あらすじ
クラスメイトのミリと意気投合したヤエは、母の反対を押し切ってスマホを手に入れLINE友だちになる。しかし、そのうちミリが学校を休むようになり、憧れの男子コウまでも休みがちに……。何かがおかしい……ミリも、コウも、どこへ行ってしまったの?そんな折、街でコウを見かけ後を追ったヤエが飛び込んだ建物は、フィギュアだらけの店がゴチャゴチャの並んだ異空間のようなところだった――。
スマホやゲームなど、バーチャル世界が膨らむ現代に、熱に浮かされたような10代の焦りや不安とたった一人で格闘する少女の内面を描く。国際アンデルセン賞受賞作家による書き下ろし長編作品。
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Posted by ブクログ
「ラストラン」「トンネルの森1945」に続くイコちゃんの物語。
イコちゃんは、エイコさん、著者ご自身の投影だ。
今回のイコは、1948年、戦争が終わって、
疎開先から戻り、市立の女学校へ通う、13歳からスタートし、
22歳まで。なんと見合い話も出るお年頃。
角野さんは、なぜ、ブラジルへ渡ったんだろう?と
長年の疑問が氷解。
って、きちんと御著作を読めば、すぐにわかったことなのだろうけれどw
中学の英語の授業で「現在進行形」を習ったイコは、
これからは、こう生きていこうと、決める。
でも、実際は、「これから、これから・・・」と先送りにし、
日々の中ではモヤモヤするばかり。
この感じ、若いときはそうだったよね~と、うなずける。
さすが御年87歳の「魔女」さまだ。
ご自分を知り、描写がお見事!
全編に通底するのは、戦争はイヤだということ
(だからといって、声高に平和を叫ばないところがいい)
みんなが何かに引っ張られるようにひとつになるのは危ない
(昭和の戦争へと熱気に駆られるように突っ走ったことを忘れない)
そのあたりが、やっぱり御年87歳の大ベテランの魔女様ならでは。
優しい言葉で、グサリとちゃんと突き刺さる。
児童文学で培われたお力とお見受けする。
イコちゃん、いくつになっても、
現在進行形で!
87歳の魔女様と比べたら、
子ども世代のわたしも、魔女見習いくらいにはなれるかな?
そんな風に思わせてくれて、楽しいひとときでした。