あらすじ
盧武鉉政権時代の2004年、軍事独裁政権下で起こった不可解な事件を調査する「国家情報院過去事件真実糾明発展委員会(真実委)」が設置され、情報部(KCIA)の秘密資料の調査や、当時の関係者へのヒアリングなどから、金大中拉致事件、大韓航空機爆破事件などに政府がどう関わっていたか、その真相が明らかになった。この資料に加え、文献・史実、さらには著者自身が金泳三、金大中と直に交流した実体験も交え、朴正煕大統領暗殺事件、光州事件、ラングーン事件、東亜日報記者拷問事件…など、民主化を勝ち取るまでの激動の韓国現代政治史を、表と裏から振り返る。
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Posted by ブクログ
金大中誘拐事件や朴正煕暗殺事件そのものは知っていたが、その事件の背景にはどういうものがあったかは全く知らなかったがこんなにも人間臭い舞台裏があったことに驚いた。
Posted by ブクログ
【激動の韓国政治史】 永野 慎一郎 著
韓国が揺らいでいます。韓国に駐在したことのある友人から、映画「ソウルの春」を薦められて見ました。1979年の全斗煥のクーデターを表したものですが、これは衝撃的です。以前、光州事件を扱った「タクシー運転手」、「工作」なども見て、韓国の政治を扱った映画は凄いと思っていたのですが、全体像を知ろうと本書を読んでみました。
新書では淡々と事実を書くというイメージですが、本書では実際の人物が躍動します。「金大中拉致事件~朴正熙暗殺事件~全斗煥クーデター~光州事件~ラングーン爆発事件~大韓航空機爆破事件~民政移行・金大中大統領誕生」までの「激動の韓国政治史」が描かれています。「そう言えば、あったな」と記憶に残っている事件の内幕も詳述され、今になってようやく実態がわかりました。
軍政から「血で勝ち取った」民主政であり、過去の記憶からか血を流さないことを重視した尹大統領の発言も、本書を読んでよくわかりました。因みに、映画を見てから本書を読むとヴィヴィッドに情景が浮かんできすが、もしご覧になる際は、「ソウルの春」~「タクシー運転手」の順がいいかと思います(いずれも実話をベース)。