あらすじ
市役所本庁舎の隅にある、健康福祉課夢調査係。そこで僕は他人の夢の中に入り、深層心理を調査する仕事をしている。その目的は「個人の精神の不調を減少させ、ひいては社会的不和を根本から減少せしめること」――要は、夢の中でお悩み解決だ。
でもこの仕事は僕に向いていない。……だってあなたが死んだあの日から、僕は誰かに寄り添うことも、夢を見ることも、全て諦めたから。
『ひきこもりの弟だった』で鮮烈デビューした葦舟ナツが描く、心震わす珠玉の物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
市役所が舞台で、人の夢の中に入る夢調査を行い夢主の悩みを解決する助けをする話。
夢調査をするアプローチや発言に職員それぞれの個性がでていて自分が勉強になる点もあった。
最後の屋上のシーンは主人公の心境の変化も感じとれてよかった。
Posted by ブクログ
①悩みを解決をするために、1番大切なことは、「相手の話をよく聞く」こと。
これは、日常生活でも使えるコミュニケーションの手法の1つだと思うので、意識してみようと思う。
②本書の中に出てきた宮沢賢治の『世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない』という言葉が印象に残った。
今の現代社会について思いを馳せながら、改めて考えてみると、みんなが幸せな状態になることは、難しいと思い、かなり胸に刺さった台詞であった。
この本を読んで、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を改めて、読んでみたいと思った。