あらすじ
三島由紀夫がゲイに異常な執着をもっていたことはよく知られている。1955年に石原慎太郎が「太陽の季節」で時代の流れに便乗し一躍文壇に登場したとき、文壇内の評価が大きく分かれていたにもかかわらず三島は石原を評価する。三島は作品への評価と石原への執着とが背離していくことに苛立ちを覚えるが、それは石原が「ゲイ」とは全く無縁な存在だったからである。かつて男色が認められていた日本社会の性風俗の民俗史を近代の「男色」から戦後の「同性愛」を通して明らかにする。女性同性愛の文献も収録!
【目次】
■解説篇
引き裂かれた同性愛―三島由紀夫における愛と錯誤
石原都知事と男の友情/夢の中の三島由紀夫/戦後文学の双璧/三島・石原の確執/「和室」での事件/「見巧者」石原慎太郎/三島由紀夫と同性愛の諸相/「太陽の季節」とボディービル/三島由紀夫の三つの錯誤/異性愛と支配
■資料篇
といちはいちほか(一九一一~一二年) 尾佐竹猛
同性愛と心中観ほか(一九二一年) 鷲尾浩
各種の先駆髷の起源に就いて抄(一九二八年) 伊藤赳
安南人の変態性慾ほか(一九三三年) 山中源二郎(訳)
女性同性愛ほか(一九三六年) 高田義一郎
相公きゝがき(一九四一年) 瀧川政次郎
カマ(一九四六年) 浅田一
刑務所生活二十年(一九四八年) 妻木松吉
座談会 男娼の世界(一九四九年) 杵屋正二ほか
同性愛(一九五一年) 井上泰宏
女子同性愛と性具(一九五二年) 小池創之介
男色は流行する(一九五三年) 柏倉幸蔵
男色者とその性的特質(一九五三年) 扇屋亞夫
衆秘傳考(一九五三年) 千明克巳
そどみあの断層(一九五三年) 鹿火屋一彦
そどみあ通信(一九五三年) 藤井晃
女性の同性愛(一九五四年) 仁科順三
ソドミアの実態調査報告(一九五四年) 高畑益朗
レスビアニズム雑話(一九五四年) 宮川好子
同性愛と男根羨望(一九五四年) 比企雄三・扇屋亞夫
少年同性愛(一九五四年) 鹿火屋一彦
そどみあの世界(一九五四年) 別役淳一ほか
実態調査のレポート(一九五八年) かびやかずひこ
あとがき
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
同性愛にまつわる過去の論稿をまとめた書籍。
書いてある内容は、現在では週刊誌のゴシップレベルの信憑性の低いものが多いが、当寺の人がどう考えていたかという点では役に立つ部分もあります
【こんな人におすすめ】
日本における同性愛の歴史に興味がある
Posted by ブクログ
昔の同性愛に関する記録を集めた本。醍醐の書庫から出してもらった。なかなか興味深い。昔は色々同性愛に関して間違った認識がされていたようだ。
古今著聞集 宇治の僧が、醍醐の童に思いを寄せた話し
仁和寺の佐助法印が稚児へ歌を送った話し
醍醐の知覚の来栖野には稚児店が軒を並べていた
江戸時代も慰安婦のように少姓は武士たちの愛欲の対象となった
西郷隆盛と大久保利通
「生殖ということさえなかったら、私は女を愛さなかっただろう」
男性と女性の性交においては、男性は最初からさいごまで能動的態度であり、女性は終止被動的態度を持する。
だから、男は攻撃することの快しか感得できず、女は攻撃されることの快しか知るを得ないのだが、同性愛におけるこのような性交態度では、
双方が共に能動的被動をかねているから、その両者の快を双方共々に味得できる、というわけである。