【感想・ネタバレ】「世界の終わり」の地政学 野蛮化する経済の悲劇を読む 下(集英社シリーズ・コモン)のレビュー

あらすじ

日本人はまだ知らない。脱グローバル経済がもたらす衝撃。
エネルギー、資源、食糧。無慈悲な未来を日本はどう生きるのか。

★40万部突破の全米ベストセラー!
☆フィナンシャル・タイムズ紙「最優秀図書賞」(読者選出)受賞!
★世界中が刮目!
イアン・ブレマー氏(『Gゼロ後の世界』)、絶賛!
「経済地理学・人口学・歴史学を総合した、常識を破る、鋭い地政学理論」
白井聡氏(『武器としての資本論』)、感嘆!
「米国が脱グローバル化に舵を切る。驚きの未来像がここにある!」

☆概要
すでに不穏な兆しが漂うグローバル経済。それは一時の変調なのか。いや、そうではない。米国が主導してきた「秩序」、すなわちグローバル化した「世界の終わり」なのだ。無秩序の時代には、経済も政治も、文明そのものも野蛮化していく。しかも世界中で人口が減少し、高齢化していくなかで軌道修正も困難だ。そのなかで生き残っていく国々とは?
地政学ストラテジストが無慈悲な未来を豊富なデータとともに仔細に描き、全米を激しく揺さぶった超話題作!

★おもな内容
・いよいよアメリカが「世界の警察」の役割を捨て、西半球にひきこもる。
・脱グローバル化で、世界経済に何が起きるのか。
・今後、大きなリスクにさらされる海運。製造業がこうむるダメージとは?
・過去七〇年の成長を支えてきた、豊かな資本。それが、世界的に枯渇してしまう理由。
・世界的な人口減少。日本人が見落としていた壁とは?
・世界のモデル国・日本を、他国が見習うことができないのはなぜ?
・エネルギーや資源の調達は、今後も可能なのか?
・グリーン・テクノロジーでは未来を支えられない、その理由。
・日本が食糧危機から逃れるために、すべきこと。
・「アメリカの世紀」のあと、覇権を握る国はどこなのか。

【下巻・目次】
第4部 エネルギー
第5部 工業用原材料
第6部 製造業
第7部 農業

【プロフィール】
著者:ピーター・ゼイハン
地政学ストラテジスト。在オーストラリア米国務省、民間諜報会社ストラトフォーのバイス・プレジデントなどを経て、2012年に自身のコンサルティング会社ゼイハン・オン・ジオポリティックスを設立。エネルギー大手企業、金融機関から米軍まで、幅広い分野のクライアントを抱える。主な著作に『地政学で読む世界覇権2030』など。

訳者:長尾莉紗
英語翻訳者。早稲田大学政治経済学部卒。主な訳書に『確率思考』、共訳書に『約束の地』『マイ・ストーリー』『フェイスブックの失墜』など。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

【「世界の終わり」の地政学 上・下】 ピーター・ゼイハン 著

 トランプ氏の行動がこの本によるのではないかと思えてきます。もしかしたら、米国民がこのように感じているのでしょうか。

 米国は地政学的に恵まれたため自国で完結が可能。そのため「統治が本当に苦手」であり、これまでは、ソ連に対抗するため同盟国を「購入」し、グローバル化によって同盟国が輸出しやすい環境を構築した。そうした「秩序」は「米国の犠牲の時代」であり、「そんな時代は終わった」。それにも拘らず、同盟関係を維持する費用を支払い続けるのは、「住宅ローンを完済したのに、まだ支払いを続けるようなものだ」。戦後からこれまでの70~80年間が「歴史的に見て異例」で、「秩序」の時代は終わり、「真の米国の世紀はいま始まったばかり」。「秩序」崩壊により米国は優位性を保ち続け、「この新たな無秩序の時代に最大の敗者となるのは中国」という論調です。日本は本書では高評価で、特に海軍力が優れているため海上安全保障を含めて立ち回れるというのは少々意外でした。

 原著は2022年発刊で、原題は「The End of the World is Just the Beginning」。2年後の現在、著者が予想したのは違うところもありますが、下巻では世界の「エネルギー」「原材料」「製造業」「農業」について分析しており、大きな流れを理解するのに良書と思います。

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2025年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

