あらすじ
夜、空を眺めると星のまたたきに心安らぎを覚える。
静けさに満ちた不変の宇宙……というイメージだが、太陽は毎秒21キロの速さで銀河系を動き、
フレア(太陽面爆発)が起きるとジェット旅客機の数千倍もの速度でガスを噴出させている。
遠くの彼方で起きている現象とはいえ、地球への影響は甚大で、ときに大停電を起こす可能性も…。
20世紀になり、宇宙は私たちがイメージしている姿とは異なり、おどろくほど動的なことがわかってきた。
また、絵空事と考えられていたUFOや宇宙人についても、2020年にアメリカ国防総省がUFOの存在を公式に認め動画を公開するなど、新たな展開が起きている。
私たちの想像をはるかに超えたスケールで起こるさまざまな現象、知っているようで知らない宇宙の姿を、太陽研究の第一人者が紹介する。
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Posted by ブクログ
漫然と思っていた太陽の影響をわかりやすく説明してくれた良書。太陽の表面から磁場が飛び出した場所が黒点で、その周りに猛スピードで飛び出すプラズマ(プロミネンス)が太陽風になる。そんな太陽の影響が地球温暖化の一因をなしているのではないかと。だが、今はその黒点が非常に少ないらしい。つまり寒冷化の兆しが見えてくる。地球は近い将来、大変なことになる。
だが、本来は太陽の影響のさらなる研究が必要なのだが、世論は有力国の石油依存度を下げたいという経済の観点から、政治的影響で二酸化炭素を最大の犯人と断定。しかし、声をあげようとしても忖度が働いてしまう。つまり、基礎研究から予算を減らされてしまい、国は軍事的有効性が認められる研究に予算をつけようとする。天文学の未来は暗いのか?天文学の未来に灯りが点ることを期待したい。
Posted by ブクログ
毎日見る太陽。しかし、この太陽について一体どれほどのことを知っているのだろうか。
太陽は、暖かい光を地上に届け、すべての生物のエネルギーの源である母なる星。
ところが、X線望遠鏡でみる太陽の姿は、激烈な光と熱の共演がその表面で繰り広げられている。そのスケールは大変なもの。表面で起こっている爆発1つの大きさは最大のもので、地球の直径の10倍以上。水素爆弾10万個から1億個のエネルギー。あちこちで起こっている爆発は、光と熱を放つだけでなく、莫大な量の放射線粒子を噴き出している。何がどうなればこれほどの激しい活動が可能になるか。それは、この本を読むとよく理解できる。
太陽は質量比で約73.8%が水素、あとはほとんどヘリウム。核融合に必要な水素は豊富にある。太陽の中心の温度は1,580万度。また自らの重さによる加圧で高い密度になっているため、核融合に最適な環境になっている。
太陽にある黒点。正体は一種の巨大な磁石。この磁力によって爆発が起きる。この爆発、最大級のものをフレア、超巨大爆発をスーパーフレアという。この太陽フレアが、現代社会において、大停電や磁気嵐など甚大な影響を及ぼす。
と脅威ばかりではなく、太陽、惑星、月などの天体について興味深い話題も提供してくれる。
例えば、金星。地表の温度は400度以上。まあ地球より太陽に近いのでそんなもんかと思うが、驚くのは、自転速度。公転周期は約223日に対し、自転周期は約243日とかなり遅い。これはつまり1年より1日の方が長いということになる。
また、火星。この星で驚くのは、太陽系最大の火山があること。オリンポス山と名付けられたこの山の高さがなんと25km。エベレストは9km弱なのでいかに高いか。
その他、木星の衛星、エウロパやカリストには水は存在すること、土星の衛星、タイタンには液体メタンがあり、メタンで生きる生物がいるかも。とか面白いトピックスが尽きない。楽しく読むことができた。