かになる。
川のそばで生きて、他のものやひとたちと隔たれた主人公たちの物語
これまで読んだ本と共通して、他者や強いられた環境により窮屈な思いに囚われる人たちの心が解かれる短編集だった
どの話にも窮屈な現状から逃れるための言葉や後押ししてくれる存在があって、それが主人公たちの変化を促してくれて読んでいて頼もしさを感じた。
個人的には最後の話が好きだった。
最後のおばあさんはそれまでの人生で夫の存在に縋ってきたけど、その夫が自分の存在を脅かそうになったシーンで自分の考えで明確に問題をなんとかしようと新しい手段をとった描写がとても力強く、こちらも晴れやかな気持ちになった。