グローバル化が終焉し、無秩序の時代がくると、海運の安全は崩れ、グローバルサプライチェーンは寸断される。そのとき 各国はどうなるか?
著者は中国はやばい と 各章で語る。 石油はなくなれば石炭あるし、半導体禁輸されてもファーウェイ復活したし、 中国は大丈夫な気もするのだが・・・・
以下 備忘録
エネルギー:石油・天然ガス アメリカ以外は需要と供給が分断される。供給源がない国は困るだろう。石油が採れる国
コロンビア・ペルー・トリニダードトバコ・ブラジル(資本が必要)・オーストラリア、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、北欧、北アフリカ、ロシア、ペルシャ湾岸   それ以外の国はエネルギー不足への対応が必須
これらの国が石炭を使いだし、温暖化を早めてしまうかもしれない
資源:中国が最大の輸入国、消費国、加工国。ここが没落するとどうなるか?
 鉄:中国いなくても問題なし 
 アルミ:ボーキサイトはあるが、精錬用電力不足の国は困る
 銅:中国いなくてもチリとペルーがいる
 コバルト:コンゴ次第 充電池の重要材料
 リチウム:オーストラリア、チリ、アルゼンチンがいるが 加工の8割は中国
 銀:中国以外でも対応可能
 金:品質表示の刻印はスイスとアラブ首長国連邦
 鉛:リサイクルで可能
 モリブデン:装甲車や銃身に使用。中国の支配はない
 白金族:南アフリカ、次はロシア
 レアアース:精製プロセスは大量廃棄物が残り中国(9割)以外誰もやらない
      中国の輸出規制後 バックアップ対応済み
 ニッケル:インドネシア、フィリピン、カナダ、オーストラリアで生産
 シリコン:高品質石英はノースカロライナ
 ウラン:アメリカ 中国はある 日本 フランス 何とかする?
 亜鉛:リサイクル可能
製造業:ジャストインタイムが使えない
 アジア:少子高齢化と貿易制限で規模の経済が崩壊。中国は世界の工場でありながら現状でも輸入だのみ。中国が没落すると東南アジア・インドが浮上するかも
 ヨーロッパ:少子高齢化で内需弱い。原材料はアフリカ等からの輸入に頼る。ドイツ中心のシステムは崩壊し、北欧、フランス中心になる
 北米:内需あり、資源在り、安泰。中南米も取り込むか?アルゼンチンが浮上?
農業:貿易制限で最大の打撃。飢餓の再来、モノカルチャーから混合作付への移行
   小麦の栽培が衰退したのち復活。食肉は贅沢品に
 大型農機:アメリカ・フランス・ブラジルが供給
 小型農機:ロシア・ウクライナが困る
 窒化肥料:東アジア、中央、サハラ以南のアフリカが困る。中国も?
 リン酸肥料:中国、モロッコ、アメリカ、ロシアが供給国
 カリ肥料:ヨルダン、イスラエル、ドイツ、ロシア、ベラルーシ、カナダが供給国
 食料輸出可能国:安心なのはフランス、アメリカ、カナダ だけ?
 食料輸入国 比較的安心: チリ・コロンビア、エクアドル、アイスランド、インドネシア、マレーシア、メキシコ、ノルウェー、ペルー、フィリピン、ポルトガル、シンガポール、イギリス、 &日本?
 食糧輸入国 問題あり:
 ロシア影響:モンゴル、タジキスタン、トルクメニスタン、キルギス、ウズベキスタン
 フランス影響:ベルギー、スイス、モロッコ、チュニジア、アルジェリア、ガボン、コンゴ、チャド
 インド影響:バングラディシュ
 ナイジェリア影響:赤道ギニア、カメルーン、チャド、二ジュール、ブルキナファソ、ガーナ、トーゴ、ペナン
 トルコ影響:アゼルバイジャン、ジョージア、ギリシャ、イラク、イスラエル、レバノン、シリア
 アメリカ影響:中南米諸国(キューバ、ベネズエラ、コロンビアも含む)
 日本とイギリスは韓国とアイルランドに影響する?
 食料飢餓国:アフガニスタン、キューバ、北朝鮮、イラン、ベネズエラ、イエメン、シリア、リビア、ジンバブエ、ホンジュラス、グアテマラ、ラオス、トルクメニスタン、イラク、スーダン、南スーダン、二ジュール、マリ、そして中国??
 飼料用:トウモロコシが減り大豆が増える 
 米:リン肥料と水の供給が問題

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2025年02月20日

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