あらすじ
杜のなかにひっそりとある「あなたに会える、ごはん屋」。ここは一日一名限定、亡くなった人との思い出の料理を提供する。訪れる客はみな、過去を思い出しながら、不思議な再会を果たすことができる。和解できぬまま父を亡くした娘、子供と突然の別れを余儀なくされたシングルマザー、客との思い出を抱える元ホスト、仲間を想う営業マン。そして、店主の天国(あまくに)の使命と過去も明らかに……。悲しみに寄り添い、心を解放するハートフルストーリー。
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Posted by ブクログ
亡くなった人にもう一度会えるレストラン。
簡単にまとめてしまうと、こうだ。
しかし、シェフである天国さんが料理を作るこのレストランは一味違うのである。
どのお話に出てくる人物たちも
心が引き裂かれるような苦しい経験をして
大切な人と別れることになってしまう。
その後悔を料理を通じて成仏させることができる。
そして、生者の特権である「明日」に向かっていくことができるのだ。
シェフの天国さんがどうしてこのレストランを
開くことなったのか、
このレストランはいつまでも続いていくのか。
最後まで読み終えて、号泣した。
Posted by ブクログ
あなたの目の前の大切な人が
突然消えてしまったら
きっとその喪失感は
あなたの心に影を落とすでしょう
でも、もしその大切な人と
思い出の料理を食べれるとしたら
その大切な人と会えるとしたら
あなたは、どうしますか?
森の中にあるちいさな料理屋
一時代を作ったシェフが作ったあらたなお店
メニューは、ない。
あるのは「思い出の味」ただそれだけ。
私の大切な人と食べるなら
どんな味を書くだろう、
一緒に過ごす中で
一緒に
食べたもの、見たもの、感じたものの
大切さに気づける1冊でした。
Posted by ブクログ
何だろうすごくベタな設定だと思うのに
すごく心に届きました。突然娘を亡くした
シングルマザーの母子の心のやり取りは
ほんとにぐっときた。言葉に出さないと
伝わらないっていうけど言葉に出さなくても
ちゃんと伝わってたんだと思うと救われる。
自業自得な話もあったけどそれもひっくるめて
現実にありえない話ではないので読んでて
共感しながらなんだかやるせなさも感じた。
店主の天国の使命と過去はなんかもう、
何とかならなかったのかと思いつつ
その時点での当事者たちはそれが精いっぱい
だったんだろうななんて思いました。
ラストの案内人は次回への布石なのかな?
差っと手に取った本でしたがあっと言う間に
読みえて読後感もよい作品でした。
Posted by ブクログ
亡くなった人との思い出の料理を振る舞ってくれる一日一名完全予約制のお店。
その料理を食べると本当に亡くなった方に再会できる。
のだが、食べ終わるとその記憶はなくなってしまう……ただ心は軽くなるという。
そんな不思議なごはん屋さんでの物語。
最初は突然亡くなった父とのこと、事故で別れてしまった娘とのことなど、ともすれば共感しやすい、身近にあり得そうな話だったが、後半はヘビーな展開に。
前述した決まりも該当しないケースも出てくるし。
様々なパターンが描かれるのでマンネリ化はしなかったが、亡くなった方が抱えたものが重くなっていく。
ホストに陥れられて亡くなった女性。
犯罪行為を強要された挙句、過労死してしまった男性。
そして何より、恋人の裏切りを知った直後に事故死した女性。
この彼女の話がしんどかった。
彼女の恋人を寝とった女性は本気でこの先も苦しんでいただきたい。
最後には、ごはん屋の料理人自身の話にも波及。
彼もまた重い過去を背負った人だった。
最後まで重い話で、あらすじにあるハートフルストーリーを感じる前にちょっと心折れそうになった。
ラストはまさかの人の登場で、それにはちょっと救われた気になった。
ただあれだけではなかなかこれまでのヘビー展開を相殺はできないなと個人的には思った。
わたしにも癒しが欲しい。